仮面ライダーファイズ/555 1話『旅の始まり』

どうも、ゲタライド(@ridertwsibu)です。

現在ジオウの感想を毎週書いていますが、新たにもう一本週刊で書いていきたいなと思い、毎週『仮面ライダー555』感想を投稿していきます。
なぜファイズなのかと言いますと、来週からニコニコ動画でファイズの放送が始まったので、初めてファイズを観る人や懐かしさに観返す人がふらりと足を運べるコンテンツにしたいなと思ったため。

そのため基本的に毎週一話ずつの更新で先のネタバレはしない方向性で進めていく予定です。
ただ、視聴し終えた人がすぐ感想を追えるよう、次回以降はTTFCで先に視聴して前日までに更新していくスタイルを取る予定です。

ちなみに本当は第一話もその予定だったのですよ。
先週までニコニコ動画ではフォーゼ一話からラストまで順番に放映されておりました。
ずっと放映順にタイトルが変わっていったので、これはもうからは確実にウィザードをやるなと! 土曜日に用意して! いたんですよ!


(この記事を公開にしたら、そっと非公開にしようと思っていたのですが、かなり気合い入れて書いたので、暫くは残しておこうと思いとどまりました)

誰がファイズまでトンボ返りすると思いますか……。
日曜日はジオウ最新話の更新が最優先のため、第一話は遅れて月曜の更新となりました。
ファイズは特に好きな作品の一つなので嬉しいと言えば嬉しいのですが、無念……。

というわけで、悲しい前置きはこれまでにして感想を始めていきましょう。

フェイクだらけの二重構造

ファイズの第一話は二つの場面が並行して進行していく。
最初に出てくるのは木場勇治だ。
私は初視聴時、木場が主人公だと思い込まされまんまと騙された
これは今でもトラップとして機能しているが、初放送時は特に効果抜群だった意図的な構成トリックだ。

クウガから龍騎までの歴代主人公は、全員気さくで親しみやすい人物像だった。
そして通常、主人公は存在感を与えるため、物語の早いうちに登場させる。

従来の作品に慣れている視聴者ほどこのキャラ付けは主人公だなと勝手に思い込む。
(私の初視聴は龍騎だが、ファイズが放送開始される前にはクウガとアギトも全話視聴済みだった)
ダメ押しで一度死んでから生き返るところで場面を切り替えるのでタチが悪い。

そしてその後に出てくる、初登場時に台詞すらない男が主人公である。
乾巧という名前すら次回予告にならないとわからない男が主人公である。

一見すると到底善人には見えない主人公も、平成仮面ライダーでは巧が初めてだ。
従来にないタイプの主人公をアピールするため逆説的に目立たたせない方式を取ってきた。

メインヒロインの園田真理に主人公どころか殺人犯だと間違われるフェイクまで入れている。
また、そういう目立つフェイクの中に目立たないけど重要な要素もしれっと入れ込む。

真理は最初に怪人を目にした時驚きで硬直している様子だった。
もう一人、木場に殺害された親戚の男は大声を上げて仰天している。

しかし乾巧だけは目に見えて反応が薄い。
怪人どうこうよりも、自分の荷物だと思いこんでいるバックを迷わず奪い返しにかかっている程だ。
ていうかバックが自分のではなかったことの方が驚いている。

その上で、真理が変身すると見せかけて失敗。
試しに巧を変身させると『Complete』の音声と共にファイズへと変わった。
これも変身者に関するフェイクと言える。
こういう大きなフェイクの間に、わかりにくい小さな違和感を差し込できたのだ。

そもそも主人公が誰かわかりにくくする構成にしたのは撮影時の理由もある。
乾巧役の主演俳優である半田健人氏は当時まだ高校生で、学業を優先したいと依頼して撮影スケジュールを調整したためだった。
平成仮面ライダーがメジャーとなり安定した今では考えられない話である。
そして、そういう状況をむしろ利用してこの脚本を書き上げた井上氏が一番恐ろしい。

また、この構成はもう一つ当時は革新的な要素を際立出せる効果も有していた。
主人公に代わり第一話のメインを張った木場勇治についてである。

革新的な怪人の扱い方

第一話では怪人に対する多くのミステリー要素も含まれていた。
まず物語の後半で怪人化する木場勇治は前半で事故死した後に暫くの後に復活している。

また怪人に襲われた者達も、一度復活してから灰化していく。
ファイズに倒された怪人も青く燃えながら被害者達と同じく灰化。
木場勇治と怪人の被害者達は一度死を体験して蘇っているという点で共通している。
それぞれの死に明確な特徴と共通項があるのだ。

単に怪人被害者に特徴を持たせたいだけなら、ここまで手の込んだ演出はしない。
これだけでも怪人に対してこれまでにない要素を取り入れようとしているのはわかるだろう。

そして何よりも、そもそも主役である仮面ライダーよりも怪人である木場勇治の方が目立っている
ぽっと出の巧よりも、よっぽど丁寧に怪人化するまでの流れが描かれており、しっかりとしたドラマがあった。

不幸な事故で家族を失い、本人も二年間生死を彷徨う。
そして生き返るともはや自分の居場所どころか物理的に帰る場所がなくなっている。
それも親戚の身勝手な欲望による行動だ。

最後の精神的拠り所だった恋人も親戚に奪われて、生き返ったことが間違いだとすら言われてしまう。
ここまで木場勇治には何一つとして否がない。

ただただ悪意と不幸の連鎖で人生のどん底まで叩きとされて暴走するように怪人化。
怒りと憎しみにより親戚の男を殺害してしまった。
(相手も車で体当たりしているので一方的な行動とも言い難い)

平成仮面ライダーにおけるこれまでの怪人は、いずれも人間と相互理解が不可能な存在だった。
対して木場勇治は一度死んで怪人化しても人の意志は変わらず、殺人ですら人間として理解できる範疇の動機がある。
木場勇治とは平成仮面ライダー史上初めて、メインキャラクター扱いで登場した初めての怪人なのだ。

怪人に人間ドラマを持たせるという初の試み。
常に挑戦的な姿勢を崩さず独自の世界観を作り上げてきた平成ライダーの在り方がここにある。

平成仮面ライダー初SF寄りの世界観

これまでの平成仮面ライダーは人智を越えた古代文明などファンタジー寄りな世界観が設定の基礎にあった。
『仮面ライダー龍騎』は人の手により作られたシステムだったが、根幹のミラーワールドは最初から存在しており、設定的な深い言及はない。
仮面ライダーはミラーワールドで戦うための舞台装置的な役割であり、全体的に設定はぼかされていた。

『仮面ライダー555』は冒頭からスマートブレインという企業が変身ベルトを開発しており、謎の怪物による襲撃を受けて強奪されてしまう。
この冒頭だけでもこれまでとは異なる世界観でやるよ、という意思表示みたいなものだ。

スマートブレインは途中の定食屋でもCMが流され、有名な企業であり、ファイズ世界ではテレビに映るような身近な存在だ。
ここで、わざわざ真理の乗っているバイクも映されて、物語への関係性も匂わせておく。
そして真理が取り出したトランクにもスマートブレインのロゴが入っており、中から強奪されたはずのベルト『ファイズギア』が現れる。

第一話からスマートブレインをところどころ映すすることで、物語の根幹がスマートブレインという企業にあるのだとアピールしている。
なお、トランクの中には目に見える形でマニュアルが入っていて、同じ人工物でもG3システムとは明らかに異なる製品感が出ていた。

変身後のデザインもこれまでのライダーとは毛色が異なる近未来感が押し出されている。
何よりも当時の最先端機器である携帯電話が変身アイテムだ。
超文明や人智を超えた力としての象徴だったベルトや、玩具っぽさをあえて出していた龍騎のデッキケースとはまるでベクトルが違う。

当時では一般に普及している身近な電子機器を変身アイテムにしたのはかなり斬新な発想だったのだ。
当然のごとくライダーファンは自分の携帯に555を入力してエンターボタン押すアクションが大流行した。

なお、リアルタイムで初めて時のファイズに対するデザインの感想は『顔面分度器じゃねぇか!』であり、しばらく笑い転げていた。
そして気が付くと格好良く見えていて、今では家にフィギュアが飾られている。
ものの見事に商業戦略という名の沼に嵌まり込んでいる。当時の自分の単純さに呆れながらも悔いはない。

何が言いたいかと言うと、当時は恐ろしく奇抜で独特なデザインと世界観の片鱗を第一話で表現していたのだ。
特にスマートブレインはロゴやCMだけで台詞には出さず、さり気なく印象付かせる演出が徹底されている。
『世界観』の中に根付く存在であることを強く感じさせた。
こうして『仮面ライダー555』はあらゆる面において斬新な切り口でスタートしたのだった。