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バーソロミューのメカクレ好きはどこまで史実? 海賊黄金世代最後の大海賊【解説・考察】

バーソロミュー・ロバーツ(1682年 – 1722年)は、『ブラック・バート(Black Bart)』の異名で知られる、海賊黄金期最後の大海賊です。
ウェールズ出身の彼は、商船の船員から海賊へと転身し、わずか2年の間に400隻以上の船を略奪するという驚異的な成功を収めました。
その死は、海賊黄金時代の終焉を象徴する出来事とされています。

バーソロミューを元にした日本の漫画やゲームのキャラクター

バーソロミュー・ロバーツは、その伝説的な海賊人生と強烈なキャラクター性から、日本のポップカルチャーにも大きな影響を与えています。
彼をモデルにしたキャラクターや、彼の名前を冠したキャラクターが登場する作品は、様々な漫画やゲームでも見られます。

ワンピース

尾田栄一郎による人気漫画『ワンピース』には、『バーソロミュー・くま』というキャラクターが登場します。
このキャラクターの名前は明らかにバーソロミュー・ロバーツに由来しており、巨大な体格と圧倒的な力で知られる人物です。バーソロミュー・くまは、冷静な性格と強力な能力を持ち、物語の中で重要な役割を果たしています。

Fate/Grand Order (FGO)

『Fate/Grand Order』では、バーソロミュー・ロバーツがサーヴァントとして登場します。
彼はライダー・クラスのサーヴァントとして召喚され、その海賊としての能力やカリスマ性を活かして戦います。

キャラクター設定としては、実際のバーソロミュー・ロバーツの生涯を反映しつつ、ゲーム内での独自の解釈が加えられています。

アサシン クリード IV ブラック フラッグ

ゲーム『アサシン クリード IV ブラック フラッグ』でも、バーソロミュー・ロバーツが登場します。
このゲームは、海賊時代を舞台にしたアクションアドベンチャーで、ロバーツは重要な歴史的キャラクターとして描かれています

これらのキャラクターは、バーソロミュー・ロバーツの伝説にインスパイアされており、その冷酷さや戦略家としての一面、または彼の名に象徴される強さを表現しています。
これにより、ロバーツの伝説は日本の現代文化においても色褪せることなく、むしろ新たな形で生き続けています。

バーソロミュー・ロバーツは、実在の歴史的な人物でありながら、多くの作品においても重要なインスピレーションの源となっています。

彼をモデルにしたキャラクターたちは、現代のエンターテイメントにおいてもその存在感を放ち続けています。

メカクレ女子を好む性癖が史実か?

FGOのロバーツは、メカクレ女子という性癖をこよなく愛する性格になっています。

なおメカクレ女子とは、前髪や髪で片目や両目を隠していることを指します。
この属性は、ミステリアスさ、感情の隠蔽を象徴することが多く、アニメや漫画、ゲームのキャラクターとしてよく見られます。

しかし、これはあくまでフィクションの中で発展した美的概念であり、歴史的な背景に基づいたものではありません。

バーソロミュー・ロバーツに関する文献や記録には、彼がメカクレ女子を好んだという証拠や記述は一切ありません。
18世紀の海賊たちは、現代のポップカルチャーとは全く異なる価値観や文化の中で生きており、その中でメカクレ女子に相当する概念が存在したとは考えにくいです。

このため、メカクレ女子を好む性癖が史実に基づくものであるという説は根拠がなく、現代の創作文化における一つの美的嗜好として理解されるべきものです。

歴史上、バーソロミュー・ロバーツが持っていたとされる性癖や好みについても、具体的な記録はほとんど残されていません。

ただし、バーソロミューは海賊の中だと女性には比較的優しい人物だったと言われています。

バーソロミュー・ロバーツの外見とブラック・バートの由来

バーソロミュー・ロバーツは、当時の海賊としては異例の美しい外見と高貴な風貌を持っていました。
彼は背が高く、堂々とした姿勢で知られ、仲間たちからも一目置かれる存在でした。

ロバーツは豪華な衣装を好み、特に赤い羽飾りのついた帽子がトレードマークです。
これらの衣装は彼のカリスマ性と冷酷さを際立たせ、敵対する船の乗組員たちに恐怖と尊敬の念を抱かせました。

また『ブラック・バート(黒い準男爵)』という異名を持ち、これは彼の日焼けした暗い肌と高貴に見える衣装に由来しています。
他にも、飾り帯を付けたシルクの宮廷用半ズボンや、ダイヤモンドを散りばめた十字架を身に付けていたと言われています。

FGOのバーソロミューも、その設定を元にオシャレな衣装のイケメンキャラです。

また、ロバーツは戦場において冷静で、的確な指示を下す一方で、無慈悲な攻撃も繰り広げました。
彼の存在感とその厳格なリーダーシップは、同時代の海賊たちとは一線を画すものであり、『ブラック・バート』という名が彼の恐怖と尊敬を象徴するようになっていきます。

この時期、彼は単なる略奪者ではなく一種の海上貴族としての風格を持っており、そのスタイルと指揮力は彼の船員たちからも崇拝されました。
彼の存在感は、敵味方を問わず強烈な印象を与え、彼の伝説が生まれる一因となったのです。

海賊バーソロミューの誕生とスピード出世への道

バーソロミュー・ロバーツが海賊として名を馳せる前、彼は商船の船員として働いていました。
生まれ故郷のウェールズを離れ、奴隷貿易船などでの過酷な生活に従事していましたが、1719年の運命的な出来事が彼の人生を一変させます。

ロバーツは奴隷貿易船『プリンセス』号に乗っている中で、デイヴィス海賊団に捕えられました。
海賊たちは乗組員を殺害するか、海賊仲間として引き入れることが一般的であり、ロバーツもまた選択を迫られます。

彼は商船員としての厳しい生活から脱却するため海賊になることを選びました。
当時は海賊の方が収入が良く、楽しみや自由があったのは事実でした。

ロバーツは、海賊団に加わるとすぐにその才能を発揮し始めます。
彼は他の海賊たちとは一線を画し、冷静な判断力と鋭い戦術眼で船員たちから信頼を得ていきました。

そして、デイヴィス海賊団の船長がプリンシペ島での略奪に失敗して戦死。新たなリーダーを決める投票で選ばれ、たった六週間で船長にまで登り詰めたのです。

彼が初めての指揮を執ったのは、デイヴィスの仇討ちです。プリンシペ島の要塞を攻めて陥落させました。
これは前船長の人望を利用して、船員達の信頼を確固たるものにする目的もあったと思われます。
この成功により、ロバーツは海賊としての道を本格的に歩み始めました。

彼の指揮下で海賊団はますます勢力を拡大していきます。その後数年間で数多くの交易船を襲撃し、多大な戦利品を得ました。

この時期のロバーツはまだ、自分が歴史に名を残すような伝説的な海賊になるとは思っていなかったでしょう。
しかし、彼の迅速な決断と大胆な行動は、まさに彼を海賊としての頂点へと導いていくことになるのです。

規律と信念:バーソロミュー・ロバーツの海賊の掟

海賊は粗暴者の印象が強いですが、海で生きるために一定の規則を持っていることが多いです。
中でもバーソロミュー・ロバーツが率いた海賊団は、極めて厳格な規律が特徴でした。この規律は、ロバーツが作成した『海賊の掟』として知られる一連のルールに基づいていました。

彼の掟は、秩序を維持し船員たちの忠誠心を高めるためのものです。
特に飲酒やギャンブル、そして女性に関する規定が非常に厳しかったことが注目されます。

飲酒とギャンブルに関する規定

ロバーツは、船上での飲酒やギャンブルに関して厳しい制限を設けていました。海賊行為の成功には冷静な判断力が必要であり、これらを損なうような行為は容赦なく禁じられています。

特に過度な飲酒は船員たちの士気を低下させ、内部分裂を引き起こす可能性があるため、厳しく取り締まり対象となっています。
ギャンブルに関しても、無駄な争いを避けるために規制がかけられており、これがロバーツの海賊団の結束力を高める一因となりました。

女性に関する規定

ロバーツの海賊団で最も厳格だった規定の一つが、女性に関するものでした。
彼は、女性を乱暴目的で船に連れ込むことを厳しく禁じており、これを破る者には重い罰が課されます。
このルールの背景には、女性が船上にいることが争いや嫉妬を引き起こし、船の秩序を乱す原因になるという考えがありました。

そのため、女性をたぶらかし男装させて連れ込む行為も禁止しています。

財産分配と裏切りへの対応

ロバーツの掟には、略奪した戦利品の公平な分配に関する厳格な規定も含まれていました。
各船員は、その役割や貢献に応じて分け前を受け取り、不満が生じないよう配慮されていました。
また、裏切りや逃亡を企てた者には即座に死刑が言い渡され、裏切り者を容赦しない姿勢が徹底されていました。

このように、バーソロミュー・ロバーツの海賊団は、掟によって厳しく統制されていました。
ロバーツの船員たちは、この掟に従うことで、船上での争いを避け団結を維持していたのです。

彼は、海賊行為においても秩序と道徳を重視し、それが彼の海賊団を他の無秩序な集団とは一線を画すものにしました。
ロバーツの信念に基づくこの掟こそが、彼の成功の秘密であり、歴史に名を残す大きな要因となったと言えるでしょう。

海賊黄金時代の終焉とバーソロミュー・ロバーツの活躍

1720年頃、海賊黄金時代はすでに終末に向かっていました。
各国は海賊対策や航路の警備に本腰を入れ、海賊たちに対する取り締まりを強化していました。

その結果、『黒髭』エドワード・ティーチのような名高い海賊も命を落としています。
ベンジャミン・ホーニゴールドのように恩赦を受けて廃業する者も多く、海賊たちは次々と姿を消していきました。

そのような厳しい時期にもかかわらず、バーソロミュー・ロバーツは約400隻の船舶を攻撃し、5千万ポンドに相当する物資を略奪しました。

彼は短期間で最も成功した海賊の一人となり、『海賊黄金時代の最後の大海賊』としてその名を歴史に刻みました。

ロバーツは旗艦『ロイヤル・フォーチュン号』を筆頭に、大小合わせて20隻もの海賊艦隊を率いていたとされ、その規模と影響力は他の海賊たちを凌駕していました。

最後の戦いと死:バーソロミュー・ロバーツの遺言と最期

1722年、バーソロミュー・ロバーツはカリブ海での活動中にイギリス海軍の艦隊に追い詰められ、運命の最期を迎えました。

この時、ロバーツの船『ロイヤル・フォーチュン』号は、数多くの戦いを経て鍛えられた精鋭たちで構成されていましたが、その日、彼らはいつもの状態ではありませんでした。

普段ならば厳しく規律を守るロバーツの海賊団は、その多くが酒に酔っており、逃げ遅れてしまいます。

イギリス海軍はこの機を逃さず、戦略的にロバーツの船団を包囲し攻撃を仕掛けました。ロバーツは、いつものように堂々と甲板に立ち、冷静に指揮を執ろうとしましたが、戦況はすでに不利な状況に傾いていました。

運命の瞬間が訪れたのは、この戦闘のさなかでした。ロバーツが指揮を執っていた時、イギリス海軍の砲撃が彼の船に直撃し、砲弾の破片がロバーツの喉を貫通しました。
この致命的な傷によって、彼は即死しました。ロバーツの突然の死は、船員たちに大きな衝撃を与えました。

ロバーツは生前、自らの死後、遺体が敵の手に渡ることを絶対に許さないよう命じていました。
船員たちはこの命令に従い、彼の遺体に重石を付けて海に投げ入れました。これは、彼の名誉を守り、敵に彼の死を利用されないようにするためのものでした。

ロバーツがいなくなったことで、彼の海賊団は完全に士気を失い、船員たちは戦闘の継続を放棄せざるを得ませんでした。
イギリス海軍は残された海賊たちを速やかに制圧し、ロバーツの海賊団は壊滅しました。

こうして、バーソロミュー・ロバーツの死は、海賊黄金時代の終焉を象徴するものとなりました。

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