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暴太郎戦隊ドンブラザーズ 新・初恋ヒーロー メタフィクションが生んだヒーロー性【感想・考察】

2022年7月31日

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ゼミ生の皆様こんにちは、語屋アヤ(@ridertwsibu)です。

今回は初のスーパー戦隊関係の単独記事でございます。ドン! ドン! ドンブラザーズ!

暴太郎戦隊ドンブラザーズ 新・初恋ヒーロー メタフィクションによるヒーロー性の確立【感想・考察】
出典:暴太郎戦隊ドンブラザーズ THE MOVIE公式ツイッター

近年はスーパー戦隊も観るようになっていたのですが、コロナ禍で劇場版が無かったりライダーと合同だったり、タイミングを逸してしまったりと書き損ねるパターンが多かったです。
私のレビューは作品のテーマやメッセージ性に寄りがちなため、そもそも良くも悪くも『考えるな、感じろ』で楽しむ要素の強いスーパー戦隊はあまり向いていないという面もありました。

しかしながら井上敏樹氏の脚本は、ギャグに走っていても作家性がものすごく強い。
尺自体はテレビ放映とさして変わらず、思考の追い付かない濃すぎる展開の中に、語るべき要素が詰まっているのです。

『感じろ』だけでなく『考えて』も楽しい。
今回はそんなドンブラザーズの面白さを、読み解く方面でも楽しんでみましょう。

なお、ネタバレ無しだと濃すぎる時間でした! としか言いようがないので、最初からネタバレ有りを前提としております。
劇場足に運ぶまでネタバレを避けたい人はご注意ください。

なお、仮面ライダーリバイス側の感想はこちら
http://kamen-rider.info/livice-battle-familiar/

それでは今回の講義を始めてまいりましょう。

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始まる前からクライマックス/終了後のクールダウン

まず、ドンブラザーズの劇場版は、本編が始まる前から始まっていた。
いつも映画が始まる前から必ず『NO MORE 映画泥棒』が無断アップロードの禁止を警告する。

本映画では、見慣れたカメラ男を追いかけるのは仮面ライダーリバイとバイスだ。
逃亡するカメラ男が仮面ライダーに捕まると、真の主役は遅れてやってくると言わんばかりに、神輿に担がれるドンモモタロウが乱入。

『盗撮するなら俺を撮れ!』と堂々宣言。カメラ男は言われた通りにドンモモタロウの撮影を始める。
『NO MORE 映画泥棒』が『MORE MORE 映画』に上書きされてしまう。

なんで映画が始まる前から「何が起こってるんだ……」とツッコミを入れなくちゃいけないのさ!
ある意味でいつものドンブラザーズだから困る。

これはこれでお祭り騒ぎの特別編だ。
そして本編が始まるわけだが、こっちはこっちで『MORE MORE 映画』をスッカリ忘れてしまう程に濃い!
ある意味でTV本編の濃密な時間を、劇場版でもキッチリやっちゃっている。本作のテーマが映画に沿ったものでなければ、本当にいつものドンブラザーズになってしまいかねないノリだ。

ニチアサのスーパーヒーロータイムは、先に仮面ライダーをやってから、トンチキなドンブラザーズに移行するから視聴者はギアの急激な変化についていける。
『え、このテンションで仮面ライダー観るの? ちょっ、待って、無理……』となってしまう。少なくとも私は本気でそうなりかけていた。

そこで唐突にお昼のショッカーさんが映画をジャック。
リバイ達とドンモモタロウに成敗される寸劇を挟んでから、仮面ライダーリバイスへと切り替わる。

普通ならただでさえ短い映画の尺に、こんなの挟まないでと思うのだが、今回だけは感謝の念しか湧いてこない。
これ絶対わざとだよね。視聴者の精神状態を狙い澄ましてクールダウンタイムを挟んだとしか思えなかった。

いや、ホント、こんな幕間が必要なニチアサヒーロー二本立て、今まで無かったからね!
去年のスーパーヒーロー戦記で、ゼンカイジャーとセイバーが一本化していたのは、あるいはゼンカイ脳対策も含んでいたのかもしれない。

ありがとうショッカーさん!

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