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高度AI社会で人間の創作は消えるのか ~仮面ライダーゼロワンのリアリティ~

2022年9月3日

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前書き:時代がゼロワンに追いついてきた

ゼミ生の皆様こんにちは、語屋アヤ(@ridertwsibu)です。

仮面ライダーリバイスが終了したので例年通り総括感想を書いていたのですが、TwitterではAI学習による画像生成の倫理問題で大議論が発生。そこからゼロワン再評価という、完全に想定外の流れになりました……。

特に最近は、高度なAIの発達による展望や問題が次々と現れています。

今回の議論の発端となったイラスト生成AIの『mimic』。
それより先に話題となっていた超高性能お絵かきAIの『Midjourney』。
自意識が芽生えたかもしれないと言われたGoogleのAI『LaMDA(ラムダ)』。

時代が仮面ライダーゼロワンに追い付いてきた!

そしてゼロワンがトレンド入りするのとほとんど同タイミングで三周年へ到達。
心が語りたい欲求に完全敗北しました。

というわけで予定を変更して、今回は久方振りにゼロワンを交えたAIに関する記事と相成りました。
ゼロワンのリアルタイム放送時でもAIについては色々と語りましたが、三年も経てば作品の解釈にも変化があり、AI関連の知識も当時より増えています。
改めて今現在での知見にて、ゼロワンを絡めつつAIについてを再度語ってみたいなと思った次第です。

なお、今回は前後編の形式で、前編は『AIのラーニングと倫理』についてをメインに語ってまいります。では、今回のゼミを始めてまいりましょう。

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芸術への『理解』から考えるラーニングの本質

AIがチェスや将棋の名人に勝てるようになったのは、もう随分と前のことだ。
当時は「AIはここまで進化したのか!」と驚かれたものだった。

それでもこれらは、たとえ無限に近くともパターンのある中から最善手を選んでいるに過ぎないと考えられていた。
だからAIはまずチェスで人類に勝利して、よりパターン数の多い将棋にはもっと時間がかかった。
(ある意味で、将棋は長らく人間最後の砦みたいな扱いだった)

だが芸術面は、明確に定められたルール有りきのゲームとは違う。
人間には感性や感覚の領域があり、それは長らく『機械には理解できない領域』だとされてきた。
それこそが真に人間を人間たらしめるもの。そのように捉える者が多かった。

それはもはや一種の人類至上信仰のようなものだったと思う。
だが、その幻想のヴェールはあっけなく剝がされた。

守破離という言葉があるように、どのような創作活動にも基礎があり、それは先人の模倣やオマージュから始まる。
AIは数多のデータを収集することによって、その基礎を論理的に解析するのだ。

mimicであれば、まず数十枚のイラストを解析。主に顔部分のタッチや癖等を解析して、イラストレータ一人分の模倣をやってのける。
彼らはそれを人物の顔とは認識していないだろう。
しかし恐らく、特定のタッチによるパーツの集合体として『顔』を認識できている。

これをもっと幅広いデータと綿密な解析によって、一枚の絵を生成するまでに至ったのが『Midjourney』と考えればわかりやすいだろう。
(あくまでザックリとしたイメージ)

ネットの海から収集した膨大なデータによって学習して、最大公約数的に人の琴線に触れる組み合わせを選択して出力する。

AIがやっているのは、ある意味で感性や感覚の言語化だ。
これは私が現在進行形で、ブログという形式に落とし込んで行っているのでよくわかる。

『言葉にできない感覚』と『形がない』は同じではない。
私は経験や知識の累積から作品を分析して、それらを言語という形にてアウトプットしている。

現在の高度なAIはニューラルネットワーク(脳の神経細胞の仕組みを模倣した数理モデル)を使い、ネットで収集した情報に対してロジカルな解析をかけるのだ。
『オタク君ってこういうのが好きなんでしょ?』というギャルノリで『人類ってこういうのが好きなんでしょ?』をAIができるようになったのだ。

これが仮面ライダーゼロワンに出てきた『ラーニング』の本質であり正体なのだった。

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