渡から音也に願いを託す
本作を書くにあたり、これは書きたいと決めたシーンがあって、その一つ目が第11節の記憶に関するシーンです。
音楽系サーヴァントの二人をライダーに置き換えるなら、音楽と関わりがあって、かつフェイク要素も作れるライダーとしてキバとダークキバは最適解かなと思うぐらいピッタリでした。
なお1節目にルーラーの渡が登場して、W渡になったのは偶々です。
音也と渡の二人を出すにしても、キバ本編の焼き直しみたいな展開にはしたくない。
なので父から息子へではなく、息子の渡が父親の音也に命まで懸けた願いを託す。
普通なら物語的に成立しにくいけれど、今回はむしろサーヴァントならではの展開にできるなと思いました。
またFGOからのシナリオ変更点として、本来ならサーヴァントの記憶がきちんと戻るのはもっと後の方です。
それをあえて今回の戦いで取り戻しています。
この理由は物語に山場を作りたかったから。
原作のロシア編は、シナリオ的に盛り上がるシーンが後半にかなり集中しがちです。
中ボス戦みたいな戦闘はたまにあるのですけれど、イベントとしては案外勢いに欠けます。
ゲームだと、その辺は新サーヴァントとの戦闘で、自分で操作するためそこに緊張感が生まれるので問題ありません。
しかし純粋に読み物としてだと物足りなさを感じていました。
また、ここの後は暫く世界観解説や決戦準備のシーンに入ります。
そのため、中盤の山場にてカタルシスになる部分を入れ込もうと記憶が蘇るシーンを前倒しにしました。
記憶を捏造した人物も原作とは異なります。この理由は後程の展開で察せられるかもしれません。
暗躍する鳴滝
戦闘後の会話は地味だけど、流れ的に重要なので削りにくい。
だったらここに後半に必要な展開の伏線も混ぜ込んでオリジナル感を出してしまえ!
というわけで以下の三つを追加。
・謎のパトロン
・謎のアイテム
・鳴滝の裏切り
謎のアイテムはわかる人ならサクッとわかると思います。
その後の鳴滝とカドックの会話シーンはシナリオ上の伏線として追加しました。
カルデアとクリプターの双方に協力する鳴滝。本編でも正体不能のキャラはこういう時に便利ですね。
ディケイド完結編の嘘予告で「ついに正体がわかるのか……!」とワクワクさせてから、本編はゾル大佐のコスプレだけで終わった時の憤りはかなりものでしたが、今はそれをありがたく感じてます。
正体がわからないまま終わったから、スーパーヒーロー大戦以後も門矢士と鳴滝はセットであり続けられたのだと思います。
何かよくわからないけど世界を移動できる主人公と、なんかよくわからない敵。これぞディケイド……!
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