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FMO1章 第12節『鳴海探偵事務所出張サービス』≫1

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 カルデアの経営顧問が担当していた報告書だけど、彼はゴルドルフ君と今後の戦略会議で忙しいので、今回は私、ダ・ヴィンチが担当しよう。
 というかホームズは、なんやかんや理由を付けてこの作業を先延ばしにしていたみたいだね。
 まあ、優先度はそんなに高くないし、仕方ないといえば仕方ないかな。

 とりあえず音声からの文字起こしにしよう。それなら藤丸くんの魔術礼装の修復も同時にできるし。

 まず、カルデアにとって辺境での戦いは惨敗だった。これは認めざるを得ない。
 ダークキバにはなんとか勝利したものの、その後に現れたクリプターと殺戮猟兵オプリチニキはどうにもならなかった。
 クリプターのカドック・ゼムルプスは、こちらの動きを読んで攻めてきたとしか思えない動きだった。こちらはまんまとしてやられちゃったね。

 勝ち負け以前に、逃げるための道を拓き、なんとかその場をしのいだというべきだろう。

 特にキャスターは強力だった。
 皇女アナスタシア・ニコラエヴナ・ロマノヴァ。カルデアを凍結させた張本人にして、最初の異聞帯で相まみえるクリプターのサーヴァント。彼女の攻略は今後必須となる課題だ。

 藤丸君たちは近くの廃村まで逃げ延びて、一旦野営で態勢を整え直した。
 この時のゴルドルフ君は、とにかくおかんむりだったね。

 ●

「ええい、見事に敗北した! 仮面ライダーとやらが二人もいたのに! 聞けば、お前たちはヒーローなのだろう!」

『僕はトレジャーハンターさ』

『俺はただの通りすがりだ』

『俺は天才音楽家だ』

 ●

 今思い出しても、見事なまでに火に油を投げ込んでいた。 叱咤激励で奮起を促すのには向いていないメンバーだと思う。
 彼らは多分、仮面ライダーの中でもヒーロー性が薄いんじゃないかな。遭遇ケースが少なくてなんとも言えないけれど。

 藤丸君はまだ戦えますと言ったものの、ゴルドルフ君の言う通り、このままじゃ厳しいのは事実だった。

 けれどそれは、戦いとしての結果。一つの節としての顛末だ。
 必要以上に悲観的になったり絶望したりすることじゃない。大切なのはこれからどうするかだ。

 そこでホームズが正式に紅音也に協力を要請した。
 既に仮契約は結んでいるけれど、あの時は緊急事態だったからキチンと話は通しておくべきなのはわたしも賛成だ。

 ●

『ガキのお守りは普段なら願い下げだ。だが感謝しろ。むしろ喜びでむせび泣け! 愛する息子きっての頼みだからな、お前らと一緒に戦ってやる!』

 ●

 まあうん、ここはバイオリンケースを片手に快諾してくれたということにしよう。
 いささか人格の問題はあるものの、癖の強いサーヴァントへの対応なら藤丸君は十分に心得ている。この程度なら問題はないね。

 紅音也の変身形態は仮面ライダーダークキバ。
 その息子の紅渡は仮面ライダーキバというらしい。

 キバもこの地へ召喚されていたけれど、イヴァン雷帝に囚われの身となり、命を落として退去してしまった。

 その最期を看取ったショックを狙われて、音也は一時的に洗脳魔術を受けていた。それを藤丸君たちが戦闘中に解放したという流れだ。
 キバが囚われてから疲労困憊になっていた詳細な理由については、記憶がまだ曖昧らしい。これは洗脳効果の副作用だろう。

 そして音也からはもう一つ重要な情報を得られた。正確には断片的に得ていた情報の統括に役立ってくれたというべきだろう。

 クリプターは言った。ここが特異点ではなく、異聞帯だと。

 カルデアがこれまで解決してきた特異点とは、歴史の中に発生した異常な点が起点となり本来あるべき世界を歪める。
 それを放置すると歪みはやがて大きくなって、最悪人理が崩壊してしまう。

 要するに、世界を壊すほどの『間違い』が生じたことで引き起こされる事象である。

 だけど異聞帯は違う。藤丸君がいるのは過去の歴史ではなく現在進行系の世界だ。
 そこに『間違い』は起きていないから人理は崩壊せず、人類史の帯は今も伸び続けている。

 けれど、わたしたちの知る世界の生態系にヤガなんて種族は存在しない。

 異なる時間が流れた世界。
 その分岐はおそらく四百五十年前。未曽有の大寒波が世界を襲い、何かの行き違いで氷河期が訪れてしまった。

 派生した異なる人類史。
 まったく違う生態系が育ち、重なりようのない歴史を歩んできた。

 平行世界ならぬ異文世界。
 それは言わばコースアウト。何かしら重要な事象が起きて平行でなくなり、並立ができなくなった。

 世界はその枝分かれを許さない。
 宇宙ではその分のリソースを削るために世界ごと削除される。
 何故なら、その世界はもう滅亡が確定したか、これ以上の進化はあり得ないくらい行き詰ってしまったから。

 平行世界も含めた汎人類史という巨木の中で分岐して先細りした枝。幹から外れ過ぎたそれは存在を打ち切られてしまった。

 魔術世界ではこれを剪定事象という。この機能によって宇宙は今も安全に広がることができている。

 そうやって切り捨てられたはずの歴史が、まるで復元されたように現在まで続いている。それも嵐の広がりによって拡大中なのだ。

 そう考えると敵の戦略は、剪定事象の中でも強度のある世界を選び、漂白された汎人類史を押し潰すこと。異聞帯自体を侵略行為として運用している。

 人類史による人類史への侵攻。
 敗北した歴史の逆襲。

 このままでは世界が壊されるという一点においては特異点と同じだ。

 ならばこの世界から召喚されるサーヴァントも、汎人類史と異文帯の二種類があることになる。
 けれど、『仮面ライダー』は少なくとも19世紀後半に生じた存在だ。

 世界の歴史が異聞帯に分岐しなかった時代に生まれ世界を守護してきた者たち。彼らは異文帯により上書きされた土地が、最後の断末魔を上げるが如く召喚された。
 汎人類史が反抗のために用意した存在である以上、仮面ライダーは必ず汎人類史側のサーヴァントと言える。

 その他に音也から得られたのは、マカリー枢機卿という男。
 イヴァン雷帝の師という存在であるけれど、その姿は人間の魔術師にして日本人だ。疑似サーヴァントである可能性が極めて高い。

 それはわたし以前のわたし、ダ・ヴィンチを背中からナイフで刺した男、言峰神父であると思われる。あんちくしょう。

 そのマカリーは空想樹こそが異聞帯の要だと言っていたそうだ。空想樹なくして汎人類史の侵攻はあり得ない。
 言い換えれば、空想樹を破壊すればロシアは元に戻せる可能性はある。

 けれど、空想樹の居所は皇帝ツァーリの背後だ。イヴァン雷帝を倒すことが必須なのはハッキリした。

 そして首都のヤガ・モスクワには一個師団級の殺戮猟兵オプリチニキがある。わたしたちが南極の拠点に攻め入られた時と同等だ。そしてクリプターとキャスターのアナスタシア。マカリー枢機卿。皇帝ツァーリ以外にも、最低限これだけの戦力を相手取らなければならない。

 これらに対抗するには、どうあっても叛逆軍との連携も不可欠だ。

 最後に、音也はホームズと二人きりで話がしたいと申し出た。ホームズはそれを了承したけれど、今もその内容は共有されていない。
 ま、その内容はおおよそ察しが付くけどね。

 ●

 話がまとまった後、立香君たちは叛逆軍へ帰還した。

 叛逆軍については、略奪時に生じた混乱は多少後を引いているものの、かなり持ち直しているようだ。それどころか、新たな砦と敵への侵攻経路を整えている最中だった。そこはヤガの生命力と悠の指揮能力の賜物だろう。

 シャドウ・ボーダーの修理に使える素材も見つかったという報せを悠から受けた。

 新たな砦は現在よりもイヴァン雷帝のいるヤガ・モスクワに近く、その間には凶暴な魔獣が生息する広い森があるため攻められにくい。
 逆にこちらからは、秘密裏に攻め込める抜け道のトンネルを作れることがわかった。

 これが完成すれば一日でヤガ・モスクワに到達できて、本丸への電撃作戦が可能になる。

 そして、シャドウ・ボーダーの修理に必要となる、魔術式を刻むことのできる鉱物も、トンネルを作っている穴から採掘できることが伝えられた。

 カルデアはこの鉱物と引き換えに、トンネル開通の作業に協力した。取引自体に新所長は渋っていたけれど。

 悠たちにしてみれば、こちらはシャドウボーダーの修復が完了次第、異聞帯ロシアから逃げ出すかもしれない。

 彼らにとっても、イヴァン雷帝と戦うにはサーヴァントたちの戦力は絶対になくてはならない。

 もちろん、私たちに逃げる気はないし、ここで撤退しても行き場なんてない。
 現場で戦う藤丸君も、絶望的だからを理由に逃げ出す選択肢を取らないのはよくわかっている。

 けれど、我らが新所長はまだその辺の覚悟が決まっていなかった。

 ●

『これは我々の問題でもあるからな。そう簡単には逃げ出さん。逃げ出さんが……オトナには都合というものがある。状況は待ってくれないワケだしな……』

「カルデア側の方針は、つまりどうなのですか?」

「……つまりと言われても……。その時にならないとなんとも言えないと……」

「そのでっぷりしたお腹は、一体なんのためにあるんですか!」

「おのれ藤丸、腹芸が下手だとでも言いたいのか貴様! そう、その通りだとも! 私はホームズ君のように一方的に相手を丸め込むような嘘は言えんよう躾られているのでな! 逃げる時は逃げる!」

「聴くに堪えん雑音だな」

「少なくともお宝になりそうなものは詰まってなさそうだ」

 ●

 現場からも非難轟々だったね!
 ちなみに、士君は意外と上手いこと言うなという目で、藤丸君を見ていたと思う。
 とはいえ、この手の工事作業にやる気を出すメンバーでは残念ながらない。

 トンネル開通に協力することは決まったけれど、三名の仮面ライダーたちはこぞって曲者揃いで、基本的に自分たちのしたくないことはしない主義だ。
 ただし、こと戦闘だけはきちんとこなすので、立香たちの役回りはトンネル内に巣くう魔物たちの退治だった。

 問題はもう一つある。シャドウ・ボーダーの補修作業をするための施設だ。
 鉱物への適切な加工はできなくもないけれど、そのためにも最低限の準備は必要になる。

 これは本来、私の役目であるべきことだ。
 ダ・ヴィンチとは万能の天才であり、それを証明するように、かつてのわたしはキャスターだった。

 けれど今の美少女姿へと交代する際に、キャスターからライダークラスへの変質が起きている。
 これはシャドウ・ボーダーの制御にも必要な措置だったので仕方ない……と思いたいだけなのかも。

 それだけでなく、マシュ体内に注入された謎の成分も解析はほとんど進んでいないのが実情だ。

 どんな理由があれ、私としての役割を十全にこなせていない。
 私以前の私。立香ちゃんやマシュたちが知るダ・ヴィンチは、言峰神父の刃に背後から貫かれて消滅した。

 少女の私は自己認識こそダ・ヴィンチであっても、その本質はグラン・カヴァッロ。私は万能の天才が作った作品である。万能の天才、あるべきダ・ヴィンチとは程遠い。

 それでもダ・ヴィンチが遺した功績を引き継ぎ、私もまた同じだけのことを為さねばならない。それも早急に。そんなこと一体どうすれば……っといけないけない!
 ここは編集してちょん切っておかなきゃ。

 話を戻してと……。
 適切なキャスターがいれば話は違ったけれど、仮面ライダーは基本的に戦闘系サーヴァントだ。
 いや、これはそう思っていたと言うべきだね。

 私たちがダークキバらと戦っている間に、叛逆軍に新たな協力者が合流していた。
 そのうちの一人が設備の準備をしてくれるらしい。しかも資材の運びまで援助してくれた。まさに至れり尽くせりだね。

 彼の名前はフィリップ。
 略奪時に起きた暴動の際、ヤガたちの虐殺が起きないよう戦闘に参加してくれた『仮面ライダーWの一人』だ。

 私たちの元に集ってくる仮面ライダーたち。
 英霊たちが過去の英雄譚の具現化ならば、現代の英雄譚である彼らが世界を本当に救えるのか、その力を試される時が間近に迫ってきている。

 ●

 大型装甲車リボルギャリーの内部で、二基のサーヴァントが鉱物の加工に精を出していた。
 一人はダ・ヴィンチの少女体。もう一人は緑髪の青年フィリップだ。
 本来格納されているバイクは、作業スペースの確保で一時的に移動されている。

「君たちに協力してもらえて本当に助かったよ」

「僕たちは大したことをしていないよ。ほとんど鳴滝氏が準備したものを届けただけさ」

「フィリップの知識と技術力も大したものだ。それにしてもこれはすごい発明だよ。非常時じゃなければ是非詳細に解析したいところだね」

 ダ・ヴィンチは中指に大きな魔宝石の付いた指輪を嵌めており、魔力を流し込むことで、一定の効果が発動する仕組みだ。
 魔術刻印を刻みながら行われる鉱物加工の補助を大いに助けていた。

「これはウィザードリングというものらしい。魔力の素質がある者にしか扱えないから、僕には不可能だ」

 リングの使用には、本来なら発動用のドライバーも必要だが、そちらのトリガーも含めてダ・ヴィンチ自身が発動させている。
 フィリップの方は魔術を用いない物理的な加工の補助を行っている。双方の手際の良さもあって、雑談を交えながらも作業はスムーズに進んでいた。

「君たちは士の知り合いなんだね」

「僕と翔太郎はね。ただ、僕は変身した姿でしか会ったことはない」

 フィリップからの話を聞くと、士と出会うのはいつだって戦の場だったようだ。
 ディケイドはそれぞれに平行する世界を渡り歩き、そこに生じている問題を解決する。その役割故に、世界規模で大きな戦いの渦の中心になりやすい。
 一つの世界に収まらないスケールの戦いこそがディケイドの本領であり、必要悪ならぬ必要な破壊を為すための使者なのだ。

 ——もしかして、あの場で士が選ばれて召喚された理由は……。

 異聞帯において、ある意味では最大の障害がこれから発生する。それを突破するためにディケイドという存在はこれ以上なく適任で都合がいい。
 これは偶然にしては出来過ぎていないかと、ダ・ヴィンチは脳内でマルチタスクされた思考の一つで考える。

「それに所長とときめは初対面だ」

「可愛らしい所長さんとすごい美人さんだったね!」

「可愛いか……。否定はしないけれど、かのモナリザをそのまま幼くした君に言われるとね」

 フィリップと行動を共にしている残り三名とは、リボルギャリーへと入った時に挨拶と軽い自己紹介を交わした。

「僕としてはダ・ヴィンチにもカルデアの技術にも大いに興味がある。今度は、僕も是非シャドウ・ボーダーにお邪魔させてほしい」

「もちろん歓迎するとも!」

 ダ・ヴィンチは、それこそ天使のように愛らしい屈託のない笑みで頷いた。

 


 

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