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仮面ライダーゼロワン 14話感想 不破の怒りが再燃した理由とは?

2019年12月9日

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仮面ライダーゼロワン 14話『オレたち宇宙飛行士ブラザーズ!

ゼミ生の皆様こんにちは、語屋アヤ(@ridertwsibu)です。

今回の脚本はメインライターである高橋悠也氏。
メインに戻っただけあってかなり重要回ですが、同時に序盤へ立ち返ったようなテンポでした。
最近は二話の前後編構成が続いていたので、余計に早く感じたのもあるでしょうが、それにしても仮面ライダー雷が次回予告で電撃登場してそのまま倒される流れは予想外。

それでも押さえるべきところは押さえているなあとは思いますが、不破が今回何故怒りを強調して暴走気味だったのか等、視聴者がちゃんと展開を噛み砕かないといけないのはジオウ味があって少し懐かしい。

それもあって、今回は展開の解説多めにしつつ、後編や公開の近付く劇場版に向けた伏線整理などもしてみようと思います!

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ゼロワンでも宇宙キター!

今回は冒頭から宇宙でヒューマギアが作業をするシーンからスタートだ。
当然ながら宇宙空間のシーンは通常とは違った特撮技術と作業期間が必要とされ見応え相応にカロリーの高いシーンとなる。

宇宙と言えばフォーゼは鉄板。
やはり役に立ったのはフォーゼで培われてきた宇宙に関する特撮技術だ。

仮面ライダーで宇宙飛行士!といえば、2011~2012年にかけて放送された「仮面ライダーフォーゼ」です。今回、単発のエピソードにも関わらず、宇宙飛行士という手間のかかる内容をやれた理由の一つには、過去の蓄積があったからだと言えます。
宇宙空間シーンの撮影でも、操演部とアクション部が分厚い宇宙服を吊り、演出部がケーブルの揺らめきを表現し、照明部が太陽光を作り、撮影部はカメラを傾けて撮影し、美術部の作成したグリーンの箱をライズホッパーに見立てて、特撮でCG合成などなど。短い時間の中にありとあらゆる特撮技術が詰め込まれていました。
8,9話の医者編に続き、ここでもやはり平成ライダー20年の偉大なる歴史に支えられて令和ライダーは更なる高みを目指すことができるのです。

こういう撮影話を聞くと、仮面ライダーとは歴史の積み重ねなのだと思い知らされる。
長い歴史があるからこそ、作品として歴代最高の面白さを目標として、視聴者からも求められるのが宿命だ。
それと同時に仮面ライダーは技術の積み重ねで、かつては難しかったことができるようになっている。
ファンが歴史という曖昧な言葉だけでなく、肌で感じられるような連続性は、平成ライダーと令和ライダーがシームレスで続いてきているからこそだ。

ちなみに良いタイミングで『仮面ライダーフォーゼ』はユーチューブの東映オフィシャルチャンネルで無料公開される。是非とも平成から続く歴史を感じよう。醜いだけが平成の歴史ではないのだ。

それにしてもゼロワンのバイクは、毎回使用後はスマホ形態にして人力作業で元に戻していたのか……。
毎回、射出と戻すだけでかかる経費がとてつもなくかさみそう。

あらゆる意味で、遅刻しそうなだけで気軽に使っていいものじゃないのは間違いないぞ、これ。
そもそも社長なのだから、秘書のイズが迎えに来てあげればいいのでは……。

ヒューマギアが機械的に丁寧な判断力で運転すれば事故の確率も低いだろう。
そう考えると早朝から深夜業務まであって、時間が不安定で事故が人命に関わるタクシー運転手はヒューマギア向けだ。

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怒涛の展開に紛れ込む龍騎感

今回登場したのは宇宙野郎なヒューマギア兄弟。
フォーゼそのものよりも、劇場版で登場したキョーダインを思い出したのは私だけだろうか。

酸素の問題に宇宙空間での長期作業。精密性が要求されることなど諸々、宇宙開発におけるヒューマギアは医療に匹敵するほど理想的な役割だろう。

しかし兄は怒りっぽい。
怒りとは本来マイナス感情であり、それだけ人間味があるように感じやすい。
当方はFGOプレイヤーなので、全体的にアシュヴァッターマンを思い出した。

その後、迅のハッキングに耐えた展開からも、まるで怒りを原動力に根性を出したように感じられるような演出だった。
けれどこれは丸ごとフェイク。

雷電における怒りの感情は、厳しく叱り教育するためにラーニングされた擬似的な感情表現だ。
つまるところ雷電はシンギュラリティを迎えたように見えて、中身は通常AIでしかない。

そもそも怒りの感情は制御できているから宇宙空間で重要な仕事がこなせている。
本当の意味で怒りがコントロールできなくなっていたのなら、仕事を任せてはおられず昴からも何かしら異常を知らせる報告が上がってきているはずだ。

ハッキングについても耐えたのではなくそう見えるようにしただけで、或人達を誘導するプログラムをインストールするための罠だった。
そもそも感情の力でハッキングに耐えられるなら、腹筋崩壊太郎達も耐えられたはず。
どれだけ鍛えようと人間が拳銃で心臓打ち抜かれた死ぬように、ハッキングは気合や根性で耐えきれるようなものではない。

かつて唯一ハッキングに耐えた事例としてDr.オミゴトを上げる人もいる。
けれど、こちらは滅亡迅雷.netではなくZAIAが開発したギーガによるハッキングだ。
元々滅亡迅雷.netは持ち前の技術では病院のヒューマギアにハッキングに失敗したのでギーガを奪った。

そのため滅亡迅雷.netとZAIAのハッキングは中身の手順やプログラムは別物だと考えるべきだ。
少なくとも、個体レベルで滅亡迅雷.netのハッキングに耐えたヒューマギアはいない。

そもそもハッキングされている自覚なく、雷電は滅亡迅雷.netの手先になっていた。
知らないうちにバックドア付けられて洗脳されているのは、まさしくAIらしいコントロールの仕方だ。

そんな雷電が、そのまま仮面ライダー雷になった。
やたらイケメンで妙にキャラ立っていると敵サイドの幹部級や仮面ライダーになる法則。

僕のお兄ちゃんになって! でフォースライザーからのードードー!
おめでとう。ドードーは弟から兄に進化した!

冒頭の流れで『雷』と『亡』にあたる存在もいるのではないか? と発言があり、兄がそのまんま『雷電』。
しかも感情があるように見える怒りっぽさを全面出すことで、これは逆に違うパターンではないかと思わせる。
そして雷電は自分の意思ではなく操られていた、引っ掛けの流れを一話の中で見事に構成した。

なお、今回雷電役の山口大地氏は『RIDER TIME 仮面ライダー龍騎』で仮面ライダーベルデの木村を演じていたことでも知られている。
同年で違うライダーを二人演じるのは山口氏が史上初なのだそう。

なお、木村は一見すると皮肉屋だが、臆病故にそう振る舞っているだけで根は善人。キャラクターの雰囲気が雷電とは全然違うタイプだ。
木村は木村で『龍騎』に馴染むすごくいい演技をしておられて、人物ごとに演じ分けの見事さが素晴らしい。

そんなベルデの変身者が一話で死亡した!
いや、あの、仮面ライダーシザースだって二話は持ったからね?

まさか『龍騎』から破られたことのなかった、TV本編で登場した新規仮面ライダーが倒される最短記録(量産型を除く)が令和になって早々更新されてしまうとは!

しかもシャイニングホッパーには押され、アサルトウルフの噛ませ犬になって爆散。驚くほどあっさりと倒されてしまった。
ドードーはラーニングを重ねて強化されてきた果てに仮面ライダー雷となったので、再びあっさり破壊されたのはちょっとショックではある。
ラーニング素体として暗殺ちゃんを活用していた仕様上、溜め込んだ経験値は仮面ライダー化に活かすのは難しそうだし。

性能もドードーマギアとは随分異なって名前通り雷が主体となり、必殺技も『ゼツメツディストピア』など滅亡迅雷っぽさが増し増しだ。
戦闘が暗所だったので爆発の演出は映えて格好良かった。

ちなみにあっさり爆散とはいえ、ドードーのゼツメライズキーは未だ健在。
フォースライザーもジャカポコ出てくる量産式なので、再登場の可能性はそれなりにありそうだとは思っている。

フォースライザーはヒューマギアであれば誰でも変身可能なようなので、それこそ『龍騎』のVバックルくらい誰でも変身できちゃう感がある。
マギアの初登場時からしてそうだったけれど、滅亡迅雷.netって全体的に『龍騎』っぽさがあるよね。

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テンポの良さと引き換えにした矛盾と問題

今週は展開が早くテンポよく進んでアサルトウルフ登場回として一話完結していた。
けれどその分、今回は話の粗も多かったなあという印象が強い。

例えば宇宙兄弟の登場が、或人のバイク出勤にかかった時間とほとんど変わらない。そんな高速で宇宙から地球まで来ていた。

純粋に早すぎない? って疑問もあるが、それ以上に衛星ゼアはある意味ゼロワンが戦う上での生命線だ。
それを管理している重要な二人が、唐突に職務放棄してアポすらなく飛電本社に押しかけるのはいくらなんでも無理がある。
日帰り旅行感覚で宇宙旅行ができる世界観でもない限り、衛星まで上り下りするコスト諸々も含めると、常識的に考えてまず申請が必要だろう。

衛星ゼアによってヒューマギアが管理されている。
どのヒューマギアがシンギュラリティに到達しているかすら調査まで可能だ。
いや、ならどうして今までシンギュラリティに到達したヒューマギアを感知できていなかったの?

シンギュラリティへの到達自体がシステム的には異常の一種だ。
それをこれまで問題として扱わず素通ししていたことになる。
ちゃんと管理していればシンギュラリティの到達者は感知できたはずであり、それがAIに心が芽生える現象であると理解もできた。
これもうシステム上のバグが管理体制に問題があるのでは?

仮にシンギュラリティに到達する考えなく、もしくは前社長があえて伏せるためシステム的に検知しないよう調整していたとしよう。
それでも現状はかなり矛盾している。

衛星ゼアがあれば、どのヒューマギアがシンギュラリティに到達しているか調べられるのではと質問したのは或人だ。
システム仕様をちょっと聞いただけで素人に近い社長が簡単に思い付くことを、何故これまで一切実行していなかったのか。

当たり前の話だが、それなりの立場にあれば衛星ゼアが全てのヒューマギアを統括管理している情報は得られるはず。
なら真っ先にイズがそこに思い当たって調査を依頼するのは当然の流れだろう。

滅亡迅雷.netからヒューマギアのハッキングと暴走を守るのは或人の思想や飛電インテリジェンス存続両面からして、かなりの優先事項である。
襲われている数から考えて、シンギュラリティを迎えたヒューマギアの総数はそんなに多くない。
衛星ゼアの機能をフル活用して防衛を敷けば、少なくとも滅亡迅雷.netと同等の条件には立てたのだ。

シンギュラリティ問題を知ったのは熱血教師の時点であり、現在から見れば結構前である。
そこからここまで何故誰もそのことに思い至らず提案すらなかったのか。
常日頃から或人を敵視している副社長組ですら、会社の信用回復については協力的だ。妨害してくる相手すらいなかった。

滅亡迅雷.netの居場所を突き止める展開も同様。
それが敵に誘導された理由は問題ない。けれど、できるならもっと早く誰かできると気付こうよ。
衛星ゼアとのやり取りを何度もしているイズが、話の途中で疑問を持たずツッコミを入れなかったことが不自然でしょうがない。

この設定矛盾は、恐らく衛星ゼアによるヒューマギア管理は後付設定である可能性が高い。
衛星ゼアを本編に強く結び付け、更には滅亡迅雷組がどうやって情報を得ていたのかを説明付ける。
更には宇宙飛行士ヒューマギアにも話を絡めて仮面ライダー雷を出す。
これらの特盛設定を一話で無理やり消化しようとして、強引に展開を回したからこうなった。

展開の流れだって同じくらい強引だ。
敵も味方もめちゃくちゃプログライズキー落としまくっている。

戦闘の流れで敵も味方もアイテムドロップするイベントは仮面ライダーのお約束ではあるが、今週だけ落とし方が『オーズ』のメダルか『ファイズ』系ベルトの外れ易さ並だった。
お前ら今週はボーナスステージか何かかよ。

そしてこれは誰しもが感じているだろうけど、立て続けに新ライダーとパワーアップ連打し過ぎ問題。

先週・先々週:
シャイニングホッパー登場。

今週:
アサルトウルフ、
仮面ライダー雷が登場&破壊。

来週:
アサルトシャイニング登場

なんとシャイニングホッパー登場編から一話挟んであっさりシャイニングアサルトにパワーアップだ。早くない? ねえ、いくらなんでも早くない?

『鎧武』のカチドキアームズが真っ向勝負で敗北したの劇場版の仮面ライダーフォーティーンくらいで、本編でほとんど負けないまま極アームズ出したことがあったけれど、もはやその比ですらないぞこれ!

出力500%でドードーマギアを圧倒して、一日に二度シャイニングホッパーに変身してバックファイアしただけで、雷相手でも苦戦すらしていなかった。
窮地に陥る以前に登場補正すら切れることなく更なる進化を遂げちゃったよ!
シャイニングホッパーからの直接強化なので、ワズの犠牲がソッコで無駄にならないことが救いである。

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不破の怒りが再燃した理由

今週は序盤並に不破が激おこラッシュで強化のターンだった。
ウルフと言えば俺のもんだろ。
この自分ルールはジャイアニズムならぬ不破イズム。

しかし変身のために発揮されるのはゴリラパワー!
むしろ今回はグリップ付きで、昔よりロック開けやすそうまであった。

ちなみにアサルトウルフキーを生み出したアークの正体とは、デイブレイクにて打ち上げに失敗した一回目の衛星の残骸だった。
これまでの戦いは、アークに備わっていた構築の機能戻すためだったらしい。

会社のラボと同じものが滅亡迅雷サイドにも登場。これに対して衛星ゼアも張り合って新武器開発。
ここで衛星ゼアをクローズアップしてきたのはアークとの対比効果を狙ってのものだ。

なお、そうして製作されたのキーがアサルトウルフで、(とりあえずロック破壊魔は置いといて)不破が変身できる事実がZAIAとの繋がりも示している。
ゼロワンは衛星ゼアのシステム製であり、武装やシステムが異なるアサルトウルフはアークシステムの系譜なのだ。

なお、視聴者の考察として滅亡迅雷で残る『亡』の字はアサルトウルフを表している説もある。

WOLF → ヴォルフ → ヴォー → 亡

考察としてはやや強引な印象があるものの、こういうことを考えるくらいアサルトウルフが製作された意味合いを強く重要視する人が多いのは事実だ。
とまあ、これだけ重要かつシリアスシーンなのに、お約束と化したロックブレイカーゴリラが色々と持っていってしまった。

不破さんが色んな意味でキレッキレだぞ!
ずっとプンスカしていたので、感想を眺めていると何を急に怒り狂ってしまわれたの? 的な反応も多い印象だ。

ここは少しばかり話を整理してみよう。
元々不破はヒューマギアに強い不信感を抱いている。

そして今回飛電インテリジェンスに内通者がいると発覚。
しかもその有力候補がヒューマギア。
これだけでも十分不機嫌になれる要素なのに、ダメ押しで雷電も怒って突っかかってきた。

とりあえず怒る脳筋と、名前だけで疑って取り締まろうとする脳筋だ!
つまり怒る頻度が高かったのは、ヒューマギア相手に同族嫌悪起こしたからである。マジで落ち着けゴリラ。

加えてもう一つ大きな要素がある。
雷電アニキがハッキングに耐えたら、対抗して不破も或人のネタに耐える謎の我慢合戦シーン。
(この時だと雷電はまだ耐えた扱いのため、シーンとして対比が成立している)

不破は一度死にかけてヒューマギアに命を救われた。
その時に不破はヒューマギアだけでなく或人にも少しだけ心を許した。

不破の中ではヒューマギアに襲われた事実、助けられた事実が混在していてずっと葛藤があったのだ。
そしてヒューマギアを怒り憎む不破に対して、ヒューマギアを信じる或人は誰よりも笑顔を大事にしている。

故に怒った。
怒って或人の笑い――即ちヒューマギアを許す選択を否定する。

『怒りだけの方がいい』

そうして生まれたアサルトウルフは、不破にとってヒューマギア否定の象徴とも言える存在になった。

ヒューマギアを認めるための笑顔は不要。
そうしないと不破は、決戦を迎える時に自分を見失ってしまうかもしれない。

本物の怒りが、雷電の学ばされた怒りを否定して焼き尽くした。
激しい怒りは、不破にとって聖戦に向けた彼なりの覚悟だ。

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