ジオウのフォーゼ編で、怪人同盟のメンバーがオリキャスで登場という報せを聞いて、急遽AmazonPrimeでアルティメイタムを観直した。

前回観たのが劇場なので、随分と久しぶりである。
ここまで間が空くと初観の時とのイメージとも大分異なる部分があった。
折角なので感想としてまとめてみたいと思う。

如月弦太朗が辿り着いたグッドティーチャーとは

バッドボーイ(不良少年)が成長して教師になるのはある意味ではお約束。
というわけで弦太朗も本編終了から五年後には教師になっていた。

学生時代の弦太朗がそのまま教師になったらこうなるというキャラクターを体現している。
登場から数分で、本当に友達目線で生徒達と付き合っているのがひしひしと感じられる。

このシーンはちょっと力技感あるけれど、限られた尺の中で教師となって弦太朗の現在をこれでもかというぐらいシンプルに表していてわかりやすい。
この教師、いつか女生徒から告白されると思う。

本編時代、学生だった弦太朗は同じく天高の生徒達と、真正面からぶつかることで彼らを助けて友達になっていた。
弦太朗にとって友達とは心を通わせ支え合う存在だ。
仮面ライダー部の仲間達がいたから、弦太朗はコズミックステイツになれた。
またメテオフュージョンステイツは彼が長い戦いで繋いできた友情の結果だ。

友達とは本来対等なものであり、
学生時代はそれで良かった。
しかし教師となるとそれだけではいけない。
教師とは生徒を守り、同時に教え導く存在だ。

弦太朗は自身が受け持つクラスの生徒であり怪人同盟のリーダー、三田サブロウを守り救おうとする。
しかし、これまで通りのやり方では、守ることはできても本当の意味で救うことはできない。
教師である弦太朗がサブロウと友達になったとしても、そこには教師と生徒という明確な立場の差が存在する。

弦太朗だけでは本質的に支え合う関係を築くことはできないのだ。
サブロウと関わることでそれに気付いた弦太朗は、ある大きな決断を下す。
それはある意味で、彼が心の中で着たままだった学生服を脱ぎ捨てたのと近しい。

そうしてサブロウは自分の殻に籠もっていた『サナギマン』から、真の姿である『イナズマン』へと脱皮できた。
また彼は自分の意志で拒絶していた他人との関係を持つに至る。
これは弦太朗が彼を教え導いた結果だ。

これがただの友達目線ではなく、本当の意味で生徒と向き合う教師になった瞬間だった。
これは生徒達の心の成長を助けることで、如月弦太朗もまた教師として一皮むけたのだ。

生徒を導き自らも成長する。
それが弦太朗の教師として、生徒と友達になるということなのではないだろうか。

劇場版の限られた尺に加えて、生身のアクションシーンにもかなり力を入れているため、展開そのものはスピーディーだった。
押さえるべき部分は押さえており、一つの物語としてちゃんと完成している。

本編終了後に語る後日談としては、いい感じにまとまっていた構成だと思う。
弦太朗らしさを失わせず、
彼が大人になった姿を見ることができた。

ちなみに『怪人同盟』の元ネタは石ノ森章太郎の同盟漫画だ。
三田サブロウの名前は漫画版イナズマンと怪人同盟の主人公と同じ。
面白い形で原作をリンクさせているなと思う。

戦いの決着をあえて弦太朗に付けさせなかったのも面白い試みで、客演の使い方としては悪くなかったと思う。
構成としても、最終的に合流シーンで弦太朗の出番はまだまだあるので問題ない。

過去のヒーロー&ヒロインが悪役や別人になる

実のところアルティメイタムはフォーゼだけだと、賛否両論という程に悪評は多くない。

仮面ライダーウィザード側にこそ、今回の問題は大部分集約されている。
この時期の平成ライダーは、
過去の特撮作品とのコラボ要素が強かった。

そして同時にあまり原作の作風や内容については踏襲せず、平成ライダーの世界観や設定に沿うよう再構築している。

だから本来悪魔の裏切り者であるはずのアクマイザー3は、彼らがそのままアクマ族だったらという設定で純粋な悪役に変わっている。
それもあってサビタンという名称はサダンに変更されており、他の二人も別名の別人扱いだ。

美少女仮面ポワトリンも同様で、ゲートの中でのみの存在だからこそ、ああいうオチを迎えたのだ。
なお、オチの中身が問題なだけで、そこに至る伏線はきちんと張られていて、あの落とし方は予想は付いていた。

原作の内容設定そのままで客演として出すのは、過去と現在の特撮作品では作風や方向性に差がありすぎる。
であるなら、元に囚われすぎず、かつ東映を支えた過去作品がまた日の目を見るようにしたい。
そういう意図はわかりやすく見えている。

しかし、問題は受け取り側の感情である。
私は仮面ライダーを除くと、過去の東映特撮作品はそんなに詳しいわけではない。
何作品かは観ているが、多くは子供時代の話なので内容は大体忘却している。

なのでアクマイザー3やポワトリンについて思い入れは特になく、敵役や衝撃展開になろうと別段気になりはしない。
むしろアクマイザーの新規デザインはちゃんと悪魔していて格好いいなあとか、デーモン小暮閣下が思った以上にちゃんとキャラ作ってるなあと高評価ですらあった。
最後の台詞もサダンなりの挟持を感じる名言だ。

客演作品に対する賛否

しかし、こういう扱いを思い入れのあるファン全体が飲み込めるかと問えば、それは絶対にない。
きちんと元作品を知っていて期待したファンからすれば、本作は原作ブレイク以外の何物でもないだろう。

例えばクウガが客演で出てきて、まるでグロンギみたいにゲーム感覚で殺人を行うキャラになっていたら心中穏やかではいられない。
そん辺の配慮が欠けていると思わても致し方ないし、もうこれはそういう評価を受けるというリスクを覚悟の上でやったことだと思う。
本作品の賛否両論は完全に起こるべくして起きたものだ。

また本作は作品の尺に対して全体のキャラクター数が多く、アクションに尺を多く取られている。
その分、客演キャラ一人単位の掘り下げが甘くなっている感も否めない。
そういった部分も含めて、本作は客演の扱いが少し荒いという印象を持つ作品ではある。

ただ、その分全体的に派手で格好いい演出は多かったので見所も沢山ある。
ポワトリンやナデシコのアクションもちゃんと女の子らしく、それぞれでしっかりと演じ分けられていた。

アルティメイタムは全体的に他のヒーローを出してのお祭感の強い作品で、『レッツゴー仮面ライダー』からのキカイダー達の客演や『劇場版フォーゼ』の流れを受けていると思われる。
そのため昨今では見られない珍しい構成となっている作品だ。
そういう意味では劇場版らしい特別感はかなりある。

昔のヒーローが悪役に回っても気にしない人や、細かいことはいいんだよ! ライダーは格好いいアクションだろ! って人には問答無用でオススメだ。
後、福士蒼汰ファンの人ならば、若い頃の彼が生身で格好いいアクションをしている、というだけで観る価値は十分にあるだろう。

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