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仮面ライダーゼロワン 10話感想 大和田がヒューマギアを嫌う本当の理由

2019年11月11日

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仮面ライダーゼロワン 10話『オレは俳優、大和田伸也

ゼミ生の皆様こんにちは、語屋アヤ(@ridertwsibu)です。

今回は俳優編にしてAIMS編であり、そしてまさかの暗殺ちゃん回でした。
脚本は再び筧昌也氏となります。

前回の病院編に続いて今回も前後編ですが、病院編は前編がナースで後半がドクターと分けられていました。
俳優編はそういう構成分けもなく、完全に俳優一本の話になります。

その代わり、前編ではAIMSチームがストーリーに大きく関わっていました。
こっちは一話で話を畳んでいたので、次回は飛電側の物語になると思います。

一部では或人の出番少なくない? という感想もあるようですが、序盤はとにかく世界観の解説を優先にしていた印象が強いため、或人の掘り下げはまだまだこれからでしょうね。

演出面ではイズのゼスチャーが機械らしさと人間っぽさがいい感じに混ざっていて可愛いらしい。
なんとこれ、イズ役・鶴嶋乃愛氏のアドリブであり一発OKで通ったとのこと。

戦闘はAIMSコンビが活躍。
ゼロ距離ショットガンやガトリングヘッジホッグ、そしてライトニングホーネットと射撃演出が際立っていました。

射撃で雑魚を豪快に一掃する演出は、仮面ライダーアクションの醍醐味ですね。
新プログライズキーで不破がロックを破壊しないのは結構新鮮でした。
シューティングウルフはすっかりロックが仕事してない……。

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ZAIA社長があまり第二の檀黎斗になってほしくない理由

病院編を経て唯阿と不破が急接近だ。
元々が遠すぎたので、近付いてもまだアウトボクシングくらいの距離感あるけど。
どちらも病院編での経験が性格に少し影響を与えている。端的に言えば若干の歩み寄りを覚えて丸くなった。

不破はヒューマギアに命を救われたことでヒューマギアは全部破壊すべき思考がちょっと柔らかくなっている。
イズとも対等な相手として会話できていた。
ヒューマギアが危険な存在である認識は変わっていないが、それは人がどう扱うかによる。
そういう事実を実感として得たのだろう。

元々ヒューマギアに対する怒りと恨みも経験によるものだ。
マイナスの経験をプラスの経験が打ち消したと言えよう。
とはいえそれで過去のトラウマが払拭されるわけもなく今の状況に一旦落ち着いたといった感じか。

唯阿の方は状況がかなり複雑だ。
しかも全ての答えが表に出ているわけもないので更によくわからない。
ただ、自分の撮った動画を本来の用途ではない飛電インテリジェンス潰しに使用されても公に否定できない立場であるようだ。

所属がAIMSであることは間違いない。
そして人々を守りたいという意思も確かにある。
ならZAIAがAIMSの資金や技術の出資を実施しており、唯阿はZAIAから出向している人材あたりが現実的だろうか。

所属がAIMSでも実質的な手綱をZAIAが握っているなら、そう簡単に社長の意向には逆らえない。
ZAIAの目的が飛電潰しなら、強制的に付き合わされる運命だろう。

ただしそれが本意ではないので、もし自分が裏切ったらと不破に話を振った。
不破はあくまで自分の信じる道を行く。
組織人だが良くも悪くも自己の意思が硬い。

対する唯阿は自分の意思があっても組織人として歯車の一つになることを選んだ。
二人の立場と関係性が少しずつ見えてきている。

こういう状況の中で唯阿が新しいプログライズキーを不破に回したのは、唯阿の真意がどこにあるかを示す意図としても機能していた。
また普段は駆け抜けるような変身ポーズが、迷いのある中では立ったままの変身で不破同様に涙ラインが浮かぶ
唯阿もまた苦悩の中にあるのがわかる演出だった。

そしてZAIA社長の天津垓もここで初顔見せだ。
本来、天津垓の登場は途中からになる予定だったが、メインキャラオーディションで演者である桜木那智氏を押さえるため序盤三話からの登場になった。
そのため当時はまだお金持ちの社長部分以外の設定はほぼなかったらしい。
この瞬間瞬間を必死に生きて作品作っている姿勢は平成ライダーの頃から一切替わってないね!

インテリ系のキャラ作りしているが、発言は1000%とかスパーキングなことを言い出した。
なお、新プログライズキーの中にスパーキングジラフがしれっと混ざっている。ZAIA社長はトイザらスにも顔が利くようだ。

1000%はキャラ付けの一部で狙ってやっているのはわかる。
早くも檀黎斗っぽさが見えており、感想ではほぼこの名前が出てくる状態だ。
ただし檀黎斗は最初から名前が新しくなったり神ったりする予定はなかった。

まさしく檀黎斗こそ瞬間瞬間を必死に生き抜いてきたからこそかっ飛んで狂気の向こう側へとたどり着いたキャラだ。
言ってしまえばほとんど奇跡の産物なので、第二第三の檀黎斗を意図的に作ろうとするのは、劣化コピーを生む結果になしからないだろうと私は思う。

正直なところキャラの立ち位置的な近さから寄せても寄せなくても檀黎斗と比較される運命だ。
ならば下手に檀黎斗へと寄せるより、二人目の社長として天津垓独自のキャラを丁寧に作っていってほしい。

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シンギュラリティに到達した暗殺ちゃんとの別れは近い?

俳優編をしっかりとやりながら、まさかの暗殺ちゃんメイン回だ。
しかもお友達予定の俳優ヒューマギアよりも明確にシンギュラリティに達そうとしている。
まさか暗殺ちゃんがここまで良いキャラに転がるとは思わなかった。

迅のノリで大和田の殺陣とリアルな演技を観た暗殺ちゃんは、本当に教えを請いにいく。しかも完全に独断だ。
軽い気持ちで行ったわけではなく、強くなるため本家が褒めるくらいドラマの殺陣をバッチリ憶えている。
恐らく試しにやらされたのだろう台本読みではただ台詞を読み上げるだけでなく、アドリブで台詞を変えた。

芝居とは人と人とのぶつかり合いだと大和田は語る。
その中で登場人物の人間味が作られ厚みが出てくるのだろう。
こいつならこの時にこう言うべきと思考できるのは、芝居をする者の中に自分の演じる者の人物像が作られているから。

大和田はそれを人間味と感じている。
アドリブに対してアドリブを返せず混乱してしまうエンジには役者としての厚みがなくどういう人物かわからない。と評される所以もここにある。
故にこそアドリブができる暗殺ちゃんには明確に人の心が芽生えだしている証明になるだろう。

暗殺ちゃんは暗殺ちゃんで、ヒューマギアには演技ができないと否定されると、その怒りを大和田ではなくエンジへと向けた。
マギア化させるはずのエンギを不要として攻撃したのだ。
普通に考えればヒューマギアを否定した大和田を狙うべきだが、そうならなかったのは暗殺ちゃんが大和田に対して感情移入をしているから。

言ってしまえば、恋をした少女が付き合っている彼氏の浮気を発見した時、「この女さえいなければ彼は私の元に戻ってくる!」と怒りの矛先を浮気相手に向けるようなものだ。
なんかこう書くとめんどくせえ女子みたいになってるね暗殺ちゃん。

そしてヒューマギアにそういう人間味が生じることを嫌うのが滅だ。
独断行動と人間味の発生を知られてしまうと高確率で人格のリセットをされてしまうだろう。

ドードーマギアとしても順調に成長している。
最初はスッカスカだったアーマーも大分しっかりと装着された。
(ただ前回はゼロワンのキー総攻撃みたいな勢いでようやく倒されたけど、今回は新キーでアッサリだったのはちょっと気にかかる。強化とは……)

敵役が一定以上成長するのは大抵の場合破滅を呼び込む。
そもそもヒューマギアはシンギュラリティを迎えること自体が死亡フラグの一つにもなっている。
そろそろ暗殺ちゃんの退場カウントダウンが始まると覚悟しておかなければと思う今日この頃。

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大和田伸也のヒューマギア像は一般市民の視線

今週は大和田伸也氏が大和田伸也役で出演だ。ブログだと何気に敬称に困るぞ。
とりあえず本人と役としての大和田氏を分けるため、後者は敬称無しとする。

大和田は初の俳優型ヒューマギアを主演にしたドラマで、重要な役を演じる。
作品としては初の俳優ヒューマギアだけだと視聴層が偏ってしまったり、撮影で問題が生じた時のフォローが難しい恐れがある。
そこで実力派のベテラン俳優も起用して、実質W主演にした言って差し支えないものだろう。

形式としては『仮面ライダーW』で俳優初挑戦のフィリップ役菅田将暉氏に対して、左翔太郎役には経験のある桐山漣氏を起用したことに近い。
『W』ではそれが上手く機能したが、『ゼロワン』の劇中では別の問題が生じた。

大和田がヒューマギア『松田エンジ』の演技に強い違和感を持ってしまっていた。
この違和感はヒューマギアに対する不信感とも置き換えられる。

そして大和田はもう一人暗殺ちゃんと出会い、ヒューマギアだと知らないまま暗殺ちゃんを高く評価した。
もちろんこれはヒューマギアだとわからなければ間違ってしまう皮肉、行ってしまえヒューマギア差別の観点も込められているが、重要なのはそこだけではない。

大和田は機械が人間の演技をすること自体に抵抗があるのだろう。
視聴者からすれば『ヒューマギアにも心は芽生える』の意識がある。

そして滅亡迅雷がエンジを狙っているので、恐らくシンギュラリティが起こり始めている。
例えばアドリブに対応できず、思わずカットと叫んでしまったのはその影響ではないだろうか。
大和田は勝手にカットしちゃダメだろうと注意しており、それは正しい。
けれどカットと叫ぶ行為は本来俳優の行うことではない認識はあるはず。それでも自分でつい選択したことなのだ。

そういう人間性の発露や機微は、何も知らない人間だと気付き辛い。
大和田や一般人の視点だとプログラムが上っ面だけ人間の演技を学んでキャラを演じている感覚なのだ。

お金や人を集めて制作している以上、初の試みである俳優ヒューマギアに対して『本当に大丈夫?』という不安は出てきて当然。
そこでアドリブに対応できず焦ってミスする結果が示されれば、不意に見えた微かな人間性は単なるバグだと処理され『やっぱりヒューマギアに俳優は無理』と意識が先行する。

暗殺ちゃんは突如大和田の前に現れて教えを乞うた。
この行為自体がヒューマギアとしてはあり得ない。
そして暗殺ちゃんなりに殺陣を学び披露する。

いきなり表れて自己学習の成果を見せてくる青年は、一般的なヒューマギア像からそもそもかけ離れているのだ。
もちろん熱血先生の時みたいに、若い子供の方が機械であるヒューマギアに対して適応が早く、感情移入しやすい。
これはスマホに対する順応速度や、アレクサに話かける幼い子供等で考えれば自明の理だろう。

しかも自分で判断してアドリブを入れてくることは、人間の感覚だとヒューマギアでは不可能な領域なのである。

大和田が極端に古い思想の人間なのではない。
ヒューマギアと人間の違いを、曖昧な個々の感覚で人はどこまで受け入れられるのか?
俳優を通して人と機械の境界を問うているのだ。

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