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FMO1章 第14節『Lの世界/魔術仕掛けのラビリンス』≫3

2024年6月14日

[作品トップ&目次]


 突如発生した事態に対し、フィリップは冷静に解析を試みようとするも、混乱したパツシィはそうもいかなかった。

「おい、なんだよこれ! どうすんだ!」

「落着きたまえ。おそらくは何かしらのトラップだ」

「フォーウ! フォウフォウ!」

 立香に引っ付いて共に消えたフォウが、同じ地点から再び姿を現した。
 フォウは可愛い声でフィリップたちに吠えると背を向ける。

「フォウ、付いてこいと言ってるのかい?」

「フォウ!」

「わかった、行こう」

「お、おう」

 フォウは並の獣よりよっぽど知能が高い。彼が来いというなら危険はないか、立香が危険なので助けに来いと言っているかのどちらかだ。そう判断して後を追う。

 立香たちが入った地点に足を踏み入れると、視界が一気に変わった。ただし、その先がミノタウロスの迷宮内であることには変わりない。

「フィリップさん!」

「二人とも、無事だったようで何よりだ」

「ここは同じ迷宮内か......?」

 パツシィが周囲をきょろきょろと見回している。
 移動してきた地点には空間の裂け目による穴ができており、そこからさっきまでいた風景が見えていた。

「再検索して現在地を確認しよう」

 フィリップはまた星の本棚にアクセスして、同じ手順でミノタウロスの迷宮を検索する。その流れに問題はなかった。しかし、

「僕たちがさっきまでいた位置とは、まったく異なる地点に移動している」

「やっぱりこれってワープゾーンなのかな?」

「そうとしか言えないが、異空間の情報は書かれていない」

 ならばこの異空間は、迷宮に直接紐付けされている現象ではないとみるべきだろう。

「それに、やはり......全体の地形も少し変わっていて、これまでなかった壁や通路、フロアが増えている」

 一度目の検索では存在しなかった先程の壁も、今の検索結果には反映されていた。ダンジョンの構造自体が変化しているとみて間違いない。

万古不易の迷宮ケイオス・ラビュリントスは、アステリオスさ......ミノタウロスが封じ込められていた迷宮の具現化です。それ以上の性質はありません。
 それにランクはEXで他者の介入は極めて難しいはずです』

 けれどマシュの説明によると、それらは本来あり得ないことだった。
 ミノタウロスの迷宮が時間と共に構造を変化させたり、いきなり異空間が生じたりすることはまずない。そんなことがあるなら、アリアドネの糸が意味をなさなくなる。

 他にも変化がないとは限らないと、注意して情報を閲覧していく。すると他二つに比べて些細だが、もう一点不審な部分が見つかった。

「これは、殺戮猟兵オプリチニキと魔獣の数が少しだけ減っている......?」

「僕らを閉じ込めて安心して撤退でもしたのかい?」

殺戮猟兵オプリチニキだけならば有り得なくはないが、魔獣は元々迷宮が作られた時点で発生したものだ。外に出るとは考えにくい」

「だったら殺戮猟兵オプリチニキと魔獣で殺し合ったんじゃないか? 獣はしょせん獣だろ」

『パツシィさんの意見も一理あると思われます。ダンジョン内の魔獣に、敵味方の分別はなくても不思議はありません』

 ここに生息する魔獣は、万古不易の迷宮ケイオス・ラビュリントスと共に生み出された、いわば迷宮の一部だ。
 迷宮に住まう魔物という概念であるそれらは、侵入者を発見すれば襲い掛かる自動化されたシステムのような存在と考えるのが自然だろう。

「その可能性も否定できない。けれど......」

「けれど? フィリップさんには何か思い当たる節があるの?」

「あるにはある、が......」

 確証が持てない。何故ならそれは本来、閲覧している情報に含まれているべきことだからだ。

「探偵くん、僕から一つ助言をしよう」

 迷えるフィリップの心情を見透かしたように、海東が言葉を挟んできた。

「星の本棚に依存し過ぎるのはやめたまえ。魔術とは人間が本来なし得ない領域に届くために研鑽されてきた技術だ。
 今、僕らがサーヴァントという形で存在していることを考えれば、その異質さは理解できるだろう」

 フィリップは白紙の本から視線を上げて海東を見つめる。今、己のうちに湧き上がってくる感情を決定づける一言を求めて。

「認めるのは業腹かもしれないが、地球の記憶を欺く程度のことはしてくるんじゃないかい?」

 これまではフィクションの産物と認識していた魔術が実在する。科学とは大きく異なる未知の技術体系。星の本棚という地球の記憶を読み取る力にも対抗し得る存在が、本当にあるのか。だとしたらそれは、

「ゾクゾクするねぇ......!」

 フィリップの表情に、自然と笑みが作られていた。
 知らない。わからない。予想外。それらはフィリップにとって不快感ではない。むしろ探求心を刺激する、最高のスパイスだ。
 魔術について何日、何か月、何年かけてでも検索して読み耽りたい衝動に駆られる。

 左翔太郎がここにいれば、いつものが始まったと顔をしかめて焦りだしたことだろう。だが、今はその彼を助け出すためにも、興奮を抑えてやるべきことをやる。

「マシュ・キリエライト。魔術について、いくつか質問をしたい」

 ●

 三体の殺戮猟兵オプリチニキが迷宮内を移動している。中心の一人が一歩先んじて、残り二名が両サイドに控えて付いていく。

「次はここだ」

 フロア内で二つしかない出入り口の一つを指さす。この通路に壁を作り移動できるルートを塞いでしまえば、カルデアの者たちの脱出はより難易度が上がるだろうと計算してのことだった。

「迷宮の勝手なアップデートはそこまでにしてもらいたいな」

 不意に聞こえてきた声の主を確認するように、殺戮猟兵オプリチニキは一斉に後方へと振り返った。

 そこにいたのは、迷宮に入ったと報告を受けていたカルデアのメンバーたちだった。言葉を投げかけてきたフィリップは中心に立っている。

「侵入者どもだと!」

「白々しいな、僕らの探索を妨害しているのは君たちだろう」
 敵は既に迷宮への工作に気付いているらしい。その上で自分たちを探し出したようだ。

「なぜここだとわかった?」

「星の本棚で定期的に検索をかけて迷宮の変化を観測、そこから移動ルートを割り出した」

 異空間を自分たちの移動にも使えば、より攪乱できたかもしれないが、カルデアの者たちと鉢合わせする可能性を考慮して使わなかったのがアダになったようだ。

 ——このまま彷徨っていればいいものを。

 その方が、これから体験する悪夢を見ずに済んだのだから。

「やれ」

 中央の殺戮猟兵オプリチニキが残る二人に命じると、彼らは懐から長方形の小箱のようなものを取り出した。
 黒く骨のような文様が禍々しさを感じさせる。

 それこそが、地球の記憶という名の事象を注入されたガイアメモリ。

「やはりね」

 それに最も馴染み深く、その脅威も理解しているはずのフィリップは、けれど平静さが失われていない。

「固有結界に近い現象で、所有者以外は迷宮に対する魔術的な介入はほぼ不可能。
 けど、物理的に壁やフロアを追加することなら可能だ。異空間への接続も同じこと。そしてその二つができる能力を僕は知っている」

『Load!!』

 メモリを起動すると殺戮猟兵オプリチニキたちの首にコネクタが出現し、先端の端子をそこに差し込むと体内へと沈んでいった。
 すると彼らの肉体が急激に変異していく。肉体が隆起し大柄になり、顔と上半身を中心に白い装甲で覆われる。ロード・ドーパント、道の概念を宿した怪物だ。

殺戮猟兵オプリチニキが怪人に......!」

 藤丸立香は驚いた表情でその変異を見つめていたが、予想通りだと言わんばかりにフィリップは口角を上げてみせる。

「言った通りだろう?」

 加えて、とフィリップは情報を補足する。

「ロード・ドーパントは物質の生成にエネルギーを大量消費して、強い飢餓感に襲われる。それを補うために他の殺戮猟兵オプリチニキや魔獣たちを糧にした。違うかい?」

 その通りだった。宝具として成立する殺戮猟兵オプリチニキを生き長らえさせるため、魂喰いによって補給させてきた。

「言いたいことはそれだけか?」

 存在を予想できていようとも、こちらに二体のドーパントがいる事実は変わらない。

「いいや、まだ半分さ」

「変身」

『KAMEN RIDE DIEND!!』

 フィリップが軽く後方へ目配せすると、海東大樹がディエンドへと変身した。
 互いの戦力を開示しての臨戦態勢。先手を打ったのはディエンドの薙ぎ払うような掃射だった。
 前衛のロード二体の足元に光の弾丸が弾けて火花と土埃が舞う。

 ロードたちが反射的に守りを固めると、既にディエンドは急加速で動き出していた。
 しかしロード二体を相手にせず、その隙間をすり抜けるように、残った殺戮猟兵オプリチニキへと迫る。

「............っ!」

 迎撃しようと斧を振り上げるが、ディエンドの方が早い。武器を使える間合いを潰されて、ほとんどゼロ距離から銃の連射を浴びた。

 ●

 奇襲でこそあったが、あっけなく倒れたリーダー格であろう殺戮猟兵オプリチニキを見下ろして海東はつぶやく。

「随分と呆気ない幕切れ......」

 しかし、その死体は光の粒子となって掻き消える。まるでそれが最初からダミーであるかのように。

「なわけがないか」

「海東さん、後ろ!」

 代わりに現れたのは魔術師の女だった。紫のローブを纏い、それが鳥の羽のように広がり浮き上がっている。
 フードで顔が隠れているが、その姿を見た途端、立香は断言した。

「メディアっ!」

「あら、別の私が召喚でもされていたのかしら?」

 真名を即看破されたメディアはフードを外すと、青髪の長髪と緩やかに尖った耳の、整った顔立ちの美女が露わになった。

『間違いありません、クラスはキャスター、コルキスの王女にして神代の魔術師、メディアさんです』

「そこの坊やは私の正体もわかっていましたって顔ね」

「これが答え合わせの残り半分さ」

 キャスタークラスが関わっているのは確信を持っていた。その真名も予想として挙がっていた中に含まれており、むしろ筆頭候補の一人ですらあった。

「ロード・ドーパントの作り出す、どす黒い血のような物質を迷宮の壁のように加工する。本来なら短時間で消える異空間を固定化する。これらを短時間で為すには高度な魔術が必要だ」

『神代の魔術は、現代とは比べ物にならないレベルで洗練されています。とくにすぐ消えてしまう異空間の安定化は、非常に高度な魔術かつ高速神言が必要だと考察しました』

 それに星の本棚で見つけられなかった理由も、相手が魔術師だったことが大きく起因していると、フィリップは読んでいた。
 だからまずは隠している正体を明かすことを優先させるため、海東たちと予め作戦を組んでいたのだ。

「星の本棚の記憶は改竄できない。けれど、魔術を用いて自分自身を殺戮猟兵オプリチニキとして誤認させる。これができるのもキャスターぐらいだろう」

「へぇ、うちの顔が良いだけのマスターとは違って、頭も回るようね」

 仮面ライダーの知識だけでも、魔術の知識だけでも届かない。双方を擦り合わせながら可能性を検討して行き着いた結論。その証明をするためアーチャーによる奇襲。
 カルデアの手持ち戦力を総動員してここに至っている。

「けど、それなら今が窮地だと理解もできているでしょう?」

 こちらはロード・ドーパント二体に、キャスターのサーヴァント。向こうでまともに戦えるのはアーチャーが一基だけ。召喚能力を有していても、魔力の供給源となるマスターは、ミノタウロスとの戦いで疲弊している。

「足枷を何人も抱えながらどこまで戦えるのかしら」

「まんざら、しのげなくもないさ」

 そう言ったのは守られる側であるはずのフィリップだった。
 Wは二人で一人の仮面ライダー。相棒である左翔太郎が応答不能であるため、今は戦力外の扱いとなっているはずだ。

「坊やの知恵だけで切り抜けられる局面だと思って?」

「僕がいつ変身できないと言ったかな?」

「なんですって?」

 彼は変身用ドライバーを取り出したが、Wになるためのそれとは異なり、ガイアメモリを差し込むスロットは一つだけ。フィリップの母親にあたるシュラウドによって開発された、Wドライバーのプロトタイプにあたるロストドライバーだ。

「サーヴァントになった僕たちにとって、ライダーの変身は固有スキルであり、霊基の一部として登録されている。だから僕の元にもある」

 かつては、単独で動くことの多い翔太郎がWになれない時の非常用武装として機能していた。だが本来ロストドライバーを先に手に入れ、変身したのはフィリップだった。

「切り札はここぞという時まで温存しておくものさ」

 ミノタウロス戦ではファングの存在を意識して、あえてロストドライバーは温存していた。本当に孤立して、敵もその存在を認知していなかったここが使いどころだ。

『Cyclone!!』

 手持ちの三本の中で、起動して差し込むのは彼にとって運命のガイアメモリ、風を司るサイクロン。
 久方ぶりの単独での戦いの緊張を隠すように右手を顎に当てて、振り下ろすようにロストドライバーを起動させる。

「変身!」

 Wならば半身となる緑の強化外骨格が全身に広がり、その周囲に旋風が吹き荒れる。仮面ライダーサイクロンがその姿を表した。

 


 

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