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仮面ライダーセイバー 第16話 仲間割れから漂う平成ライダー感【感想・考察】

2020年12月28日

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ゼミ生の皆様こんにちは、語屋アヤ(@ridertwsibu)です。

珍しく、そして久しぶりな単話での感想です。
セイバーでは第一話以来ですよ。
本当は劇場版の感想書こうと思っていたのですが、今週のセイバーに思うことがあったので想いをキーボードに叩きつけることにしました。

スーパー戦隊空気から始まったセイバーが、今週はめちゃくちゃ平成ライダーっぽい。主に仲間割れ展開が。

当初はツイッターでネタ的に書いていたのですが、賛否両論でちょいとセンシティブなことになりやすく、短い文字数ではどうしても説明できそうもない
という事情から、ブログにてまとめようと思った次第です。

そういうわけで、突発的に今年最後の仮面ライダーセイバーについて、語ってまいりましょう。

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仲間割れ展開に視聴者意見も割れる理由

今回のセイバーは年末最後の話にして、新展開へと入った。
そこで新たな展開としてノーザンベース組が実質的にサウザンベースへ組織としてのコントロール権を奪われる。

ソードオブロゴスに裏切り者がいると確信した飛羽真は、サウザンベースへの加入を拒否して、ノーザンベース組に襲われてしまった。
賛否両論となったのは、大部分がこの仲間割れ部分についてである。

この問題は、どの視点で見るかで考え方や話の評価は大きく変わる。
組織としてみると、司令塔がいないノーザンベース組が、一時的にサウザンベースの管理下に置かれること自体はそこまで理不尽ではない。

そして組織である以上命令には従わねばならない。
たとえ上司が1000%ブラックなパワハラ上司でも!
実際には上司の姿全く見えないので、信用できなさそうな美女メッセンジャーが主体だけど。

飛羽真としてみると、裏切り者がいる組織であるからには、軽々と重要な情報は仲間にも漏らせない。
しかも直後に正式なメンバーにならないかと声をかけてきた。警戒するのは普通の感性だろう。

だが、これらは考え方を少し変えると不可思議な部分も多く出てくる。

まず飛羽真だ。前提としてソードオブロゴスやサウザンベースは信用していないが、苦楽を共にするノーザンベースの仲間達は信じている。
冒頭から暗くなりかけた空気を明るく保ち、仲間達を眺めてつぶやいた。

「大丈夫、皆と一緒ならきっと……」

「カモセイロー!!」

最近の鍛冶師は蕎麦も打つらしい。

いきなり脱線してしまった。
飛羽真はそんなこと言っていたのに、大事なことは誰にも話していなかった。
その後も15年前の真実を皆と探したいとも言っている。

ではなぜ、重要な部分を伏せているのか。
もちろんソードオブロゴスに報告されると揉み消されたり、排除されたりするかもしれない。
何も考えず情報を開示するのは、大きなリスクがあるのは間違いない。

今は駄目だとタイミングを図っていたのかもしれない。
だとしたら何のために?

そもそも外様の飛羽真が、一人でソードオブロゴスの内情を探るのは非常に厳しい。
どのみち、ノーザンベースから誰かしら味方を引き入れる必要がある。

あるいはその誰かを選別して、どう話すべきかを検討していたのかもしれない。
無条件で全員に話すことが信頼の証ではないだろう。
あえて今は話さない者を選ぶというのも、その相手の性格や性質を理解しているからこそだ。

賢人スキーで、直情的。死別の時に一番大泣きしていた蓮に話すべきではないと考えるのはわかる。
組織=家族という認識の倫太郎だと、信じてくれないか、確かめるためにバカ正直な行動を起こすことも考えられるだろう。

残る尾上や大秦寺なら、話の詰め方次第って部分はある。
少なくとも信用はきちんと得られているのだから、玲花が動き出す前だったなら、頭ごなしに否定はしてこなかっただろう。

もし純粋に話すべきか、どう切り出すべきかで迷っていたのなら、口では信じてると言ってもどこかで『組織人としての剣士達』を信じきれていない。
人間的な心理面での矛盾が生じる。

別に隠していることが必ずしも悪だと言いたいわけではない。
話すにしろ伏せるにしろ、そこには何かしらの理由がある。
そういった駆け引きや事情が、物語からさっぱり見えないのだ。

問題ならソードオブロゴス側にもある。
視聴者視点で、玲花は最初から色々と怪しすぎた。
しかもノーザンベース側との信頼関係が築けているわけでもない。

元々いたにはいたのだが、ほとんど顔出しだけに近い立ち位置で、半ばサウザンベースの存在を示すことが役割だった。
正直、玲花が今回唐突に出てきたキャラだとしても印象はあまり変わらなかったろう。

視聴者感情だと、こんな怪しげな奴を信じて、飛羽真を信じないなんておかしい! となってしまう人が一定数いるのは仕方ない。
事実は玲花を信用したわけではなく、組織人として上の命令に従わざるを得ないのが実情だろう。
ノーザンベースの剣士達が納得して動いているわけではないのも見ていればわかる。

それでも視聴者がモヤモヤするのは、良くも悪くも仲間割れを起こすための敵キャラとしてわかりやすく玲花を扱い過ぎており、騙された側が単純馬鹿のように見えてしまうためだ。

それに全員でいきなり武器持ってやっていて、アイテム寄越せはいくらなんでも無理筋過ぎる。
ほぼ脅迫であり、飛羽真の性格から考えても反抗するのは目に見ていた。

いくら命令とはいえ、まずは落ち着いて話し合えよ!
裏切る恐れがあるとしても、それなら誰か一人が接触してまずは説得を試みる。
他のメンバーは近くに隠れておくなど、こちらもやり方はいくらでもあったろう。

飛羽真からアイテムを没収する理屈は通っていても、全員で押しかけた説明が一切ない。
全員で武器持ってGO! サウザンベースに加われ! いやなら普通の小説家に戻れ! そんな下手くそな方法で何故いけると思ったのか。そうなった経緯をまず知りたい。

押しかけられた飛羽真は普通に混乱する。そりゃする。結果、

・賢人を斬った上條を肯定する。
・ソードオブロゴスに対する不信を告白する。
・伏せていた力に関する情報を漏らす。

と、丁寧に各人の地雷を丁寧に全部踏み抜いた。地獄かよ……。

しかも、真っ先に蓮が仕掛けて、他の者が続き半ばリンチ状態だった。
いや、そこは蓮を止めようよ! 飛羽真だけならまだしも、初撃から芽依を巻き込むぐらい頭に血が上っている。

そこで反撃したら「こいつやっぱ!」みたいな裏切り認定するのも、流石に短絡的過ぎる。
むしろ手加減してまともに戦えておらず、蓮はそこも指摘していた。誰かが冷静になれば話の風向きは変わっただろう。

完全に、平成一期の『お前らちゃんと人の話を聞け』な不協和音を思い出す状況ができあがった。

ちなみに、過去の平成ライダーだと例えば555だと巧がガチコミュ障で、そこに付け込む草加の策略があったように、問題を越しやすいキャラ付けや状況設定が最初からなされているケースが多い。
強引に一話で争う環境作ったのは、それこそ第一話で突如裏切った橘さん級ではなかろうか。

オンドゥルルラギッタンディスカー!! カモセイロー!!

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セイバーが平成ライダー化しているように見える本当の理由

仲間割れによって窮地に陥った飛羽真。
そこにかつてあまり使われない予算食いの巨大ロボをくれたユーリが、新たな仮面ライダー最光となって助けに入ってライダー達を一蹴した。

ここが16話で最も重要なシーンなのは言うまでもない。
シナリオの意図としては、恐らく年末最後の話に最光を出して話の引きにしたかった。
また、お年玉の使い先的なマーケティング事情もあるかもしれない。

逆説的に考えよう。
仲間割れを最光が止める。
これには、最光を出すために仲間割れ展開が必要だったと言える。

最初から全員集合して襲いかかったのは、最光の見せ場を作るため。
同じく飛羽真が秘密を抱え込んでノーザンベース組と敵対としたのは、仲間割れの展開を作るために情報を隠したから。
そうすべき理論性よりも、結果ありきのシナリオ構成に私は見えてしまった。

他にも、今回は話の流れ自体もおかしな部分があった。

編集長と今日が締切だという話をする

編集長がコンクリートジャングル離れて森にいる

飛羽真達は原稿届けに向かうついでに挨拶しようとしている。

時系列ぅ!?
編集長仕事の途中で切り上げて森行ったの??? 流石に準備とかあるでしょ?
普通は次の休みとか、せめて明日でしょ?
思い立ったら即行動。行動力の化身か!

今回は批判的な意見が強めになっているが、縦軸のシナリオ展開としてみれば私は決して今回の話は嫌いじゃない。

第一部のボスであるカリバーを倒しての新展開。
絆を強めてきた剣士達が、裏切り者の企みによって仲間割れを起こしてしまう。
話の流れとしてはセイバーらしい王道で仲間の大事さを改めて問うのにも必要な展開と言える。

玲花の暗躍は理に適っており、年長組の尾上達に対して十五年前からずっと引きずっている裏切りの連鎖を引き合いに出したのは、飛羽真を信用できない理由付けとして非常に効果的だろう。

先に飛羽真をサウザンベースに誘ったのも、ノーザンベース組が説得を命じる前に、意図して不信感を植え付けていた。
ノーザンベース全体に対して、見事な猜疑心の煽り方だ。

飛羽真の話を聞き入れず、真っ先に攻撃を仕掛けたのは蓮なのも、キャラ性的にすごく納得だった。

倫太郎は組織=家族であり、そこを否定されることは自分を全否定されるに等しい。
これまでは純粋さが修行や仲間想いの強さに繋がってきた。
それを上手く反転させている展開は、人間の多面性を上手く扱っていて面白い。

部分だけ抜き出せば、これまで育ててきたキャラの個性を上手く生かしている。そこは本当にすごく良かった。

問題はこの話一つに求められている情報量なのだ。

・メギド側と世界の環境変化
・ソフィア拉致
・ノーザンベース仲間割れ
・最光登場

衝撃の新ライダー登場と来年の引きを作るために、これらをたった一話で全部入れ込もうとした。
そりゃあ尺や展開に無理が出るのは当然だ。

話を進めるノルマを消化するためのシナリオ作りになってしまっている。
理屈は通っているのに、異様に思える無理やりな展開は詰め込み過ぎのシナリオが根本の原因なのだ。

ちなみに、年末ここぞばかりに出てきた仮面ライダー最光だが、衝撃的な存在の割にあまり驚けなかった。
人が剣にと驚いてる当人は、ライオンに変わってるからね!
スタンダードなフォームがバイクのライダーという前例もある。

そして、最光は剣だが顔や腕が付いており、案外ちゃんとライダーになっており真面目さすら感じた。
最近の特撮では、武器なのに意思があってめっちゃ自由に振る舞い、戦えば作中最強レベルでひたすら目立って、格好いい。
しかも公式が悪ふざけで玩具にデスシウム歯磨きなんて音声を突っ込んだ生首ソードを思い出してしまう!

最光のための展開だったのに、より強烈なネタと被ってしまい、違和感の強い仲間割れの方が記憶に残ってしまう人が続出した。
タイミングからして、これはもう不幸な事故としか言いようがない。

ちなみに、スペックは最光もふざけていて、公式サイトにスピードが亜光速と書かれている。
動いているとウラシマ効果が発生して年を取らないぞ!

最光がずっと飛び回っているとウラシマ効果で話の尺が伸びるとかならないかな。

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