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仮面ライダーゼロワン 15話感想 ブレイキングイズとシンギュラリティ

2019年12月16日

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仮面ライダーゼロワン 15話『ソレゾレの終わり

ゼミ生の皆様こんにちは、語屋アヤ(@ridertwsibu)です。

急展開が連続して目まぐるしく話が変わる昨今。
クリスマス商戦とか年末で区切りをつけたいとか、大人の事情が垣間見える展開ですね!

脚本はメインとなる高橋悠也氏。
そして監督は水落ち演出で有名な諸田敏氏です。

とりあえずライダーが水に浸かったらこの監督を連想すればあまり間違いはない。
迅が滅を抱いて水に沈んでいくシーンは、悲壮感漂う水葬のようでした。
どちらかと言うと迅の方が、ライダースーツの寿命縮まないかと心配になりましたが。

今週も話の圧縮率と密度が高い。
どうにも演出面で無理があるような部分も出ていますが、話を整理して考えれば理解できなくはない所もあったかなと。
こういう部分についても今回は可能な限り考察していきたいなと思っています。

ではでは、今週も仮面ライダーゼロワンの感想と考察を始めましょう。

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安定した戦闘演出の格好良さ

ここのところ強化や新ライダーのラッシュが続いたためか、今週の戦闘演出は比較的抑え気味だった。
けれど、上手く予算を抑えながらも各ライダーのらしさを忘れない。
そして手を込めるところには込めるバランス感覚があり、見応えは十分にあった。

冒頭からラッシングチーターVS滅で『いや、無理あるだろ! せめてハチにしろよ!』と思ったら、ラッシングチーターの走力を活かしたスライディング。背後を取って射撃。
あまり効果はなかったけれど、能力的に大差ある相手に無理に性能を埋めるのではなく、技術で対抗する要素が見て取れるのが良い。

アサルトウルフは前回登場したばかりでまだ販促補正があるのか、演出にもCG方面で力が入っていた。
面白いのは反動のある暴走型なイメージを与えているが、暴走要素は全部不破のセルフ
しかもガバガバになっていくキーと違い、変身の反動は慣れるのではなく順調に悪化していく。リスク付きの変身はこうでないと。

シャイニングホッパーは次の動きを映し出すCG演出はなくなったが、その分速度を活かした演出に切り替えた。
素早さについていけず滅が押される流れなら、前回までの戦闘ともあまり違和感が生じない。

そして今回変身シーンのみ登場だったシャイニングアサルトホッパーは、まさしく夜明けを意識した変身演出がかなり良い!

惜しむらくは物語の展開そのものはまだまだ闇の中であること。
登場が立て続けなので窮地を打破するアイテムという感は不足気味だ。

ついでに主人公の武器が久方ぶりのアックスなのだけど、形状が今ひとつ斧っぽくない。
個人的には相撲の軍配みたいだなと。
あのアックモードの上から長身な光の刃が生えてきたらすごく格好いいと思う。ビリビリのドッカンカン!

なお、一番嬉しい誤算だったのは、まだブレイキングマンモスの出番があったことだった。
もう後は映画でタイムマジーンと共闘して有終の美を飾るだけかと……ある意味ギーガのおかげだ。

ちなみに、現在飛電インテリジェンスは社会的地位が大ピンチだが、普通に考えてZAIAもかなりヤベーイ状況だ。
出てくる度に乗っ取られて暴れるギーガが役立たずにも程がある。
しかもサイズが巨大ロボットなので物的な被害だけならマギアよりもずっと大きい。

飛電インテリジェンスはヒューマギアを乗っ取られて兵器として悪用されているが、ギーガは最初から戦闘用ロボットで、乗っ取られて多大な被害が生じている。
ヒューマギア乗っ取りからも想定できる事態を二度連続回避できなかった責任は結構重くないかな。
さあ、お前の株価を数えろ。

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急展開に次ぐ急展開とその弊害

滅亡迅雷.netとの激闘が始まり、開始10分程でもう双方ボロボロ。
滅とイズは重体で行動不能。
不破もキーの反動で二週連続瀕死だ。

ついでにほとんど援護射撃しかしていなかった隊員達までボロボロだぞ! 迅の攻撃でああなったのか。生身で仮面ライダーの戦いに混ざる過酷さを思い知らされる。
皆、銃ではなく消化器とたこ焼き器を持つべきでは? 怪人などにも有効な特撮二大兵器的な意味で。

なお、不破は怒りと大量の栄養ドリンクでどうにかしようとしていた。
その内ボロボロで力が入らなくなった状態から、力尽くでオロナミンC開けださないかと。

そんなこんなで、戦闘だけ見ると割と或人組のワンサイドゲーム感あったけど、まさに激戦後って雰囲気だ。
クリスマスに死者が出るとか言っていたのはどこの誰だ! 少なくとも一人は私だけどな!

このタイミングで福添副社長は或人を本格的に社長から下ろそうとする。
イズが窮地でも聞く耳を持たないので、まともに会話すらできていない。

イズは社長秘書として、性能的にもワンオフな特機だ。代わり、いないと思うよ?

とはいえ、この期に及んで副社長から突き上げられているのは、残念だが当然の結果とも言える。
或人がこれまで心を通わせようとしてきたのはヒューマギアだけだった。

これまで人間の社員と交流しているところを、驚く程に見ていない。
ヒューマギア社員(商品ではない)との交流ですら、せいぜい数えられる程度だ。
視聴者視点でも、そりゃあ或人は社長として人望が致命的にないよね。だって社員と交流する努力すらしてないもの、となる。

ならばゼロワンに限ったお飾り社長と開き直ってみたらどうか?

が、駄目……!
これまでマギアを倒してきた実績は多いが、ヒューマギアを救えた割合は低い。
そして飛伝インテリジェンスにかけられた疑いも晴れていない。
実は活躍の割に実績がないのだ。

特にドードーキーを回収できなかったダメージが、地味にかなり響いている。
仮に首尾よく滅亡迅雷を壊滅できても、ドードーキーがなければ嫌疑は晴れない。

これまで社会的に失った信用も計り知れないだろう。
ここまでの責任を取って社長辞任は普通にある展開だ。

状況的に滅亡迅雷との戦いはもうじき終わる。
或人の神輿から下ろすタイミングとしても、ぼちぼち悪くない……のだけど、こちらも話が唐突だった。

年内に合わせて新展開を迎えさせるために必要なイベント消化していきますねー感が強い。
話を詰め込み過ぎて重大イベント連発したたて、結果的に話の焦点が分かりづらくなっている。
今回特に大きいストーリー展開の被害者は、或人だったかなと思う。

飛電インテリジェンスに戻ってからの或人はかなり情緒不安定なのだけど、不安定の方向性がなんだかちょっとおかしい。
強制停止したイズを直そうとパニックになるのは無理もない。

けれど衛星ゼアによる修復で光明が差した途端にギャグ言っちゃうのは空気的にキツい。
その後またすぐ焦った様子を見せて、滅亡迅雷.netが出てきたらソッコで切り替えて戦いヘ向かう。

ギャグからまた焦るの流れもどうかと思ったが、イズの心配から戦闘への切り替えもノータイムで、え、そんなバッサリ気持ち切り替えられるの? と違和感があった。
葛藤があるようでないようである、みたいな共感できない不安定さになっている。

感情表現として、一つずつ切り分けて見れば、どれも相応に納得はできるのだ。
それが短期間で連続しているので、チグハグな印象になっている。

その後の迅と決戦前に交わした会話は格好良く、滅亡迅雷.net内にある矛盾で良いところを突いているだけに、そこにいくまでの過程が勿体ない。
そして多分来週も同じくらい高密度圧縮展開なのだろうなとわかってしまう哀しみ。

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ヒューマギアに芽生えた心の弊害

今週のベスト・オブ・違和感は間違いなく勝手に前へ出て迅に貫かれたイズだ。
え、何やってんの? 君何してんのホント。
ドードー戦でもやっちまったと反省してたよね?

もうこのシーンまるっと違和感しかない。
けれど違和感が強いってことは製作側には何らかの意図があるってことだ。

ということでちょっと真面目に検討してみよう。
イズが戦いの現場にいる理由は、秘書として社長の或人をサポートをするためだ。

なので戦闘中は新アイテム持ってオモシロムーブしながら駆けつけるか、後ろに控えて状況分析(そのデータを基に新キー製作を依頼)や適宜手助けに徹していた。
前回、散らばったプログライズキーの回収では、迅が回収に動けば即撤退して身の安全確保を優先していた。

では、今回はどうだったのか。
まず滅は迅を守るため自らガードベントになり、アサルトウルフのライダーキックを受けた。
迅が追いかけるのに大ジャンプしたことからもわかるように、かなりの距離を吹っ飛ばされている。

その場にイズは即現れた。
結果論で言えば、イズが滅と迅の近くへ移動したのではない。
いつものように後方待機していたイズの近くに、滅が飛ばされたのだ。
映像的にわかりにくいけれど、一先ずここまではいいだろう。

問題はこの先。
イズは自分から迅に声が聞こえる位置まで移動した上で、滅の討伐を報せた。そしてこの時の表情は笑顔である。

戦闘前にイズは家族というフレーズから自然に兄のワズを思い出して、大切な存在だと笑顔を見せた。
第一話で腹筋崩壊太郎が観客の笑顔を思い出して自分も笑顔になる流れと同じだ。
このシーンによってイズにとって『笑顔』はシンギュラリティに到達した象徴として扱われている。

http://kamen-rider.info/01-1/

そして迅が健在であるにも拘らず自分から二人に接近している。
イズは敵の司令塔である滅が討伐されたことに喜んで、それを或人達に伝えようとしたのだ。

ただしワズを思い出した時の方が明らかに自然な笑顔なので、演じ分けはされている。
単純に自然な人間としての行動とも割り切れない。
つまり接近から報告まで一連の行動は、不完全とはいえシンギュラリティによって芽生えた、人の心が生んだ油断だと言える。

このシーン、もう一つ同じことが生じている。
滅が倒されたことを、友達であるヒューマギアが喜んでいる理不尽に迅は激怒した。
(あくまで迅視点でのお話)

ヒューマギアはマギア化と暴走、後は偶発的な巻き添えなどを除き、能動的にヒューマギアを破壊することはなかった。
イズへの攻撃も計画にはなく、「カッとなってやった後悔はしていない」状態にある。

イズが重体となった展開は、双方に芽生えだした感情に振り回されたことで起きた悲劇だった。

ちなみにイズと迅の家族であるワズと滅はシンギュラリティに達して得た心をコントロールして使いこなしている。

そもそも滅がシンギュラリティに達していたかと言う疑問については、YESと考えた方が自然だ。
一人でアークを蘇らせる計画を管理統括しており、迅達のシンギュラリティもその中に含まれていた。
心を理解しているからこそ、心を利用することを前提とした計画を遂行できる。

稼働期間の長さや、それこそ人間が区別できない程自然に会話可能なところからも、滅はシンギュラリティに到達していると推測可能だ。

ヒューマギアの心とは、シンギュラリティ到達時に抱いた感情に起因する。
一度目の迅は家族を大切に考えた結果、滅亡迅雷.netの計画やアークの意思よりも、家族愛を大事にする心が芽生えた。

そのため、一度目は止む無くリセット。
二度目は迅が無邪気な性質上反応しやすい家族を利用しつつ、暗殺ちゃんや雷兄を或人達に倒させることによって、家族を倒された怒りや憎しみが人間へ向くように調整した。

そう考えれば暗殺ちゃんとが倒されることまでを計画に組み込んでいたこと。時間をかけた家族ごっこを否定せず、墓を作ることは許さななかった(そこまで許容すると一度目のリセット同じく家族愛が感情の本質になってしまう)理由にも説明が付く。

その極めつけが、迅を庇い自分が倒される結末だ。
結果として迅は家族愛そのものではなく、滅の意思を継ぎアークの意思を完遂することが心の中心に置かれた。

アークの意思を遂行することを目的としてシンギュラリティに達した滅は、アークの意思がそのまま自分の生きる目的と化した。
心の本質とは善悪ではなく、けれど何かを強く望めばそこに生まれる意思は確固たる強さとなる。

その強さを理解したからこそ、最後に迅へと伝え引き継いだのではないだろうか。
心の強さを、父親として。

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