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転売屋の内情を暴露してみる 実はあまり稼げないからオタクビジネスまで

2020年3月8日

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転売屋が多くて減らない理由と対処方法

転売屋は本当に数が多く、それが理由で辟易する人も多い。
せどりという行為は善でも悪でもない。
ネットを使えば人を社会的に殺せるが、それはネットというツールではなく使う者が悪いのと同じ理屈である。
では何故こうも悪質な転売ヤーが多いのか。

ネット転売最大の利点と問題は参入が容易であること。
他のネットビジネスといえば、代表的なものはアフィリエイトやYouTuberだ。

アフィリエイトは一見簡単そうに見えるがそんなものは幻想である。
ブログの構築。商品選定。キーワード選定。記事作成。
やるべきことは大量にあって、しかもうまく行ったとしても成果が出るまでは何ヶ月もかかる。

昔転売ヤー並に大流行したまとめブログですら、現実に稼げていたのはほんのごく一握りで、大部分は小遣い稼ぎにすらなっていない。
まとめブログが激減したのはGoogle検索の変化による部分が大きい。
つまり自分ではどうにもできない要素によって、アフィリエイトの成果は大きく左右されてしまう。

YouTuberも、昔に比べてシステムは進化したが難易度も大幅に上がり、今では収益化までたどり着くだけでも難しい。
芸能人や企業ぐるみの参入により求められるレベルも上がっており、Vtuberともなれば、まず準備に費用と時間がかかる。

対して転売は、ヤフオクやメルカリの発達によって素人の商品売買はむしろ容易になった。
Amazonですら、簡単に登録して個人で出品ができてしまう。昔に比べて敷居はかなり低い。

また、数年前に流行した情報商材の効果も、実は大きいと思われる。
情報商材は単なるネズミ講と思っている人も多いが、それは問題を単純化した結果生じた誤解だ。

情報商材の本質は、ネットビジネスの手法を売ること。
その中でも転売は一つの選択肢として人気ジャンルだった。

ネットビジネスは怪しげという先入観があるものの、せどり・転売は実態が知れているため手が出しやすいのも要因の一つだろう。
売りやすい商品を安く買って売るというプロセス上、ネットビジネスの中でも転売は確実性が高く利益が出やすいことで知られている。
根本的にネットビジネスへ手を出すのは、手軽に、そしてできるだけ楽に稼ぎたい人が多い。故に一見条件と見合う転売は手を付けやすいジャンルだ。

だが転売屋人口の増加は、転売ヤー達にとっても喜ばしい話ではない。
先に解説したように転売ヤーは徒党を組むこともあるが、基本的には一匹もしくは一グループずつ孤立した生き物だ。

一般人は転売ヤーとひと括りにしがちだが、奴らは奴らで敵同士なのだ。
この界隈、表で楽に掬える程度の浅い情報だと対して役に立たないか、酷い時は嘘まである。足の引っ張り合いだ。

まさに転売天国! ……なように見えるのは外側からだけの話。
転売ヤーにとって理想的なシチュエーションは、購入できない難民が多く、かつ転売の競合相手が少ない状態である。
だが現実だと難民は多いが競合も多い

真っ当なせどりの順路、自分の足で仕入先やルートを開拓して、目利きで商品を探して売るの流れは、ネットビジネスで楽して稼ぎたいと考える人達の思想と合わない。
そういう人達は、まず安直に仕入れも全部ネット上で済まそうと考える。
メルカリやヤフオクで仕入れて再出品するのもこの手の輩だ。

ヤフオクの落札価格とAmazonマーケットプレイスの出品を比較しても、Amazonの方が比較的高いことは割とある。
けれどそこから販売手数料やら何やらを差っ引くと、実際は多くがほぼ利益なしかマイナスになることが多い。

ヤフオクやメルカリでも手数料は取られて、ショップや商品によっては送料も購入者負担のケースもある。そのため、まともに仕入れるよりも値段は上がるのだ。

結局楽したい人達の思考は安直で、行き着く先も皆同じ。
参入は簡単でも売れる商品は数が変わらない。スキルの伴わない転売ヤーとは誰でも見つけられる商品しか狙えないため、結局は限られたパイの奪い合いなのだ。

そうなると次に狙うのは先程説明した予約買い占め。
こちらも同じく、狙われ過ぎて転売ヤーすら在庫確保は容易じゃない。

中には品薄になるとわかっている商品や、品薄になりつつあり予約すると美味しい情報をあえて積極的に流して、アフィリエイトで稼ごうとする者もいる。ゴールドラッシュのツルハシ売りかよ。
この手のサイトも転売を助長する厄介な代物だ。

競合が多いと売れにくくなり、市場価格は下がる。
そこへ在庫を抱えたまま再販がかかると、値崩れが起きて赤字による投げ売りが発生。
新型コロナ関係でマスク転売規制の検討が発表された時も、在庫を抱える恐怖から即投げ売りが始まった。
稼げると安易に手を出して、現実は中々売り抜けられず在庫を抱えるか赤字になる者が多い。

ここまでの説明を統合すると、転売とは参入がしやすく数も多いが生存競争も激しい地獄である。
専門用語だとレッドオーシャン。転売ヤーは一般人を巻き込みながら共喰いする蠱毒の壺なのだ。

この状況を変えるにはどうしたらいいかだけど、せどり自体は悪ではないという現実が邪魔をする。
安く買って高く売る行為とは商売の基本原則。これ自体を否定することはできない。
悲しいかな、悪質な転売ヤー達は法により守られている。

個々の努力は無意味だと言いたいわけではなく、一定の数値を越えたら、それはもう社会問題として捉えるべきだ。
転売ヤー界隈はあまりに煮詰まっていて、その段階に達している。

近年は新型コロナによるマスクや消毒液の買い占め、トイレットペーパーのデマ等によって、転売ヤーの存在はニュースにも取り上げられるようになった。
これにより今まで転売ヤーを知らなかった者達の一部が警戒を持つようになっている。売り手にとってはパイの減少だ。

同時に知名度の向上によって、フリマアプリを使用する人口も増えた。
これによって新規に入ってくる素人皆転売も増えたが、彼らは元手も大概は小遣いの範疇で、保有できる商品の数も少ない。
思考も単純で、赤字にならないよう売り出した商品をとにかく売り抜こうとする。

そうなると起こるのは価格競争だ。
中には善人が一人でも多く助けようと自分だけ定価で売り出すこともあるだろう。だがこれは実のところほとんど無意味。
定価だと商品確保のため監視している転売ヤーが即買って、再度転売価格で売り出すだけである。

しかし素人転売ヤーを出し抜こうとほんの少し下げるとどうなるか。
焦った他の素人転売ヤーも、赤字になる前に売り抜こうと価格を下げだす。
そうなると、相場単位の値崩れが生じる。
株価がちょっと下がると、皆が焦って急ぎ手放して大暴落する光景と似ているかもしれない。

つまり、転売ヤーでなくとも駆け引きより売り抜くことを目的とする者が増えると、自然に転売ヤーの打撃になる。
コロナ関連でおきた転売ヤーの周知、そして(転売ヤーでない者も含む)フリマアプリ利用者の増加は、転売に確かなダメージを与える一矢にはなった。

ただしこれで廃れて滅びるようなことはまずない。
仮に大部分が一度滅びても、残った少数が大儲けして、それを見た者達がまたわんさかやってきて元に戻ってしまう。

結論として、私はもうこれ個々の努力でどうこうできる段階をとっくに過ぎていると思う。
新卒の就活失敗や失業によって、国の完全失業率が三割を超えているとしたら、もはや失業者云々より国がどうにかしろよと考えるだろう。

現実でもマスクやチケット転売へ規制が入ったように、お国の奮闘に期待するしかない。
私が生きているうちに、転売ヤー達が敷き詰められた真っ赤な海ごとセメントで固められ、皆まとめて海底に沈んでいく様が見れたらいいなって……。

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