ライダー語るのが生きがいの下駄です。

ジオウのような作品は前作までの各作品を理解している方が断然楽しめますよね。
むしろ知っていることが前提になる部分も少なくない。

しかし平成ライダー自体が20年の歴史を持つ大型コンテンツに成長しています。
同時に平成ライダーは一つ一つの作品にいくつもの重要な要素があり、とても一言では語りきれません。

そういうわけで、ジオウの中で出てきたライダー作品のエッセンスを解説していこうと思います。
最初はビルド編でタイトルにもなっているベストマッチです。

異なる二つの要素で作るベストマッチ

今回ビルドの要素として一番わかりやすく強調されたのは、アナザービルドによるベストマッチじゃない発言だろう。

ビルドはまだ記憶に新しいというか、リアルタイムで視聴しているライダーファンで知らない人はほとんどいないと思うので、この辺はおさらいがてらにさらっと解説。
仮面ライダービルドの変身アイテムは動物や道具等の要素が入ったフルボトルで、これを二本ベルトに挿して変身する。

ボトル毎にそれぞれ特殊な能力が備わっており、中でも相性が良いモノはベストマッチと呼ばれ性能が向上。
アナザービルドも集めたボトルの力を使い戦っている。
(今回はベストマッチじゃないためかアッサリ負けたけど)

ビルドは二つの要素を組み合わせて力を発揮する仮面ライダーだ。
基本的にビルドは基本フォームの『ラビットタンク』がそうであるように『有機物』と『無機物』の組合せになっている。
アナザービルドは『空手』ボトルを手に入れていたが、ビルドTV本編なら『柔道』ボトルと組合せがベストマッチになることはまずない。

ニンジャとコミックみたいに見たまんま直感で相性良いだろこれと思うものもあるにはあるが、基本的に交わらない二つの要素を組合せていることに面白味がある。
ビルドにとって変身とは『実験』でもあるのだ。

個人的に『空手』ボトルならば、きっと『ブーメラン』辺りがベストマッチになるではないかと期待している。
ブーメランと空手を組合せた全く新しい格闘技とか良いと思います!

このベストマッチという概念は、後々に作品根幹の重要なテーマとしても扱われていく。

戦兎と龍我のベストマッチ

ビルドという作中で最も重要視されたベストマッチはボトルではなく主人公コンビだった。

物語の当初、龍我は殺人の冤罪を着せられ、更には最愛の彼女まで利用されて殺されている。

龍我にとっての戦いは無実の証明だった。
また彼女を殺された復讐も戦う動機の一つになっていただろう。
この二つは十分に共感できる動機であり決して悪事とは言えない。

だが龍我の戦いは自分のために行われるものだった。
復讐だって恋人に望まれたわけではない。
劇場版では仮面ライダーになった後ですら、自己犠牲して戦う戦兎達に納得できないと悩む場面も見られた。

それでも龍我が戦えたのは『自らを犠牲にする者達のためなら自分も戦える』という気持ちを落とし所にしていたためだ。
対して戦兎は記憶を失いながらも最初から科学が人を救うと信じており、ラブアンドピースを目指して戦っていた。

自分のためだけに戦う龍我に、最初は変身アイテムを渡すことを躊躇う場面もあった程だ。
これが自分の過去に迫っていき、ライダーシステムが戦争の道具になり出すにつれ信念も揺らぎ始める。

人を守るためにライダーシステムが、逆に戦争の引き金となり状況を悪化させていく。
しかも戦争を終わらせるためには、もっと強くてリスクのあるシステムに頼らざるを得なくなっていった。
また自身の正体が『悪魔の科学者』と呼ばれる葛城巧だったことも戦兎を追い詰める要因となった。

記憶はなくともある意味自分が戦犯で、戦いを終わらせる責任がある。
気が付けば戦兎の正義は贖罪と責任に変わろうとしていた。
それを共に戦い支えたのが龍我だったのだ。

龍我は葛城巧だった頃の戦兎を知らず、科学は世界を救うと信じラブ&ピースを掲げて戦ってきた心こそが戦兎だと信じた。
無茶をして暴走した戦兎を、自ら先に暴走を乗り越え救い出したこともある。
追い詰められていく戦兎を救い、自らも戦兎を信じて戦っていった龍我もまた、最初は理解できなかった『ラブ&ピース』が信念となっていた。

そして物語終盤で桐生戦兎という人間自体が、黒幕にデザインされた虚構のヒーローだったことが発覚する。
しかし虚構だったヒーロー像に中身を入れてくれたのが、龍我であり仲間達だったと気付く。
そして龍我のドラゴンボトルと共にラスボスを倒し、歪められた世界を本来あるはずだった形『新世界』に戻した。

登場人物が増えて話の構造が複雑化しても、二人の支え合い影響し合うことで強固になっていく友情はずっと物語の根幹にあった。
ここで重要なのは先に解説したボトルのルールだ。
戦兎が使ったのは自身のラビットと龍我のドラゴンである。
どちらも有機物側ボトルなので本来使えない組合せのはず。

しかしどちらのボトルも長い戦いの果てに金の銀のボトルに色を変えていた。
これはもはやラビットとドラゴンのボトルではなく、桐生戦兎のボトルと万丈龍我のボトルになっていたのだ。

そして戦兎にとって戦いとは同時に実験。
相棒とのベストマッチという実験結果が、新世界の創造だったとも言えるのではないだろうか。

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