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インディ・ジョーンズ【ネタバレ感想・考察】運命のダイヤル

2023年7月12日

作品情報

タイトル インディー・ジョーンズ 運命のダイヤル
作品要素

レビュー

※ 話の核心に触れない軽度のネタバレ有り。

『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』は、考古学者で冒険家のインディ・ジョーンズが、アルキメデスの遺品で世界を変える力を持つ秘宝『運命のダイヤル』を巡って元ナチス科学者と対決する物語。

本作はとにかく第一作からのインディらしさを重要視しているように感じられた。
例えば、地図に線を引いて移動する演出はインディ1からの演出だ。

冒頭の失敗と逃走でドンパチの流れは往年のインディそのもの。
敵対者にもナチス(元ナチス)がガッツリと関わっている。
(スピルバーグは四作目でナチスの風刺をかなり強く嫌がり避けていた)

ハリソン・フォードによる老年期のインディアナは、時代の変化を感じさせつつ、元来の偏屈さと知性と行動力も兼ね備えていた。
彼が長年演じてきたインディ・ジョーンズのキャラクターに深みと魅力が詰まっている。

また、過去のインディらしさと現代の映像美や効果音が一体化していた。
インディアナの冒険を追体験するような物語としては非常に完成度が高い。

けれどメインとなるアクション性は欠点にも感じられた。
全体的にジェットコースター的な展開が続き、最初は純粋に楽しめていたのだけど、途中からその駆け抜けるコースが似たり寄ったりで飽きがくる。
ほとんど動きのない謎解きシーンの方が見ていて面白いと思う場面もあった。

ワンパターンになり気味なのは、対人パートと冒険パートのバランスが悪いことも関係しているだろう。
例えば中盤の探索では「ジョーンズの苦手な蛇っぽいのがいるぞ!」と出たのでフラグかと思えば、ただいるだけでしたと冒険がスムーズに終わってしまう。
セルフオマージュで出すのはいいけど、出したならちゃんと使ってほしい。

後半も『有害ガスが部屋に充満しているぞ!』という流れから、解決までがあっさり風味で緊迫感がない。
ナチスとの対決は緊迫感があるのに対し、冒険側はサクッと解決して、普通に次のステージに行ってしまう。
そういうギミックにこそ、頭と体を使ってギリギリで切り抜ける場面を期待していたのだけど……。

インディ1の名アトラクションにして、もはや冒険モノの古典として定着している、自動で閉じる扉や転がってくる大岩を必死に乗り越える大冒険がほしいのだ。
(まぁ、現在あの大岩を本当にやったらもうギャグなんだろうけど……)

しかしながら探検シーンでは激しい動きがあまりなく、インディアナはむしろ肉体の衰えに愚痴る。
それ自体は世代間交流的な意味合いがあるので悪くはない。
ただハリソン・フォードの肉体的に、生身の激しいアクションに気を遣っているのだろうかと思ってしまう。

結局、目立つのは悪役との追いかけっこばかりになっている。
牛肉と海鮮のコース料理だと思っていたら、やたらと牛肉が多くて脂っこくなってしまった感じ。

バランスを取って飽きさせないため、せめて後半はもう少し考古学者としての冒険要素を強めてほしかったなと。
海外のアクション映画好きなら『アンチャーテッド』的な作品を期待していたと言えばわかりやすいだろう。

とは言ったものの、これは毎月数本の映画を見ている私だからの視点による要因も大きい。
普段からあまり映画を観ない層なら話は変わる。
「あのインディジョーンズの最終作だ!」と期待して観に行くなら、迫力のあるアクションが連続する冒険活劇映画として楽しめるのではないだろうか。

また最終作として観ると、ラストはとてもキレイに畳まれているなと感じた。
タイトルである『運命のダイヤル』の意味もオチでそれとなく理解できており、上手い構成になっている。

ハリソン氏の年齢的にもインディシリーズ最終作と言われているが、内容も言外にこれが最後だと告げるようだった。
インディアナという冒険家の締めくくりとしては、決して華美ではないけれど、これがベストではないかと思う。
(最大の理由はネタバレ有り部分で解説)

ネタバレ有り考察

歴代ヒロインが持たないヘレナの重要な役割

丁寧に過去作をなぞり、セルフオマージュを大事にした本作において、一つ大きく異なるのがヒロインのヘレナだった。

歴代ヒロインは時折インディアナを手助けするものの、敵に攫われたりキャーキャー騒いで助けを求めたりするシーンが多かった。
(これは四十年以上に及ぶ時代の変化もあるとは思う)

対して、本作のヘレナは全編通してとても有能である。
窮地に陥ったなら、知性と過激な行動力でもって敵を出し抜いて、見事に逃げ切ってみせた。
まさに若き日のインディアナを彷彿とさせる活躍だ。

実際に、ヘレナはインディアナとの関係として、名付け子と呼ばれるシーンが何度も出てくる。
それ以外にも、誰も興味を示さないインディの講義を一人だけ興味津々といった具合で受講する。
(理由はただ考古学に興味があるだけではなかったけれど)

ヘレナは貧民でスリをする悪ガキのテディを捕まえてパートナーとした。
これはインディ2における、インディアナとショートに近しい関係だ。

ヘレナは発掘品を売り捌く道に走っていたが、根は完全な悪人ではなく、心の底では考古学者と冒険者としての情熱を捨てきれていない。
インディアナは彼女の中にある燻りを見抜いて、再び考古学者としての道へと引き戻した。

そうしてヘレナは、ダイヤルによってインディアナに降りかかった最も大きな悲劇である『息子の死』を変えた。
一人になりしょぼくれてしまったインディアナは最愛の家族を取り戻す。彼の運命はダイヤルによって大きく変わったのだ。

最後のキスシーンは、インディ1から立場を逆にした構図。
インディアナにとって真のパートナーはマリオンしかいないという意味合いを強めている。

これはインディアナ本人ではなく、ヘレナが運命を変えたからこそ重要な意味があった。
彼女はこれからも世界の遺産を求めて旅する冒険者となるだろう。まさしくインディアナの後継者だ。

総評

ハリソン・フォード氏の演技や魅力的な物語性、スリリングなアクションシーンなどが魅力だった。
一方で、毎月何本も映画を観る人にとっては予測可能な展開が続き、作品の冗長さを感じやすい。
『画はよくできている最近の映画』そのもの過ぎて飽きてしまう。

しかし、『インディらしさ』はしっかりとあり、ファンにとっては長年待ち望んだ最新にして最後の『インディ・ジョーンズの冒険』だった。


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