どうも、ゲタライド(@ridertwsibu)です。

仮面ライダー50周年も佳境に入ってきたなと思う今日この頃、恐らくは最後の記念映画が本作『ビヨンド・ジェネレーションズ』(以下ビヨジェネ)になるでしょう。
実際次の劇場版は十周年を迎えるオーズの完結編ですからね。

そして仮面ライダーにおける記念映画はジオウに突入以後、明確に完成度を上げてきたと思います。
その分の期待値を背負って鑑賞した本作……しかし正直開始10分経たないうちに直感で『あ、これ私に刺さらない方のやつや』と理解できてしまったのですよ。
ただ、あからさまに刺さらない時はだいたい、純粋に完成度が低いか、刺す対象に自分が含まれていないかのどちらかです。

ただ同時に誰を刺しに来てるかを理解できると、これはこれで味わい深くて完成された作品なのだなと思えました。
刺さる人には心臓を一刺しされるタイプで、実際隣に座ってた人は感涙してましたね。
なお、逆隣りに座っていた小さなお友達はセイバーが変身する度に変身ポーズ取ってました。微笑ましい。

本作はあれこれ余計なことを考える必要はなく、純粋に面白かったとスッキリ終わるのが理想だと思います。
なので、今回は刺さらなかった人に向けた、ここを見れば作品の意図がわかるポイントを中心に考察・解説していきます。

ネタバレなし感想

ビヨジェネはストーリーの趣旨や様々なライダーが登場する初期の宣伝CMからして、仮面ライダー50周年の雰囲気を醸し出していた。
所謂、記念集合映画というべきジャンルだ。
特にこれまでの劇場版はそういうお祭的なノリに傾きやすい傾向にあるのは、近年の作品を観ている方はよくご存知だろう。

だが、実際に観ると案外そうでもなかった。
全くそういう要素がないという意味ではなく、『平成仮面ライダーとは何か』とか『石ノ森章太郎がゲストキャラ』とか作品の中に直球のメタな記念碑を置く気がない
記念自体はテーマ性の中に混ぜ込み、匂わせるエッセンス的な扱いだった。

これは元々リバイスのフォームチェンジを始めとした世界観がそういうものであり、その延長線の範囲で過去作を扱っている。
リバイスらしいと言えばその通りなので残念という気持ちはなかった。
ただ、宣伝の時点で口はそうめんだったのに、食したら冷や麦だったというそんな感覚だ。

お祭り要素だけを抽出して考えると、全体的な構成で見ればオーズの仮面ライダー1000話記念が感覚的に近い。
ただし、リバイスは『1000話』の直球記念碑は排除され、元の設定にクロスオーバーの下地があるためここまで露骨でもなく、一つの物語としても奇麗にまとまっている。

ただ中途半端にお祭り物に寄せてしまったことで、作品スケールダウンと物語のチープ化は否めない。
こういう話をすると、比較は悪い文明と憤慨する人がいるけれど、これはそういう意味ではない。

例えば『ジオウ(Over Quartzer)→ゼロワン(REAL×TIME)』の流れだと、両作は方向性やテーマが何もかも異なる。
特にゼロワンはクロスオーバー要素がなく世界観が独立しており、脳は完全に別物として評価する。
逆に今回は、半端に五十周年要素が入っているので、観ていると無意識に過去のやたらと多い記念作達がチラついてしまうのだ。

他にも、中途半端に集合記念映画として寄せた弊害として、映画のオリジナル部分は本編の延長ではなく、取って付けたような後付設定感が強い。
オリジナル設定を掘り下げる尺は五十周年アピールに費やされているため、どうしても全体的に大味となってしまう。
また、劇場版の流れを優先するあまり、一部リバイス側でやや強引な流れはあった。

しかしながら、大味さがプラスに働いている要素も少なからずある。
特筆すべきはセイバーとの親和性だろう。
クロスオーバー作品は最新作がシナリオ上優先されやすくなり、本作もその例に漏れない。

それでもセイバーは結構しっかりした存在感を持っていた。
セイバーという作品の持つテーマ性や特色は、劇中にかなりしっかりと盛り込まれていたように感じた。
これはセイバーの脚本も一部務めた毛利亘宏氏であることも大きく、作品自体がセイバーを活かしやすい構成になっていたためでだろう

何より、大味と感じた部分は主観に依る部分も少なからずある。
観終わってから作品を反芻すると大味の中にも練り込まれた深いテーマ性が隠されていた。
作品全体のテーマ性から考えると、むしろこのチープささえも、意図した演出の一部ではないだろうかという感もある。

そしてこれらの演出が刺さる層はある程度限られているため、そこに刺さるか否かで評価は変わる作品だろうと思う。
個人的にはファミリー層を対象とした観点で見れば、しっかりと練られた作品だった
ネタバレ有りパートでは、この刺さる層と演出についても深く掘り下げて解説していく。


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