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Vシネクスト『暴太郎戦隊ドンブラザーズVSゼンカイジャー』ネタパレ感想・考察

2023年5月7日

作品情報

Vシネクスト『暴太郎戦隊ドンブラザーズVSゼンカイジャー』感想・考察
タイトル 暴太郎戦隊ドンブラザーズVSゼンカイジャー
作品要素

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ネタバレ無しレビュー

ドンブラザーズになってからSNSで女性ファンが増えたなぁと感じていたのだが、実際に他の東映特撮作品に比べて、劇場内の女性率が目に見えて上がっていた。
て言うか人が多い! 主に大きなお友達が!!

新海誠作品やかぐ恋(実写)の女性客率と、鑑賞態度の悪さをちょっぴり思い出したのだけどそこはそれ。
特撮ファンなお姉さん方の鑑賞態度はとても良かったです。訓練度合いが違うぜ。
興行収入も良かったようでそれは何より。

本作は前半がゼンカイジャーパート、後半はドンブラザーズパート。そしてラストに二つが合流してVSパートに入る。
白倉Pらしい仮面ライダーのMOVIE大戦で定番化している構成だ。

脚本はそれぞれに本編を担当した方々であり、ラストのVSパートは白倉Pが土台を作り脚本家二人で肉付けしていった模様。
ちなみに白倉Pは文章を書くのがかなり上手く、小説版の仮面ライダーも手ずから書いており、しかも普通に面白かった。

そして、この冬映画構成はかなり効果的だったと言える。
ゼンカイもドンブラもスーパー戦隊としては異色で癖が強い。
ゼンカイはまだしも過去作へのリスペクトが強いので、前作のゼンキラみたいに混ぜ方次第で親和性を持たせられる。

だが完全に我が道を行くドンブラは、相手がどうとか関係なく混ぜるな危険だ。
今回はあえて分けて素材の味を楽しむ姿勢は賛成だ。

そしてドンゼンは分けたからこそというべきか、どちらのストーリーも特別感がない。
映画の特別感を求めて視聴したら、肩透かしになってしまった人もいるだろう。

スーパー戦隊同士が協力して戦うなら、それに相応しい巨悪が必須となる。
逆に素材を活かす方向に舵を切るなら、それは余計な味付けになりかねない。

どちらも後日談として、ゼンカイはいつものゼンカイをやり、ドンブラはいつものドンブラをやった。

ゼンカイジャーは過去作をリスペクトして、カシワモチ中毒というお題に対して全力全開でちょわーする。

ドンブラザーズもやはり、スーパー戦隊って何だっけとなる展開をぶっ込んでくる。
凄まじい情報量と密度で、キングオージャーに順応した脳みそだと、改めてよくこれで一年やれたなと思う。

二年連続で異色と呼ばれた作品達であるが、双方の異色性がわかりやすく浮き彫りになっていた。
ゼンカイ脳とドンブラ脳を交互にやられたら落差で脳みそがバグるだろ!!

ただし、ドンブラは本当に良くも悪くもいつものドンブラ過ぎた。
ゼンカイ側のスッキリした終わりの後に、カルピスの原液を流し込むような所業ッ!!

劇場を後にする人達はだいたい、いつものゼンカイとドンブラで満足して帰る人と、消化できず胃もたれ起こしてなんとも言えない感じの人にバッサリ別れていた。

まさしくドンブラな作品性ではあるのだけど、今回に限っては、ドンブラそのものよりも井上敏樹脚本の性質をドストレートに受け止められるかで大きく変わるだろう。

ゼンカイジャーサイドは、ゼンカイジャーが好きならいつも通り満足度高めに楽しめる。
ドンブラザーズサイドは、いつも以上に井上敏樹氏の容赦がない作家性に耐えられる人向け。

ファンでも万人にはオススメできないが、好きな人はめちゃくちゃ好きなタイプの作品。

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ネタバレ有りレビュー

ゼンカイジャーは久しぶりなのに、もう実家のような安心感だった。
カシワモチワルドという五月代表のワルドを再起用。
しかも敵役のポジションをゾックスに食われている。柏餅だけに。

キャストのSNSやパンフレットのコメントで、作品の売れ行きよりも、柏餅の売れ行きを心配しているところも心底ゼンカイジャーである。

闇の柏餅ブローカーとなって、裏から多種多様な闇柏餅を流すゼンカイジャー達。やっていることが完全に悪役のそれ。うーん、ゼンカイ脳!!

そして貢がれた柏餅の微妙な味の変化に気付くゾックス。違いのわかる男。

ハカイザーとステーシーの微妙な関係性へ踏み込むところには、ちょっとした特別感があった。

後は、ゾックスが暴れないと約束したのはカシワモチワルドの時で、その約束を破ったことを謝罪したり。
ゾックスは漫画好きで、カシワモチワルドに漫画雑誌が出されていたり。
ゼンキラのポットデウスがトジテンドで仕事していたりと、過去のネタを丁寧に拾っているのもポイントが高い。

本当に文句の付けようがないくらいゼンカイジャーだった。

ドンブラも非常にドンブラだったのは間違いない。
開始早々からほぼ全員が冷めているドンブラザーズに、何の問題も感じていないリーダーのジロウ。
最終回を迎えた後のスーパー戦隊とは思えない空気感よ。

そしてタロウの記憶復活という重要ファクターを、最終回の余韻など知ったことかとギャグの流れでサクっと済ませる。
普通そこは尺がなくても大事にするとこだから!!
お題に対して全力全開がゼンカイジャーなら、平常運転から狂っているのがドンブラだ!

敵もカシワモチワルドに対して、こっちはニンジャおじさん。
私は観ていないスーパー戦隊も多いけど、その辺の迷惑なおじさんが敵の顔役なのはドンブラザーズだけだと言い切れるよ。

冒頭だけでもこの有様だけど、その後も展開が早い! 密度が高い! 話が濃い!
これに慣れすぎたせいで、キングオージャーがまだAパートじゃなくてこれで一話終わりなのかと驚いたからネ!
(ストーリーとしては面白かった)

中でもえげつないのは、ジロウが三歩進んで三歩戻っとる。
戦闘力だけは着実に上がっていて、パワーアップ後のソノイにタイマンで勝ってしまうからなおのことタチが悪い。
いやもうホント、悪い冗談みたいな扱いの追加戦士枠だよ……。

そして密度の高さと共に、『話の文脈から読み取る面白さ』が本作にはある。

わかりやすいところから書くなら、タロウがお供たちを順番に回り様子を見るのは、最終回との対比だ。

他にも、喫茶どんぶらではドンムラサメが保護者強制同伴で働いていた。
ショタボイスで一生懸命仕事をするムラサメとよくできましたと褒めるマザーが微笑ましくてカワイイ!

これはよく声の似たプリキュアの少年枠にも負けないぜ!
ガンダムで水星帰りの母親も、マザーぐらい子供に理解があればと思う次第。

そんなノリで押し切られてしまいがちだが、売れっ子漫画家になったはるかと(お目付け役で)ソノザもいないから、ドンムラサメが社会勉強みたいなことをしていたとわかる。

タロウの帰還に顔を出さなかったのは、忙しいだけでなく、ドンブラザーズの現状に対する後ろめたさもあったのだろうと想像に難くない。

ドンブラザーズ解散→桃井タロウの死の流れは、事前にタロウの復活阻止でポイントを使い切らせる意味合いもあった。
タロウへの罪悪感もその分だけ増す。

こんな感じで、ギャグでめちゃくちゃしつつも、全体的なシナリオや設定の整合性は取っていた。

ニンジャおじさんマザーが死んだと思いきや寝ていただけのオチは、最終決戦でソノイが生きていたと思わせて、おでん屋で眠るように息を引き取る流れと対比関係になっている。

そして完全なハッピーエンドにならず、「この後どうなるの!?」となるのもドンブラザーズだ。
しかし、それは『この先』があるから期待感として機能していた。

キンドンまで一年有り、復活できるような引きもないので、視聴者側が受けるソノイショックは質が異なる。

命を返すと死亡フラグは立てていたが、タロウ復活の流れが口からタロウ汁吐き出すネタだから、完全にシリアスな笑いになっていた。
ドンドラゴクウを止めるため参戦したのもフェイントとして上手く機能している。

ちなみに、SNSでは同じVシネマ作品である復活のコアメダルなどと比較する人もいた。
だが、これは逆なのだ。

主要人物達が容赦なく死ぬ重い展開や結末は、平成仮面ライダー初期にあった流れである。

そしてその初期の流れを作った一人は、他でもない井上敏樹氏だ。
ガンダムシリーズが宇宙世紀からアナザーセンチュリーになって大きく変わっても、どこか『らしさ』のようなものはあるように、仮面ライダーもまた初期の空気感が時折顔を出すことがある。

復活のコアメダルやゼロワンOthersは井上敏樹氏の延長線上(ある意味でリスペクトとも言えよう)にあると主張したい。

だからこそ、本作のドンブラサイドはやはり井上脚本らしい結末であり、私はそれも含めて楽しめた。

しかしながらドンブラザーズは、スーパー戦隊を新規顧客にリーチしまくった作品だ。
冒頭でも書いたけど、お姉さん方の食い付きは、感覚的にゼンカイジャーよりも上だった。

個性の豊かさから、推し文化とも非常に相性が良く、ソノイは人気キャラの一人であったことは間違いない。

キャラクターの死に対するストレスが一昔前に比べても格段に上がっているのは、それこそ復活のコアメダルが示していた。
視聴前は完全に予想外だった推しの死を、受け止められないファンは多いだろう。

賛否両論の強いVシネマの作品性がまさかのスーパー戦隊にも到来したわけだが、その要因が白倉P&井上敏樹氏コンビなのは実に感慨深い。

というか白倉Pが井上敏樹氏か小林靖子氏を連れてくる時は、もう抜き身の刃を手にしたと思うべきなのだ。

最後にこれだけはツッコんでおきたい。

ブルーン
「トゥルー・ヒーローって何ですか?」

視聴者
「こっちが聞きたいよ!」

一応ディケイドでいうところの紅渡的なポジションであるのは白倉Pから明かされた。

設定ではなく制作サイドの事情としては、一年間戦ったキーキャラクターをドンブラザーズのフックにしたい。
しかし演者をいつまでも拘束するわけにもいかず、役から『卒業』させなければならない。

卒業のさせ方としてディケイドやオーズは評判が良くなかった。
(なお、公式が復活のコアメダルを駄作だと認めたとかは、あまり思わない方がいい。アマゾンズの制作発表時に「最近の仮面ライダーってつまらないですよね」と堂々と宣うのが、白倉伸一郎氏の切り込み方である)
士に至っては、設定的にも他に卒業のさせ方はなかったと思うけど……。
そのため紅渡のように、オリジナルとの関係性を曖昧にボカシつつ、実質別人化させたのだ。

それはそれとして、マスターはVシネマだろうと正体を明かさないオチはわかっていたけどネ!!

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総評

ゼンカイジャーとドンブラザーズのパートをあえて分けており、仮面ライダーMOVIE大戦式の挑戦的な構造になっている。
量作共に、本当の意味で『いつも通りな作品性』になっているので、お祭モノ的な特別感は薄め。

ゼンカイジャーはいつも通りのノリで、ファンなら安定して楽しめる構成。
ドンブラザーズもいつも通りなのだけど、井上敏樹氏の作家性がかなり色濃く出ていた。
ファンでも重い展開が苦手な人にはオススメしにくい。

個人的には好きな作品で楽しめたけれど、ファンでも視聴者を選ぶという意味合いから評価は星3となった。


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