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【仮面ライダーウィザード】仁藤攻介の『ピンチはチャンス』はウィザードのアンチテーゼ

2018年10月18日

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仮面ライダーウィザードはスマートかつスタイリッシュな物語だった。
そのため全体的にストーリーの破綻を抑え、無難に展開していった作品という印象が強い。

その中でひたすら破天荒に暴れ回り、その上ストーリー上でもかなり重要な位置を担っていた存在。
それが仮面ライダービーストにして、仁藤攻介というキャラクターだった。

主人公である操真晴人と共闘関係にして、自称ライバルだった彼の持つキャラクター要素はまさに晴人とは真逆だった。
そしてそれがストーリーに与えた影響はかなり大きい。

今回は仁藤攻介が『仮面ライダーウィザード』にとってどういう存在だったかを、物語に与えた影響と共に考察しよう。

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ピンチはチャンス=晴人の否定

ウィザードの晴人は、自分が絶望してしまいそうな人の『最後の希望』となることで、ゲートになった人々を救う。
まさにヒーロー然とした生き方だ。

対する仁藤の思想は『ピンチはチャンス』である。
窮地を乗り越えることで新たな何かを掴む姿勢。
実際に仁藤はゲートと勘違いされた際、怪物に食われる大きな不安を心に宿しながらも、全く悲壮感を表に出さなかった。

そもそも、キマイラにいつ食べられるかわからない状況を、ただマイナスとして扱っていない。
むしろ考古学の見地で、魔法使いという存在を知る大きなチャンスとして捉えているのだ。

だから晴人が仁藤の中にいるキマイラの退治を申し出た時も断っている。
窮地からのチャンスは自分が掴み取らねば意味がない。
これは他人にとっての希望となることを理念としていた晴人の在り方を真っ向から否定しているに近しい。

ウィザードのキメ台詞「さあ、ショータイムだ」に対抗した「ランチタイムだ」もやはり真逆性質を持っている。
ショータイムとは人に見せるためのもの。
誰かの希望になる前提で戦う晴人にとって、戦いとは他者のためという前提が成り立つ。

ビーストにとっての戦いは、言葉通りに食事だ。
倒した敵の魔力を食らって糧とする。
戦いとは自分が生きるための行為。
故にランチタイムであり、同じタイムが付いていても、含められている意味は真逆となっている。

僅かな間ではあったが、二人が出会った当初は揉めている。
きっかけはメデューサが仁藤を騙したことが発端であるが、その誤解が解けても二人はすぐに打ち解けて共闘態勢とはいかなかった。

魔法使いとして常に利他的な戦いを続けてきた晴人は、自分の食事のためだけに戦う仁藤を否定する。
対して戦うことが生きることに直結していた仁藤は、無償で誰かのために命懸けで戦う晴人が理解できない。
どちらが絶対的に正しいかの話ではなく、価値観の差によるぶつかりだった。

結局は一晩悩んだ末、仁藤が晴人の「明日の命よりまず今日の命」という発言に共感する形で和解した。
その後は共闘態勢は取りつつも、晴人を友人ではなくライバルとして扱った。

出会った当初は、勘違いから同じ縄張りで食事を取り合う相手であった。
だがそういう差し迫った事情を省いた上で、魔法使いのライバルとして認め、競い合っていく道を選んだ。

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自分流の生き方を貫く姿勢

「皆まで言うな」が仁藤の口癖であり、その後、見当違いの見解を口にする。

また全ての食事にマヨネーズをたっぷりかけて食べるし、私有地だろうが構わずキャンプを行い自分の家にしてしまう。
時には全くの悪意なく自分ルールを相手に押し付けるような人物である。

考古学者というロマン溢れる職業に憧れ、どこまでも自由奔放な生き方を選ぶ。
ウィザードの世界で最も浮世離れした人間だったのは間違いない。

そして同時に、この生き方こそが仁藤を仁藤足らしめてきた。
仁藤が歩み寄ったのも同じく、常に死の恐怖と隣り合わせである彼の危機的状況に、晴人も一定の理解を示すようになっていた。
もっと純粋な仲間となれば、より簡単に食事にはありつけただろう。

しかし仁藤はそうせず、あくまでライバルという対応な関係を選んだ。
『ピンチはチャンス』という信念は、誰かに寄りかかっていたら成立しない。
重要なのはピンチから逃げない挑戦心。
そうすることで仁藤は窮地を乗り越え成長してきた。

故に最後は晴人すら詰んだ最大のピンチを壊すキーマンとなった。
更にはそれによってキマイラから開放されたのに、まだ知りたいことがあると再び探しに出てしまう。
しかも後の劇場版で再契約までしていた。

これにはキマイラさんもさぞビックリしたことだろう。
なお、やはりピンチをチャンスに変えて、空間を越えた『ヘルヘイムの森』で新たな食事を大量ゲットしていた。
これはもう仁藤とキマイラがインベス化するピンチに陥らないことを祈るしかない。

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主人公よりも絶望しなかった男の生き様

話が前後してしまうが、ピンチをチャンスと捉える仁藤の信条は、物語の終盤で大きな役割を果たすことになる。

二度目のサバトにて晴人は捕らえられ、コヨミを守る人柱になることを突きつけられると、人を守るために戦ってきた根本のアイデンティティが揺らぐ。
結局はその人柱も、東京に住む大勢の人間を犠牲にするための装置という意味合いだったとわかる。
だが、その間の迷いが反撃のタイミングを奪ってしまい時すでに遅しとなっていた。

仁藤はキマイラが空腹のギリギリを訴えており、しかも他の魔法使いは全員操られるか捕縛されてしまっている。
たった一人でサバトを阻止せねばならない状況。

しかもサバトは止められず開始されてしまう。
そんな状況で仁藤はあくまで自分の信念、ピンチはチャンスを曲げなかった。

大量の魔力が東京を埋め尽くすような状況で、仁藤はベルトを破壊してキマイラを解き放った。
完全に自由となったキマイラは、コヨミを完全に復活させるために必要な魔力を残さず平らげてしまい、サバトは失敗に終わる。

しかも仁藤の予想外な行動により、魔力を大量獲得したことですこぶる機嫌が良くなったキマイラは、まさかの契約破棄をして彼を開放した。
多くの人の命がかかったサバトの破壊と同時に、自分の抱えていた明日をも知れぬ命までも同時に解消してみせた。
本当に、最大のピンチを最高のチャンスに変えて全てをひっくり返したのだ。

キマイラから開放された仁藤は、最後に残る希望を晴人へ託した。
自分の生き様を貫きやりきった末に、彼が信じる最後の希望へ決着のバトンを渡したのだ。

それでも最初の仁藤なら自分の命を優先し、この行動は取らなかっただろう。
互いの生き方が、互いの否定に繋がっていた二人。
しかし確実に影響はされ合っていて、互いの成長を促す。
彼らはまさに好敵手(ライバル)の関係であった。

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