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【小説 仮面ライダークウガ 感想・考察】13年の歳月を経たからこその名作

2020年5月27日

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ゼミ生の皆様こんにちは、語屋アヤ(@ridertwsibu)です。

二度に渡るクウガ考察を書き終えてみたらなんと2万5千字オーバー。当初は登場人物一人ずつ語っていくスタイルも考えていたのですが、それをやったら本一冊分の分量になっていましたね。

http://kamen-rider.info/kuga1/ http://kamen-rider.info/kuga2/

そんなわけでようやく書き終え、さあ次はアギトだ! となる予定だったのですが、本編全部再視聴したら小説版も衝動的に読み直したくなってしまいました。

これがまた面白い! クウガの正統後日談として間違いなく名作と断言できるクオリティ。
クウガ本編の考察時はあえて小説には触れないようにしてました。

小説版の発売はクウガ本編の13年後。当然放送当時は小説の構想は存在してません。
あくまで本編は本編としてのみ絞り、考察を書くべきだと思いました。

もし考察の途中で手を付けてしまうと、特に感情を乗せて書く部分は何かしら影響を受けてしまう。
小説の細部については記憶が曖昧化している今ぐらいがちょうど良いと思い、読みたいのを我慢してました。

そして半ばご褒美のように読み漁ると、やっぱりスゲーイ面白い! これはこれで感想を書きたい衝動が抑えられなくなりました。
本作の出版はテレビ放映から13年後。しかも表紙は簡素過ぎて一見するとチープさすら感じてしまいます。

今の時代ならクウガ本編を手軽に視聴し直すことも可能。
存在を知らなかった人、小説だからと手を付けるのに抵抗があった人に勧めるのは今が良い頃合いではないかなと。

そして知っている人にはまた本編見直して読みたくなるぐらい、この作品の素晴らしさを語りたい。
そんな気持ちで感想と考察をしていきましょう。

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ネタバレなしの解説・感想

引用元;小説 仮面ライダークウガ

グロンギ族という名の異形の者たちと、危険を顧みず戦った五代雄介が忽然と姿を消してから13年の月日が経った――。
巷では、グロンギの噂が出ては消え、何事もなかったかのようなと時が慣れていた。
しかし、未だグロンギを追い続ける一条薫は、ネット上で白い戦士の書き込みを知り、五代の事を思い出していた……。

作品の執筆者は、TV版のメイン脚本である荒川稔久氏。
物語も本編から十三年後の、正当な後日譚として書かれている。

一本の物語としてきちんと完結しているが、読んだ感覚では13年後の新章開幕って感覚もある。
読んだ当時は、これこのまま連載化しないかなと思ったが、そんなことはなかったぜ。
代わりに、想像の斜め上をいく漫画版が開始されたけど。

小説全体の空気感は完全に『あの頃のクウガ』だった。
その要因は大きく分けて三つある。

一つ目は懐かしい登場人物達だ。
十三年の変化を入れつつも、各キャラクターの本質はほとんど変わっていない。
しかも単行本一冊の中に、クウガのメインキャラは大部分が登場している。
流石に一部は名前だけだが、きちんとその後どうしているのかがわかるのは嬉しい。

二つ目はTV本編を彷彿とさせる、徹底したリアリティの追及だ。
現実に存在する地名や、発売当時2013年の社会を下地にした設定を使い、まさしく『その当時』にクウガの戦いが生じている。

グロンギとの戦い後、アギトに相当する事件は一切発生していない。
元々アギトは未確認生命体に関する事件は起きているが、クウガとは明確に世界観が分けられていた。
設定無視というわけでもなく、純粋にあの世界観の十三年後が楽しめる。

そして最後はこれもTV版クウガと同じく、刑事ドラマであること。
TV本編ではほとんど全編に渡り警察を軸の一つとして、未確認生命体の事件を追って謎を解明していった。
これも見事に再現しており、グロンギVS人間の構成は変わらない。

警察ということで、当然一条も出てくる。
むしろあらすじを読んでも分かる通り、本作は一条薫こそが主人公だ。

TV本編当時の、そして別れた後に抱いていた五代に対しての想い。
それだけでなく、かつては触れられなかった椿との出会いや父親に関する事件。そして何故女っ気のない生活をしているのかが、かなり詳細に書かれている。
一条ファンにとっては垂涎のアイテムと言って過言ではないだろう。

なお、クウガを知らない人が楽しめるか否かについては、ここはイエスと言いたい。
TV本編の地続き作品であるため、視聴済みの方が楽しめるのは当然だ。

とはいえ、そもそもクウガは2000年の作品だ。かつて観た人でも詳細は色々忘れてしまったとしても不思議ではない。
かつての主要人物が出る時はさらっと解説が入る。
クウガの物語自体も序盤でざっと振り返っているので、忘れた人や未視聴者の補完的な役割を果たしている。

実際の例として、小説版クウガの紹介としてラジオ番組『JFN・SUNDAY FLICKERS』に荒川氏がゲスト出演したことがあった。
その際にパーソナリティの春風亭一之輔氏は、『ドラマを未視聴で小説を読んだが本当に面白くて、これからドラマを観ようと思っている』という旨の発言をしている。それだけ一本の小説として完成度が高いのだ。
クウガ未視聴とTV本編のファン、どちらにも勧められる作品である。

https://quatan.net/honto批評/

【次ページ:社会情勢を取り込んだ新しいゲゲル】

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