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仮面ライダージオウ 35話『2008:ハツコイ、ウェイクアップ!』
ゼミ生の皆様こんにちは、語屋アヤ(@ridertwsibu)です。
キバ編というかギンガ編…………いやもうこれ井上敏樹編でよくない?
朝からむせ返る程の井上敏樹脚本でございました。
今回のがキバ編なのかと問われると、井上敏樹がやっているのだ。キバ編以外の何ものでもない!
この井上脚本感だけでも十分キバというか、ただただレジェンド登場させるだけが過去作再現ではないと思うんですよ。
作品の全体の空気感や雰囲気という意味では、紛うことなきキバでした。
特に釈由美子氏演じる北島祐子がまさに女版名護啓介そのもの。
井上氏はこの系譜のキャラを入れるのが本当に大好きだなあと。
脚本についてはちゃんとジオウ全話確認して設定まで押さえた上で執筆して、この井上感満載な結果になるあたりもう流石としか言いようがありません。
いやもう絶対人を選ぶノリなの見てわかるのですけど、私は好きです。
これが井上脚本だ! って感じで。
仮面ライダーギンガ登場から大暴れする流れは、もうどうしようもなく唐突で勢いな部分はあります。
(この部分については誰が書いても多少なりとも無理やりになると思いますが)
それでもネタや勢いの中にキャラの関係性や伏線を仕込んでいって後半に爆発させるのが井上氏の真骨頂。
今回は井上脚本における井上脚本らしさを軸に、考察をしていきます。
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井上敏樹脚本で食事シーンが示すもの
仮面ライダーにおける井上敏樹脚本といえば食事シーンだ。
食事シーンを挟まないなんて井上敏樹脚本じゃない!(言い過ぎ)
直近の作品である仮面ライダー龍騎のスピンオフでも、全三話の中でビールの乾杯も含めて四回以上の食事シーンが入っている。
これらは当然、何の意味もなく入れているわけではない。
35話にあった食事シーンでは、それぞれの関係性を示している。
先にあったソウゴ達がアップルパイを食べるシーンでは、叔父さんがアップルパイを作り、他の四人は和気あいあいと談笑しながら仲良く食べていた。
現在のソウゴ達は大きな問題を乗り越え、ウォズが住み着いてからの新たな関係性も落ち着いている。
ギスギスせず足並みを揃えて残りのウォッチを集めている状況だ。
この時点では新たな事件もまだ発生しておらず、全体的に緩んでいる。
ツクヨミが実は辛党だとか、ウォズはおかわりをするくらいスイーツが好きとか、そういう本筋に全く関係のない個人の好みが出ているのはそういうことだ。
純粋な笑顔の溢れる、普段はかえってあまり見られない平和な時間と言えるだろう。
つまり、今のソウゴ達は良好な関係であり、一つのチームとして上手くまとまっている。
未来の分岐を決める戦いやツクヨミの過去について等の問題を乗り越えた現在の形だ。
対比する形でタイムジャッカーの食事シーンも描写されていた。
こちらは一見するとウールとスウォルツが仲良くアイスを食べているシーンだろう。
けれど、ソウゴ達が仲良く一つのアップルパイを分け合っているのに対して、ウールとスウォルツはそれぞれで好きなアイスを選んで食べている。
そもそも食べている視線の先では仲間のオーラが選んだアナザーライダーと、顔に傷がつくような喧嘩をしているのだ。
それを助けようともせず悠々とアイス食っている時点で仲間意識の欠如が思い切り出ている。
ソウゴ達は全員で力を合わせて新たな未来を創造しようと協力している。
魔王派のウォズですら、トリニティというこれまでにない未来の道には肯定的だ。
タイムジャッカーは組織的な目的こそ決まっているが、リーダーであるスウォルツは大きな隠し事をしており、ウールとオーラに力を与えてただ利用しているだけ。
ウールがアナザーキカイの宿主にされたら、オーラは容赦なく傀儡にしようと企んだ。
仲間でありながらほとんど協調しない個人主義のタイムジャッカーらしさと関係性が一つのシーンで表現されている。
スウォルツがやたらと個性的なアイスの食べ方しているのは流石にアドリブじゃないかなあ。
ウールが思わずガン見している……。
今回はネタも多いので、全体的にみると妙に溶け込んでいたけど。
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北島祐子が女版名護啓介になった理由
今回のアナザーライダー役、北島祐子こそ井上敏樹脚本の象徴と言えるだろう。
仮面ライダー作品において、井上氏が担当した脚本の作品には卓越した能力を持ち、異常なまでの目的意識を持ったキャラクターが登場する。
『仮面ライダーキバ』ではまさしく名護啓介がその役割に当たる。
『仮面ライダー555』においては草加雅人、漫画版の『仮面ライダークウガ』でも駿河徹也という超強運を武器にする癖の強い男が登場した。
北島は人間離れした嗅覚と、そこからくる高い洞察力を持つ。
冤罪で投獄された(と本人は強く主張している)恨みから、検事や弁護士に復讐して自分こそが法を定める女王になろうとしている。
車を足で止めるシーンはキバで名護啓介が行った行動のオマージュだろう。
有罪と自分ルールで突きつけるテンションも、名護は敵対するファンガイアに対して『その命、神に返しなさい』という決めセリフを持っている。
(ポーズは釈由美子氏がかつて出演したスカイハイのオマージュそのものだけど)キャラ作りや雰囲気とノリは名護啓介を強く連想させた。
アナザーキバについてはキバを純粋なファンガイアにしたようなイメージだった。
キバである紅渡が人間とファンガイアのハーフなのでアナザーらしいデザインといえばデザインだ。
そしてアナザーキバのデザイン性から、ガルル達アームズモンスターを引き連れても全く違和感がない。
しかも本家のキバ以上にアームズモンスターを活用して、しかも使いこなしている。
不遇で有名なバッシャーもちゃんと活躍したぞ!
なお、ドッガハンマーはその重要から引きずるのがデフォルトだったが、アナザーキバは普通に扱っていた。
これはアナザー故の違いなのか。
それとも四十キロ位あるマンホールの蓋を時に投げたり、時にキャプテンアメリカの盾みたいに扱う素の怪力が合わさったことによるものだろうか。
いや、あんな普通にマンホールの蓋を使いこなされたらシリアスな笑いにしかならないって。
ちなみに、タイムジャッカーは新たな王の擁立を目的としているが、ただ新たな王を作ればいいというわけでもない。
もちろん、アナザーライダー本人に王となる意思があるのはプラス要素である。
あえて女性をアナザーライダーに選び、女王になる意思を持つアナザーキバを生み出したのは、タイムジャッカー紅一点であるオーラだからこその発想だろう。
けれどアナザーライダーを傀儡にして、自分達に都合の良い世界を作ることが少なくともウールとオーラにとってはもう一つの重要な目的である。
言うことをまるで聞かず、むしろ跪けとか言ってマンホールアタックかましてくる女王様は、擁立する王としては本当に欠陥品なのだ。
(北島における『王』の要素については次回の予想考察で語る予定)
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唐突かつツエスギな仮面ライダーギンガ
井上敏樹脚本とかそんなもの関係なく唐突、ひたすら唐突に大暴れなされた仮面ライダーギンガだ。
こいつが出た瞬間、もう話の流れが一気に変わった。
そこまで女王ムーブで強キャラ感出していたアナザーキバも一蹴している。
『地球の法』に対して『宇宙的存在』が現れたのだから、まさしく次元の違う強さだ。
⌚⌚新たなる仮面ライダー現る?!⌚⌚
ギンギンギラギラギャラクシー!宇宙の彼方のファンタジー!で!有名な仮面ライダーギンガがジオウに登場するジオ!?!?いつ登場するかは・・・ジオ!#ジオウ #仮面ライダーギンガ #4月1日 #ルパパト #ギャラクシー賞おめでとうジオ pic.twitter.com/VQTyKE0Hl9
— 仮面ライダージオウ (@toei_rider_ZIO) 2019年3月31日
次郎(ガルル)が人間態で『時の扉』を開けた時に見たと語ったが、それしか情報がないのでストーリー的には本当にいきなりだった。
仮面ライダーというのも基本的には自称だ。正体不明にも程があるよ。
仮面ライダーのほぼ唯一と言っていい絶対的原則として、『敵と同質の力を使用する存在』がある。
仮面ライダーギンガは存在があまりに孤立していて、敵対者とかそういうものすら全く見えない。
いきなり宇宙から現れた星の破壊者であり、どちらかというと怪獣映画のノリじゃなかろうか。
渋谷隕石にでも紛れて一緒に落ちてきた方がまだ説得力あったよ。
とっくの昔に終わったフォーゼ編は置いといて、まだ宇宙に多少なりとも関係のあったカブト編で出すべきだったのでは?
なお、声優に杉田智和氏が選ばれた理由だが、キバットバット三世はまあ当然だろうとして、特撮以外にも『ギン』の似合う声優だったためだ。
マジで銀魂の銀さんも理由に含まれてるじゃないですかやだー。
戦闘力と絶大で、現行最強であるジオウトリニティでもまるで歯が立たなかった。
というかソウゴらのノリが軽くて、序盤の和気あいあいとしたノリが悪い方向に出ている感じにも見える。
ツクヨミからは、またもダメだこりゃをいただいてしまった。
まあ、元々トリニティはこれまで高いスペックで押しきる戦いが多く、チームワークが良いから強いわけではない。
初めてスペック面でも圧倒される敵が現れたのだとしたら、手も足も出ないのは当然の結果といえる。
設定的には新たな歴史を創造する象徴のトリニティが、宇宙規模で世界を終わらせるギンガに敗北した。
結構シャレにならない事態である。緊張感いまいちないけど。
ギンガとは果たして何者なのか。
どうして現れたのか。
登場が無理やり過ぎて色々疑問があるというか疑問しかない。
けれど最大の問題は……次回でコレ畳めるの?
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