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Fate/Requiem 考察・感想 FGOとの関係や未読時の問題なども解説

2020年5月27日

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ゼミ生の皆様こんにちは、語屋アヤ(@ridertwsibu)です。

今回は久方ぶりのFate関連記事となりました。
先に小説版クウガの考察を書き上げるはずが、まさかRequiemイベントが月曜日に始まろうとは……。
もっとはよ教えといて!

これまでのコラボイベントは、コラボ元が完結しているかかなりの巻数を重ねていました。
今回はなんとたった一巻。それも単発作品ではなく続き物作品です。
原作を読むべきか否かの選択肢は結構悩みどころでしょう。

そもそもRequiemとはどのような作品なのか。
個人的に当シリーズはFGOプレイヤーを重視しながら、結構独特な立ち位置にあると考えています。

商業性と物語性。そしてFateブランドとしての在り方……。
微妙なバランスの上に成り立つ不可思議な性質も共に語っていきましょう。

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ネタバレなしの解説・感想

引用元;Fate/Requiem

―――昔、大きな戦争があった。
戦争は終わり、世界は平和になった。今では誰もが“聖杯”を持ち、運命の示すサーヴァントを召喚する。
ただ一人の少女、宇津見エリセだけがそれを持たない。
少女は、世界で最後に召喚されたサーヴァントの少年と出会う。
だが彼女はまだ、自分の運命を知らない。

Requiemシリーズが発表された当初は、新しいFateシリーズだ! 舞台は皆大好きあの都市!
斬新な世界観のFateがはっじまるよー! みたいなイメージだった。

実際基本の世界観はこれまでの聖杯戦争とは大きく異なる。
イラストも既存作品とは雰囲気違い一般的なラノベ要素が強くて、ロゴがないとぱっと見あまりFateらしさを感じないだろう。

実際の中身は確かにこれまでにはない設定と世界観をしているが、その基盤は結構しっかり既存のFateシリーズを踏襲している
知らなくても大きな問題はないが、知っていると楽しめる要素はある。

Fateシリーズは(数多ある派生も含めて)一部しか読んでいないのだけど、それらと比べても文章の濃度はあまり高くない。
なろう系のように極端に薄いという程でもなく普通のラノベ程度だ。
濃い目の文章に慣れている人からすれば物足りなさはあるかもしれない。独特な世界観の割に情景描写が全体的に割とあっさり目なのはちょっと気になった。

既存のFateシリーズがカルピスの原液に近いとすれば本作は適度に水で薄めて飲みやすくなっている。
恐らくFGOから入ったライトユーザーを意識した結果ではないだろうかと思う。
実際、作者の星空めてお氏はFGOの脚本も一部担当している方だ。

誰しもがサーヴァントを持てる世界観だけあって、次々とサーヴァントが登場しており、それらもFGOファンを強く意識しているセレクションだ。
FGOをプレイしていれば、「次は誰が来るかな?」という小さなワクワク感や楽しみはある。

とはいえ、そこまで出番が多いわけではないので、過度な期待をすると勝手に裏切られるから気を付けよう。
仮面ライダーシリーズで言えば劇場版のゲスト出演枠くらいのノリ。

既存キャラだけでなく真名当てクイズの要素もある。
FGOでも1.5部から導入されているので、どのシリーズからでも馴染みが薄い人はそんなにいないだろう。

全体のストーリーについては、一冊丸ごと大きなプロローグと言ったところ。
そのため一冊分の物語としては物足りなさや不完全燃焼な部分はあった。

小説とはシリーズものであっても、ある程度一冊で完結していなければならないと個人的に思っている。
(一巻完結を連続するのではなく、一冊単位で起承転結や見せ場を作り物語として構成する必要があるという意味。最初から上下巻と銘打ってる等は別だけど)
特に第一巻は読者を惹きつけるという意味でも重要だ。

本作はお楽しみ要素は多いのだけど、全体的にみると世界観の解説や伏線を蒔くことに終始していた。
そのためストーリーを盛り上げる要所が少なく、一番の見せ場も今一つカタルシスが弱い。
一応驚きの結末! みたいなものは幾つか用意はされている。

その一つは少年サーヴァントの真名であり、ただ展開上これ単体では少々パンチが弱い。
これはFGOから入った人だともはや公然のネタバレ状態なので一部の人には今後機能しない。
(先に読めた私はある意味幸運だったと言える)

他については衝撃と呼ぶには弱く、喜ぶ人は少なからずいるだろうけど、私はうーんとなってしまった。
多分これはFateシリーズ全般に対する思い入れや感覚的な部分も強いので、多少人を選ぶオチではあると思う。

ただし本作に対して何の衝撃もなかったかと言えば、そういうわけでもない。
FGOから出ている中でゲストではない扱いの例外も存在する。ていうか出ると知らなかったので存在だけでかなりの不意打ちだ。

しかも、お前そんなキャラやったんか……という驚きも素直にあった。
でもそうだよね。そういう性格だからFGOでもああしたんだね。と勝手に納得。

次巻以降の出番も間違いなくあるだろうレギュラー立ち位置なので、FGOが超好きな人は世界観の理解を深めるという意味も含めて、このキャラのためだけに買う価値はあると思う。

なお、長らく一巻で放置されていたが二巻の発売は決定している。
FGOのネタバレを心配しないなら、二巻までセットで購入するのも手だ。

https://quatan.net/honto批評/

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FGOのRequiemイベは未読でも問題ない?

以下FGO関係のネタバレ注意。
(イベントスタート前に対する公開情報以上のイベントネタバレはありません)

前項でも解説した通り、Requiemは一巻ではあまり話が進んでいない。
ぶっちゃけ一巻のストーリーだけでイベント出すのは無茶だよ! と開始前の時点で思った。

案の定、イベントは作品外のオリジナル要素はかなり多い。
むしろイベントが逆にネタバレした事柄もある。

そもそも原作にボードゲーム要素は全く無い。Requiemとボードゲームを組み合わせた新機軸ストーリーだ!
ブーメランと空手を組み合わせた新しい格闘技みたいになってしまった。

他の類似で言えば、水着とシムシティや、水着とカーレースや、水着と脱獄や、水着とカジノを組み合わせた全く新しい夏イベント。
あ、なんだ稀によくあるやつだこれ。

舞台の基本設定は流用されているが、これは作品だとあらすじやそこに近いレベルの話なので、ネタバレとしてはかなり緩い部類だろう。
ボイジャーがざっくり解説しているが、第一巻ではまだ町の秘密についてそこまで深く掘り下げていない。

次に各サーヴァントについて。ボイジャーは最大のネタバレがその真名である。
これについてはイベントの詳細出た時点でどうしようもないため例外だ。

他の設定については小ネタや一部原作を意識している部分もある。
けれど、掘り下げないとネタバレとわからないレベルなことも多い。第二再臨はまさしくその典型例だろう。

ネタバレ駄目、絶対。って人じゃないなら「あー、これそういうことだったのか」と逆に楽しむぐらいのつもりでも大丈夫な程度。
星5の割にネタバレの被害は比較的小さい。

逆にボイジャーは一巻時点だと判明している事柄が少なすぎて、FGOからの逆輸入設定の方が遥かに大きい。
FGOオリジナルの範疇は、マイルームやプロフィールでも語られている。
多分原作既読組は結構な確率で「君、そんな子だったの」ってなるだろう。私はなってる。でも宝具の笑顔が可愛いので全て赦した。

次に星4枠の鬼女紅葉。
元々原作で設定はあまり掘り下げられてないので、大部分はFGOが出典。

というかガチャで引いた瞬間ネタバレになる。なんだこのテロ。
むしろ出オチのインパクトがあまりに凄まじいので、原作よりガチャで引いた方が楽しいのではないだろうか。

サーヴァントとしての性能もほとんどFGOオリジナルと呼んで差し支えない。
ただ一部スキルは近いものを原作でも使用しており、繋がりが見える。
またシナリオの会話から、紅葉が本来のマスターをどのように思っているのか垣間見える部分があって面白い

原作的にも結構早めに出てくるので、急いで買えばほとんどネタバレなく済む要員だ。

最後に配布星4枠、宇津見エリセについてはオリジナル要素と恐らくは二巻以降のネタが入り混じっている。
原作の役割的にランサーが割り当てられるとは思ってなかったので意外だった。

それでも一番原作設定が求められるキャラクターは間違いなくエリセだ。

Requiemは全体的にエリセの一人称で展開しているため、未読だと彼女の人格や性質に対する認識と印象は大きく変化するかもしれない。
(ストーリーでも序盤から彼女の変化については触れられている)
3~4章では一応ストーリー内でエリセの人となりについて解説はされたが、むしろ解説通りに結構こじらせてる系女子だ。
内面の複雑さについては、第三者視点での話だけでは解説しきれない部分がある。

4章での英霊に対する扱いについても、原作の掘り下げが関わってくる。
英霊を持たない少女が、何故様々な英霊についての知識が豊富なのか。
それは英霊へ敬意とFate原作にも関わるある人物が起因しており、これは前半の方で書かれている。読めばエリセに対する感情移入がしやすくなるだろう。

またボイジャーとの関係性は特に重要な要素だ。
関係性を言葉にできないと言った通り、微妙な距離感と流れを経て今に至っている。
単純に主従や親愛と言えるような間柄でもない。
むしろ君達原作でそこまで仲良しだったっけ? と思わなくもないけど。

逆にエリセもFGOで掘り下げられたり判明したりする設定と色々ある。彼女の服装センスとか、ちゃんとマテリアルに書いてあって楽しい。

彼女固有の力については、二巻以降で判明する原作の設定を先出ししたものだと思われる。
どちらにせよ、サーヴァントになって変わっていくエリセを楽しむなら原作は是非とも読んでおきたい。

総括すると、ネタバレに大きく関わる重要要因は大部分がエリセとなる。
彼女の人となりを知っているか否かで、イベントにおける印象は大きく変わってしまう。

逆にイベントで明かされるエリセの年相応な反応や可愛らしさは、むしろ後の原作を読む時にいい方向に作用するように思う。
設定上の秘密においても、これが原作においてどう調理されていくのかに期待したい。

Twitterで見つけた言葉で一番しっくりきたものは、一巻は読んでいることが前提の副読本。
Requiemの二巻以降をより楽しむためイベントだと言えよう。
私はこのイベントをやったことで、今後はエリち可愛い可愛いしながら読めるネ!

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Fate/Requiemはどの層に向けた作品なのか

以下、物語に対する核心的なネタバレ注意。

本作を万人に勧めるのは少し難しい。
ならどの層にオススメできるかもハッキリとは断言しにくいので困る。

本作の問題は大きく分けて二つ。
ネタバレなし時でもふんわり解説した、読者層と物語構成の問題だ。

登場するサーヴァント達や文章についてはFGOプレイヤーが楽しめる要素が多い。
ファンサービスを旺盛にして、全体的にわかりやすさを重視しているように感じた。

だが、物語の基本構造は結構ややこしい上に曖昧な部分も多い。
今後解説される前提であやふやな語り口になっている。

そして新しい世界観を構築しながらも、その基盤にあるのは原点シリーズだ。
これは喜ばしいことでもあるが、同時に残念でもあった。

オチは結局冬木に落ち着くのかーと私なんかは思ってしまうのだ。
しかもFGOから入った人からすると特異点Fの天丼ネタでもある。

Fateシリーズであり、町の管理者はカレンシリーズなことも含めると当然だろと言われるとその通りではある。
シリーズとして原点を大切にする考え方はきっと正しい。
それをわかった上で、FGOの新規読者を意欲的に取り込み世界観を一新して独創性をもたせようとした試みと矛盾しているように感じるのだ。

そりゃロックマンみたく毎回ラスボスがワイリーとの戦いに拘っているなら、最後の相手が他の相手だとむしろ気持ち悪さがある。
既存のFateシリーズは徹底して冬木にこだわっているわけではない。
FGOにとっての冬木は旅の始まりだったから、世界観はそこから大きく広がっていった。

Requiemにおける冬木出し方だと、そこが物語の収束点。収まるところに収まるよう風呂敷の中心に最初から石を置いたみたいに感じた。
ここから先の展開はどうあれ、一巻を一つの物語として捉えるなら、世界観を狭めてしまう使い方だ。
FGOファンを意欲的に取り込む流れと既存ファンを大切にする設定が衝突して、結果的にどっちつかずになった状況に思えてしまった。

物語も一冊丸々プロローグになっているので展開が遅い。
本作一つだと物語の世界観はそれなりに楽しめるが、物語としては楽しめるかと問われたら首を傾げる。

FGOで言うなら特異点Fに到着して疑似サーヴァント化したマシュが登場して、これから戦闘だってところで第二巻へ続くと言われに近しい。
カルデア爆破されてピンチですが一巻の最後の目玉シーンとか言われても困る。

Requiemに当てはめるなら、カルデア爆破時に戦闘を付けたのが闘技場での戦いだ。
それならそこで物語的な見せ場、カタルシスが欲しかった。
本当にやられるだけやられて終わりって……反撃も糸口だけで具体的な流れが見えない。

ボイジャーの真名がわかるのは重要であり見せ場として機能しているが、それがカレンの喪失による実質的な敗北に対する物語的な逆転には繋がっていない。
本当に、これから始まる物語として畳まれている。
だが、逆に言えば二巻からが本番。巻き返しの可能性はまだまだ十分にある。

加えて、物語として描くべきとところは描いており、Requiemの世界とテーマ性はハッキリ示している。
本作の世界観に現状で近しいのはビックオーだ。
ビッグオーでは皆が40年以上前の記憶を失っている。

けれど人は自らの境遇にいずれは慣れる。
40年前に起きたことを追いかけるより『そういう世界』として適応するのだ。
そして町の歪を正す調整者として主人公がいる。

Requiemの構造もこれと同じ。
適応した者達にとっては過去の歴史は価値あるものとしても、生きていく上で大した意味を持たない。
一家に一台ならぬ一人一サーヴァントの生活が普通になれば、そうじゃなかった世界、そうじゃなくなる世界を一々想定した生活はしないだろう。
当たり前を当たり前として享受する。

そうなった世界で、宇津見エリセだけが一人世界に取り残されている。
取り残された世界でなお、調整者の役割を果たすことで辛うじて世界と自分に繋がりを作っている。
彼女は『そうじゃなかった世界』が今の世界と地続きで、故に過去の歴史を意味あるものとして扱う。

手に入らない英霊への想いに身を焦がし、強い歴史を紐解き時代を拓いた英雄譚に敬意を払う。
疎外感は同時に、現代での英霊に対する扱いへの不満へと繋がる。

世界から弾かれた異端には異端が寄ってきて、より強固に孤独な世界を築いていく。
その中である日、エリセにとって特別な少年が現れる。

少年もまた孤独だった。
今ある世界とは隔絶された時を生きる旅人ボイジャー

二人が求めるのは『そうじゃなかった世界』の分岐点、冬木。
これは孤独な少女と孤独な少年が、歪んだ世界の終わりを求めて旅を始めるまでのボーイ・ミーツ・ガールだ。

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