あらすじ
第10話『日本ではそれをＯＭＩＡＩという』
スペルビアをオジサマと呼ぶルルは、スペルビアに乗ると迫る。
イサミとブレイバーンを救うためにはスペルビアの力が必要だと伝えるが、スペルビアに拒絶されてしまう。その後ルルは一人で戦いに行こうとするイサミを必死で説得しようとするが聞き入れてもらえず、強硬手段に出る。
一方で相棒のすばらしさを語るブレイバーンを見て心が揺らいだスペルビアは、ルルと一つになる決心をするのだが……。出典：勇気爆発バーンブレイバーン 公式サイト
ルルがスミスとイサミの命を救うためスミスの後を継ぐ
スミスのブレイバーン化は、クーヌスの時空を操る力によって引き起こされた同一化とタイムリープ現象だった！
いや、そうはならんやろ！！
わたしもクーヌスの時空操作能力でなんやかんやスミスが生き残る展開は予想した。
クーヌスが快楽をなるべくじっくり味わうため、死の間際に時空の狭間みたいなところを作って引き籠もるのも、まぁ理解はできる。
でもそんな肉体と魂が『合体！！』みたいな現象はどうやって起きたのか。
いやまぁ、公式も奇跡と書いていたので奇跡なのだろうけども。
さらに、なんやかんやスミスの意思を継いで、ルルも未来からやってきた。
そんなところまで真似しなくてもよろしい。
いやに高いテンションでスペルビアに乗り込むことをチャレンジするぞ！
そんなところも真似しなくてよろしい。
時間をかけて転移装置を完成させたからか、ルルの精神年齢も相応に上がっている。8話のラストから急に口調が大人びたのはこれが理由だった。
たとえブレイバーンになろうと『スミス』としての死は悲しいだろう。
けれど、それはもう乗り越えている。
（形はどうあれ、スミスは自分の夢を叶えたので、ブレイバーンしてのロボ生をすごく楽しんでそうだしね）
それでもルルが過去へ戻ったのは、『スミス』と交わした約束を果たすため。
皆を頼んだ。
ブレイバーンとイサミは世界の平和を取り戻した。
しかしその未来に、誰よりも戦った二人の姿はない。
スミスから受け取った皆の中には、ブレイバーンとイサミも含まれているのだ。
そのチャンスがくるまで待ち続けた日々。
身も心も大人になる程に費やした時間の中で、きっと何度も自分の弱さと無念に打ちひしがれたろう。
それを支えたのが、ブレイバーン達の喪失に同じ無念を抱えるスペルビアだった。
自殺志願者が見つけた希望ある未来
デスドライヴズが望むのは理想的な死である。
推して参ること（武人として誇りある死）を望んだスペルビアは、ブレイバーンを失ったことで死に損なった。
目的を失ったスペルビアは、変質してしまったルルと共に戦う選択をしなかった過去を、勇気が足りなかったと悔やむ。
そうして、未来からきたルルの説得を受けて、過去のスペルビアは推して参るための特訓を始める。
本来のルルはパーツ（電池）用にある種の調整を受けていたのだろう。
変質したルルはそのままだと受け付けなくなっていた。
だからこれまで通りのやり方ではダメで、スペルビア側にも変化が必要だった。
そのキッカケを与えたのもまたルルである。
ルルはこれまでと違い、スペルビアに対してグイグイ自分の意見をぶつけていく。
ガガピーが実はデスドライヴズ語だったという事実も発覚する。しかもスペルビアが普通に言い負けちゃったよ！
これらは時間をかけてスペルビアの人となりを知っているからだ。
最初から「イサミィ！」モードだったブレイバーンと同じ道理である。
事情を知っているのと、こっちは「おじ様」なので気持ち悪さがないの、何気にズルいな……。
スペルビアはルルの押しに負けて、特訓していくうちに感化されていく。
そしてルルの心と繋がった結果、彼女の過ごしてきた記憶の一部を感じ取った。
ルルがスペルビアによって前を向けたように、無念の時を過ごしていたスペルビアもまたルルに救われていた。
この瞬間、スペルビアにとってルルは異物と化したパーツではなく、支え合い共に戦う『相棒』になったのだ。
ところでデスドライヴズに有人操縦機能があるということは、元々デスドライヴズと人間は対等か、人間が操っていた存在だった可能性がある。
だとしたらデスドライヴズ側の人類は、発展し過ぎたAIが機械生命となって滅ぼされたと言えるだろう。
ブレイバーンはクーヌスの頃から内部構造としてこれがあったのだと理解していた可能性が高い。
だからルルの挑戦を止めずに、通過儀礼として見守ったと考えられる。
ブレイバーンとスペルビアは、失われた人とマシンの可能性なのかもしれない。
かくして、ルルはスミスの意志を継ぎ、ブレイバーンやイサミごと皆を守る存在となった。
そして理想の死を願いとしていた機械生命は、自分ではない願いを自分の願いとして受け入れた。
人の心を理解したことで、スペルビアはこれまでになかった命の価値を見出したのだ。
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