作品情報
タイトル | ヴァチカンのエクソシスト |
作品要素 | エンターテインメント、 ホラー、 エクソシスト、 バディ系、 悪魔 |
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レビュー
一般的にハリウッドのエクソシスト映画はホラー系が主体だ。そのため視聴層はある程度狭まる。
しかし本作はエクソシストでありながら、他作品に比べてエンタメ要素がかなり強めになっていた。
本作は過去に実在したエクソシスト、ガブリエーレ・アモルト神父の手記を元にした作品である。
そのため序盤からやたらエキセントリックな悪魔祓いの実践。
その理由として、依頼を受けた際に本物と認定できるのはわずか2%という具体的な数字が出ていた。
(公式サイトの宣伝文にも出ている)
しかし、本作の面白さにとってリアリティは一要素でしかない。
むしろ程よいリアリティとフィクションの融合が、実に日本人向けの味付けに合致している。
元々日本人は悪魔への恐怖心が薄い。
例えば『神への冒涜』はキリスト教にとっては重要な禁忌だが、日本人の多くは『ファンタジーでよく見るキーワード』程度の感覚だろう。
日本人がクトゥルフ神話にホラー要素をあまり感じないのと同様に、悪魔はそれ単体では日本の悪霊のような怖さと直結しにくい。
悪魔祓いのホラー要素よりも、エクソシストVS悪魔の戦いや、悪魔のルーツを探すミステリ要素が上回っている。
純粋にホラーが観たい人にはあまり向いていないだろう。
とはいえエクソシスト映画のお約束はちゃんとある。
悪魔の下品な台詞。
グロテスクなホラー描写。
女性の裸も出てくる(あからさまに下品な意図での描写はない)などは多少出てくる。
要素的には弱まっているが、そういった部分が全く受け付けない人は注意が必要だ。
また本作はバディ要素もあり、これも展開としては王道だが、エクソシストならではの絆の深め方をしている。
キリスト教ではよくある要素を使って、バディ物の展開を盛り上げる脚本の上手さに感心した。
[su_spoiler title="以下相棒要素のネタバレ解説(クリック表示)" icon="plus-square-1"]
アモルト神父は、元々誰かと組むことに対して否定的であり、一人で仕事をすることに拘りを持っていた。
もう一人の神父トマースは当初、たまたま事件に関わっただけの、エクソシストとしては完全な素人だ。
流れでアモルト神父の助手に近い立場となり色々学んでいく。
途中、悪魔の言葉に罪の意識を揺さぶられて動揺しないため、互いに互いを神父として懺悔の告白を行う。
神への告白を通して、互いの秘密(罪の記憶)を共有し合うことが、そのままバディとして絆を深める構造になっているのが上手い。
ベテランのアモルトが主導して事件の闇を暴き弱体化させることに成功するが、悪魔の方が一枚上手で次第に追い詰められていく。
絶体絶命の中で成長したトマースが、アモルトを窮地から救いだし、二人の力を合わせることで悪魔祓いをやり遂げるのだ。
しかし世界にはまだまだ強力な悪魔が潜んでいる。
一人の限界を知ったアモルトは、トマースを相棒と認めてエクソシストの戦いを続けるのであった。
[/su_spoiler]
全体的にみると、館に隠された謎を追い、知恵と勇気で悪魔に立ち向かう。
日本人が好みやすいアニメやマンガのノリが随所に散りばめられていた。
エクソシストホラー系の作品は何本も観ているが、ここまでストレートにエンタメの面白さが際立つのは本作以外にはなかった。
エクソシストと王道のバディ系を良い所取りした作品。続編があれば普通に観たいレベルの良作だった。
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総評
ジャンルはホラー系のエクソシスト作品。
しかし一般的なエクソシストよりもホラー感は薄め。
むしろバディ物や謎解きの要素が主体で、その土台としてエクソシストのホラー要素があると言った方が作品構造としては近い。
実際、ホラーっぽいけど大丈夫かなと心配していた日本人のツイートに、本作のプロデューサーが「バディ物だから大丈夫」と(まさかの日本語で)コメントしている程だ。
まさかの私の本記事のツイートも引用でコメントいただきました。マジか…………!
優しいお言葉をありがとうございます!ファンを楽しませることができて光栄です。 https://t.co/DWyaq8xt16
— It's Katz (@PodKatz) July 27, 2023
日本のアニメや漫画のような面白さに近く、クトゥルフ神話みたいなタイプの作品が好きな人なら、普通にエンタメ作品として楽しめる。
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