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仮面ライダーファイズ/555 6話感想 絡まり合う三人と三人

2019年5月25日

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仮面ライダーファイズ/555 6話『3人×3人』

ゼミ生の皆様こんにちは、語屋アヤ(@ridertwsibu)です。

第六話はメインキャラクター六人、その最後の一人であるスネークオルフェノクこと海堂直也が登場した。
これがまた濃い!
実に井上敏樹脚本的なキャラクター像ですね。

なお、巧役の半田健人氏は巧とは異なり非常にアグレッシブかつ個性的な人で、海堂の活躍を見て『変人仲間』だと確信して積極的に自分から唐橋氏(海堂役の方)へ絡みにいったそうです。
ファイズのメンバーにて、プライベートで初めて遊んだ相手も唐橋氏だったとブログで語っておられました。

物語としては巧と木場の出会いも描かれました。
最初のすれ違いはやきもきさせるというか、大きな運命を感じさせる演出だったのに、実際のファーストコンタクトは全くそんなの感じさせない流れ!

逆に啓太郎と長田は相変わらずすれ違い続けてしまう。
絶妙な絡み方の中で、それぞれのキャラ性が滲み出ていました。
ではでは、今回の感想と考察を始めましょう。

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巧と木場の初接触

仮面ライダーの主人公である巧は堂々と免停中に2ケツをして、更にはスマートブレイン社に乗り込むため木場をストーキング。隙を見てピッキング&窃盗というモロ犯罪に手を染めようとする(窃盗は未遂に終わったけど)。

そしてヒロインの真理もまるで止めようとしない。
言い出した巧がちょっと驚くくらい躊躇がなかった。

狙う相手に木場が選ばれたのも見た目が弱そうだったから。普通に問題児どもである。
これで巧サイドには全員窃盗未遂になった。いいのかニチアサ……。

そして短絡的な犯行は当然失敗して守衛に見つかり警察へと突き出されそうになったのを、真理が機転を利かせて巧へと罪を押し付けて事なきを得た。鬼か。
巧もその場から逃れるために結局乗ってしまい、木場から『キチンと自立した方が良いと思いますよ』と言われてしまうのだった。
自業自得なのだけど酷い初対面もあったものだ。

このシーンで大事なのは『人間』である巧と真理が犯罪に手を染める問題行動を起こして、『怪人』の木場が優しく人情味のある対応をしていることだ。
真理も木場に対して好意を抱いている。

オルフェノクである木場は、現実を突きつけられても人間であろうとしている。
人間の進化系だから人間をオルフェノクに引きずり込んでいい理論に反対して、人間の頃と同じ『心優しい人間』としての振る舞いを貫く。
まあ、実際のところ木場は(やむを得ない状況ではあるけれど)スマートブレインに手厚い援助を受けていて、全然自立してないんだけどね!

現実問題として『善人』とは意識してそうなろうと自分を律しなければ、そう簡単にはなれない。
啓太郎の良い人は天然要素が強い。自分の思う善行を積み重ねようとしているが、それは明らかにやり過ぎであり、人助けを理由にファイズのベルトを盗もうとまでした。
本当に善人であり続けるには善悪の基準をしっかりと持って、『人から見て正しい自分』であり続けなければならないのだ。

なお、木場の善意と人格については小説版でも触れられている。
物語としてはファイズの再構成で、少なくとも中盤までいかないとネタバレ要素が強いのだけど、各キャラクターの在り方や性格を補強する意味でも小説版は非常にオススメだ。

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ぶっきらぼうの中にある乾巧の優しさ

とりあえず問題行動は置いておくとして、巧のぶっきらぼうの中にある優しさも、少しずつ見えだしている。
真理に対して父親のことを煽っているのは、臆病になってしまった背を押すための行為だろう。

IDカードを盗もうとしたのも、そのまま挑んではいつでも真理を父親に会わせることができないため。
問題は問題だが、少なくとも目的は私利私欲ではない。

啓太郎のなりたい理想についても、巧は本音では立派だと思っている。
(その本人はスーパーで勝手にビラ配りをして警備員に捕まりそうなって逃走。カートがクラッシュして店に迷惑をかけていたが)
初めにアイロンがけが上手くできず服を燃やしてしまったが、いつか上手くなりたいと、クリーニング店のバイトも続けていく意思を見せた。
不器用だけれど、根は繊細で優しい人物という本音の部分を少しずつ出してきている。

真理も同じく短気さでは巧といい勝負だが、喫茶店のマスターがオルフェノクに殺害されたことを心配して気遣う一面も見せていた。
『仮面ライダーファイズ』では心まで怪物化した者達を除き、徹底した善人や悪人として描かれる人物は少ない。
良い面と悪い面どちらもあるのが人間であり、その泥臭さを描くことでドラマとなっている。

ファイズの物語はなんとなく、ぶっきらぼうで素直になれない巧に対して、真理と啓太郎と接することで少しずつ心を開いていく物語として記憶されやすい。
それは別に間違いではないのだが、真理と啓太郎も実は巧と負けず劣らずの問題児であることは改めて強調していく必要があるだろう。
正確には、問題児だが根は優しい三人がぶつかりあって、それぞれが成長していく物語なのだ。

余談として、第6話の守衛室で出てきたラジカセは『仮面ライダージオウ』の劇中でクジゴジ堂に持ち込まれたものと同じだろうと半田健人氏が語っている。
クジゴジ堂の中には様々な過去作アイテムが意図的に置かれているので、これは真実である確度は高いと思われる。

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海堂のスネークオルフェノク化

そして六話の目玉はやはり、ファイズ内でも特にキャラの濃い、見たまんまの問題児海堂だ。
今までどういう生活して、どうやって生きてこれたの? って勢いのフリーダムさ。

面接もグッダグダだ。
巧ですら喫茶店のバイト面接に受かっているのに、まともな受け答えすらできていない。
というか自分から面接を受けている割に、受かろうとする意志が全然見えないのが真の問題だ。

だが時間を気にしていたことからも、面接を受ける意思はハッキリとあった。
行動が随分とちぐはぐである。
何らかの事情を抱えているのは明らかだろう。

また面接の最中、海堂はオルフェノク化による身体能力向上で、面接官の不整脈や食べた物を次々と言い当てていく。
そして最後には血の匂いにまで気付いてしまった。

オルフェノクによる身体向上の発現は基本的に不幸なことばかり呼び込む。
木場は眠っている間に、親族から全て奪われたことを知った。
長田は怪我した妹を発見したが、それが理由で家を追い出された。
そうして海堂は殺人者に襲われてしまうのだ。

人を超えた能力が人を幸せにするとは限らない。
むしろこうまで悪因に繋がる描写が多いと、異端の力はいらぬ災いを起こすという事実を物語っているようだ。

海堂と木場達の違いは、自分がオルフェノクとなった事実をあっさりと受け入れた流れだろう。
精神構造がまるで違う、あまりにも短絡的でわかりやすい単純さだ。
むしろこのノリの軽さは異常ですらあるだろう。
人間を辞めたがっていた発言からも、この単純過ぎる思考の裏には何かがある。

そして殺人者に襲われた海堂はスネークオルフェノク化して逆襲した。
個人的にスネークオルフェノクは丸みを帯びたデザインとつぶらな瞳がちょっとかわいい。
とはいえ行動としては正当防衛であり、やり返しただけで命までは奪っておらず、巧が乱入だ。

そこへ前回のイカフェノクが死んだ理由に疑問を抱いていた木場も登場。
ファイズとなった巧、オルフェノクとなった木場との二度目のファーストコンタクトへと繋がっていくのだった。

オルフェノク関連で付け加えるなら、啓太郎が優秀なオルフェノク発見器になりつつあるよね。
微妙に役立ってないのでストーリー上ご都合主義とまではなっていないけれど、結構な超能力ではなかろうか。

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