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【感想・考察】仮面ライダーリバイス 家族の闇と悪魔の囁き

2021年9月18日

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悪魔バイスの囁きと契約

一輝は時々何者かの囁きが聞こえていたのだが、それがある日自分にだけ見える悪魔となって現れた。
リバイスの世界だと人は誰しも心の中に悪魔を飼っている。それがバイスタンプによって実体化して暴れだす。
その悪魔を使って世間を恐怖に陥れるのが敵組織のデッドマンズだ。

怪しげな宗教団体ではなく、若者達達が狂騒の中で悪魔を生み出す様はすごいデビルマンを思い出す。
まあ、悪魔作品の代表格だからネ!

出てくる悪魔は契約書から怪人化する。バイスタンプは押しただけで悪魔の契約が成立して実体化するという流れを画にしたものだ。
第一話で見るからに凶悪な男が捕らえられてバイスタンプを押された。

第二話では、プロゴルファーとキャディーの二人組。
プロゴルファーはプレイ態度の悪さをネットで叩かれている。

さらっと説明されて終わったが、これはむしろ本気で描くと重すぎるためではなかろうか。
現実的に考えると大坂なおみ氏がラケットに当たる行為と同様に、槍玉に上がったからこそ批判されているはずで、つまりは炎上しているだろう。
これ自体が現代社会の闇である。

キャディーはそれをフォローしようとするが、むしろつらく当たられて相当なストレスを溜め込んでいた。
情念、つまりは心の闇が強い者だと強い悪魔を喚び出せると言った要素がありそうだ。

つまり一輝はスタンプなしで悪魔の声が聞こえたり見えたりする程に深い闇を心に抱えていることになる。
もちろん、心の闇や悪魔の囁きは、意図された作品テーマの一つだ。

家庭問題とは、浮気発覚とか交通事故みたいな例外はあるものの、大抵はいきなり大きなトラブルで壊れるケースは稀だ。
日常積み重ねが歪みとなって少しずつ大きくなり、いつか無理が来て壊れる。

むしろ浮気だって、普段の夫婦関係に対する不満から手を出してしまったという話は珍しくない。
それはまさに『悪魔の囁き』による誘惑である。

だから悪魔は、一見普通の健康的な人間の中にだって潜んでいて、本人すら気付かないうちに心を蝕んでいく。

だとしたらバイスが最初に母親を狙ったのも何かしらの意図があってかもしれない。
先に書いたよう『しあわせ湯』の実質的な経営者は母親の幸実だ。
彼女がいなくなれば店は続けられなくなるだろう。ある意味で、一輝にとって彼女の死は解放なのかもしれない。
とはいえ、他の一般人も美味しくいただこうとしていたので、偶然の可能性も普通にあるけど。

ちなみに最初に幸実があそこで命を落とす流れも、流れの一つとしては『有り』の判定だったらしい。
倫理的にアウトではなく、ホームドラマが主体なのでやらなかったそうな。
かつてWの冒頭でおやっさんが死んでいるので、あの頃より更に規制が厳しくなっていないなら、できないことはないだろう。

悪魔から人々を救うためにはバイスの力が必要で、けれどそのバイスもまた悪魔。また人を喰らうために一輝を利用していた。
その責任を取るように一輝は生身で勝てるはずもない悪魔達に立ち向かう。

第一話で状況と勢いに任せた契約(変身)をまず描く。
一輝の人の性格や面倒見の良さをしっかり出して、家族思いの青年であるとアピールしている。

次の第二話では、状況に身を任せてはいけないと確固たる意思の強さを見せた。
ただ周りの言葉や目まぐるしく変わる現実に振り回されるだけじゃない。自分の意思でヒーローとなる。この二段構造で第一話と二話は繋がっていた。

故に、第二話で覚悟を決めた一輝は弟の大二すら突き放す。

一輝は自分から新しい契約をバイスに強制する。
状況に流され無理やり判を押すのではなく、状況を利用して悪魔に判を押させた。

悪魔の囁きではなく己の意思で、五十嵐一輝は沸き立つ心で仮面ライダーリバイスと成ったのだ。

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