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どうも、実はアンクがタイガーオルフェノクだと気付くまで結構かかったゲタライドです

仮面ライダージオウの5・6話はファイズ編とフォーゼ編の合同となりました。
学園モノとファイズの融合はこれが初めてではありません。
ディケイドにおいてもファイズは学園モノの世界観に置き換わり『学園ファイズ』となりました。

同じ過去のライダーを振り返る作品で、共通要素でもってファイズの世界が作られるかもしれないわけです。
これが狙っているのか偶然なのかは不明ですが、互いがどのような構成とテーマでファイズという作品を調理するのかはとても興味深いところです。
そのため、ディケイドにおける学園とファイズについての関係を改めて振り返ってみようと思います。

学園と調和したファイズの世界観

前提としてファイズの世界観は平成ライダーの中でも、かなりハードで暗い展開となっている。
その暗さもヒーロー物の暗さというだけでなく、ドロドロとした昼ドラ的な人間ドラマが起因だった。

テクノロジーの発達をスマートブレインという企業を通して見せつつも、世界観全体で見ると限られた人間関係の中で行われる閉鎖的なドラマ展開が多い。
平成ライダーは響鬼付近を境界にして、段々と明るい方向性の話へとシフトしていった。
ディケイドも世界の破壊者という名目だが、実際には旅した士が世界を救って回るハッピーエンドのロードムービー形式だ。

そもそもファイズの重苦しい世界観を二話で片付け、明るく締めること自体に無理がある。
それらの問題点を乗り越えるためかどうかは定かではないが、ディケイド版ファイズはその舞台として学園を用意した。

学園とは一つの世界であり、その中には独自の規則があってヒエラルキーもある。
そういう枠の中で生徒達は個々の人間関係を構築する。
この人間の上下関係は教師と生徒だけではなく、生徒間の人間関係においても必ず生じるものだ。

学園ファイズでは学園カースト最上位として『ラッキークローバー』が存在している。
逆にファイズ世界のライダーである尾上タクミは、気が弱くて自己主張が弱い。
カースト下位なのが見ていてよくわかる生徒だ。
そういう中で、ファイズは密かに学園を守る存在してオルフェノクと戦っている。

原点ファイズの乾巧は他人とコミュニケーション取るのが苦手で、旅するフリーターという間違いなく社会的弱者だ。
対するラッキークローバーは村上社長をして上の上と呼ぶ、オルフェノク社会の最上位クラスの者達だった。
これらは巧やラッキークローバーの立ち位置を、学園という構造で再構成している。
それらも含めてファイズの閉塞感を、学園という目に見える一つの閉じた世界に置き換えたと言えるだろう。

そこに学園モノでは鉄板の青春や恋愛モノを入れ込んできた。
ファイズの恋愛要素はドロドロでまるで昼ドラの様相を呈していたが、そこの緩和にも成功している。

また門矢士とラッキークローバーの学生らしい対決として、超人テニスでの勝負によるコメディ性も付与されていた。
(巧と草加もテニスを含めたスポーツ対決してたので、そのオマージュでもある)
これにより原点ファイズの重苦しい空気感はかなり緩和されていた。
学園ファイズの再構成は、ディケイドの中でもかなり上手い手法だったと考えている。

ファイズらしさの引き継ぎ

ファイズは変身者がコロコロ変わることに定評がある。
だが、この場合は乾巧と限定して、彼のファイズ像をまとめてみる。
大枠の人物像は以下の三つだろう。

  • 無愛想で性格悪いと見せかけて、繊細で心優しい人物
  • 夢の護り手
  • 実は自分もオルフェノク

乾巧は『理解されたつもりになられるのが恐くて、誤解されるように振る舞う』という繊細な感性を持っている。
自分に夢がなくても、人の夢のために戦い、オルフェノク(同族)を殺すという罪を一人で背負う。
普段はぶっきら棒に振る舞いつつも、彼がファイズとしてヒーロー足り得るのはそういう背景があるためだ。

巧とタクミはかなり人物像が異なる。
しかしタクミも自己主張が苦手で本音を出せないという部分は共通している。

タクミも巧と同じく同族殺しの罪を背負い、ファイズとして密かに戦い続けていた。
孤立度だけで言うなら巧より上ではなかろうか。
協力者マジでオートバジンくらいしかおらず、正体も隠しているので協力者も皆無だ。
あまり語られていないが、相当に孤独な戦いをしていたのは想像に難くない。

そしてファイズの力を失っても、想いを寄せる由里とその夢を護るために、自分がオルフェノクであることを晒してでも戦った。
一時は由里に拒絶されベルトを棄ててしまうものの、士の叱責を受けて再びファイズとなりラッキークローバーへと挑む。
(オルフェノクであることを知られるくだりは木場の要素も強い)
そしてディケイドは窮地に駆けつけ、彼の戦いについてを的確に語り共に戦う。

ある意味無粋だが誰しもが願う救済をやってのけるのが、通りすがりの仮面ライダーたる所以なのだ。
タクミの孤独な戦いを含め、ファイズ編はかなり王道な構成になっている。
これは当然の流れで、暗く重いドロドロ展開が全面に出ていてわかりにくいが、実は本家ファイズ自体も同じような構成の王道ストーリーだ。

ファイズの王道展開にしっくりこない人は、ロストパラダイスを思い返してみよう。
TV版で既に説明されているから、複雑な人間関係の絡みをある程度切り落とせた。
その上、元の雰囲気を壊さずにあのまさに王道の救世主展開を違和感なく作れている。

そしてタクミが懸命に戦う姿を見た由里はオルフェノクである彼を受け入れ、手を取り合って生きることを選ぶ。
これもファイズのラストシーンと同じ結論だ。
学園という世界の中で、しっかりとファイズらしさあるの物語は完成していた。

学園ファイズの良さが伝わりにくい理由

学園ファイズはリ・イマジネーションとして実に完成されていた世界だったと今でも思う。
しかし学園ファイズ編はディケイドの中では微妙な扱いを受けることもあるエピソードだ。
学園ファイズのファイズらしさが伝わり辛かったのは、時代に合わせた世界観の変更という要因が大きいのは事実だろう。

とはいえ前述したように、ファイズの世界観はそのままやるには人間関係複雑で話が重過ぎるので尺的にも難しい。
これはオリキャスではなく、世界再構築を選んだディケイドの限界と言える。

もう一つの要因がディエンドだった。
運悪く、ファイズ編がディエンドの初登場回なのだ。
どうしてもあのデザインにライダー召喚、そしてベルト盗む怪盗キャラというインパクトに話と尺が持っていかれてしまった。

まあ、海東大樹のおかげでほぼスルー確定だった帝王のベルトが日の目を見たという事実もあるので如何ともし難い。
歴代ライダーとのクロスオーバー物は、どうしても尺との戦いになるのだ。


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