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【仮面ライダージオウ】48話 感想 仮面ライダーツクヨミ降臨、満を持して

2019年8月19日

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仮面ライダージオウ 48話『2068:オーマ・タイム

ゼミ生の皆様こんにちは、語屋アヤ(@ridertwsibu)です。


ジオウの物語も残すところ後二ページ。
物語が敷き詰まっていて、物凄くテンポよく進んでいきますね。

主にソウゴ、ゲイツ&士、ウォズ&ツクヨミの三組に分かれて、それぞれが混ざったり離れたりを繰り返しながら、最後には一つに集約していく流れは個人的にすごく好みです。
普段の絡みが少ない組み合わせなのも意外性があって面白い。

その流れが合流する爆発地点に待っていたのが仮面ライダーツクヨミ
ジェットコースター気味の展開ではありますが、一話でちゃんと起承転結は作られていますね。

最後の大作戦的な雰囲気も、ラストへ繋げる話としてはかなり良い助走だったのではないでしょうか。
では、今回の感想と考察を始めましょう。

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仮面ライダーツクヨミはいかにして世界を救うのか

ジオウ補完計画で出てきたネタが、まさかラストで現実化するとは……。
仮面ライダーツクヨミは令和生まれだけど、実質平成ライダー最後にして女性の仮面ライダーが誕生した。令和生まれだけど!

音声がジオウやゲイツに比べて可愛くてちょっと魔女っ子やスーパーヒロイン系統、背後の時計に月があしらわれていることも相まって、セーラームーン的な方向性を連想させる。
フェイスは左右非対称でツクヨミイメージでちゃんと月を象っていた。
それと白くて流線型、そしてマント付きデザインはツクヨミの白い衣装はもちろん、仮面ライダーファムを思い出した。

これで平成ライダー最初で最後の、事件に直接関わる味方サイドの人物が全員仮面ライダーになった作品となった。
なお、『仮面ライダーディケイド』は最初で最後の味方メンバーが全員仮面ライダーか怪人になった作品である。イカでビール!

何が楽しいかって、普段があまりに逞しいため仮面ライダーになったことに対して、全くもって違和感がない。
なんせウォズに護衛される側のはずが、普通にファイズフォン連射して逃げる人々を助けている。そしてその姿にツクヨミらしさしか感じない。
ポッピーピポパポの時はそのまんまなデザイン性も相まって違和感も大きかったが、今回はむしろ戦士が相応しい姿になったくらいの感覚だ。

今回の作戦はツクヨミを仮面ライダーにして、ツクヨミ時空を救うことが目的だった。
問題はどうやって仮面ライダーツクヨミが自分の世界を救うのかだ。

次回の最終回で解説して話を畳める程度に簡潔な理由付けで考えると、仮面ライダーツクヨミを擁立することで世界を安定化させるあたりだろうか。
前回は仮面ライダーアクアがツクヨミ世界のライダーだと思っていたのだけど、よく考えたら仮面ライダーアクアとツクヨミは世界が同じでも時間軸が完全に違った。

仮面ライダーアクアがメインで活躍した時代はおおよそ2051年だろう。
歴史的に2068年より前なので、タイムマジーンも初期型になっている。
対してツクヨミは2068年の時点で、まだ幼い子供だった。
アクアとは年代に大きくズレがある。つまりアクアはツクヨミと同じ時間軸ではあっても仮面ライダーの世界線としては別なのだ。

ジオウの時空で他のライダーの年代に移動しているのと同じようなもの。
もしくはゲイツリバイブの時空に、シノビ、クイズ、キカイの三ライダーがいたのも近い理屈だ。

今回のツクヨミウォッチでは2068年と記載されている。
つまり仮面ライダーツクヨミが誕生したことで、ツクヨミの時間軸は『仮面ライダーツクヨミの世界』になったのかもしれない。
他の世界と融合して消えかかっていたツクヨミの世界に、特異点となる仮面ライダーを生み出したことで一つの世界として新たに確立させた。

これで本格的に湊ミハルが歴史改変のとばっちり受けて消えたことになるのだけど……。
まあほら、前回の感想に書いた通りディケイドに倒されたのは変わらないので、破壊と創造補正でちゃんと復活できる……といいなあ。

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チェイスのコアが砕けずに消えた意味

世界の破壊者らしくアナザーディケイドがレジェンド二人目を倒してしまった。
やはり時空や歴史を改変されても、既に生まれた絆が何処かに残るのはほぼ間違いないだろう。

それだけでなく、チェイスは人間への感情そのものも心の奥にちゃんと残っていた
人間とは素晴らしいものだと、守るべきものであると、チェイスの本質として刻まれていたのだ。

チェイスにとって人間への想いとは『仮面ライダードライブ』の中でも問い続け、そして学んできたこと。
時に人間達が一時の感情に呑まれて暴走してしまった時も、『正しい在り方』を問うてきた。

「何をしている! 人間を守るのが仮面ライダーの使命ではないのか!」

泊進之介や詩島剛が翻弄されながらも大切にしてきた家族への愛情。
チェイスが抱いた詩島霧子への想いと失恋。
そして流した涙を誇ったこと、人間への愛情と想いの全てがチェイスを作り上げてきた。

人間じゃないからこそ、チェイスが一番人間らしく『人間とはこんなものだ』ではなく『人間とはどんなものだ』とぶつけられる。
そのため、家族に対してすら非情になり命を奪おうとするスウォルツに向けたチェイスの言葉には、チェイスらしさの全てが詰まっているように感じられた。

「人間の心とは、もっと美しいはずだ!」

それでもチェイスは力及ばず再び敗れてしまい、あの時と同じ姿で抱えられ消えていった。
けれどそこに救いはあった。
チェイスは人間の美しい心に触れて人間とは良いものだと思えたのだ。

一度目の終わりは、自分が友を得ていたのだと理解できないままの最期だった。
そして今回は自分には友がいるのだと、新たな友に伝えてもらって命を終えられた。

ロイミュードは破壊されるとコアが砕け散るが、チェイスのコアは砕けず光になって消滅した
そして、過去にもコアが破壊されながら、砕けずに消えていった事例がある。

それはブレンが自分の命を捨てて、敵対していたメディックの洗脳を解除して塵になった時。

メディックがハートではなく、自分の命を使い果たして泊進之介の命を救った時。

ハートが倒すべき相手である人間から、初めて友達を得て消えた時。

そして三人が力を合わせ仮面ライダーとなり、新たな友を得て満足して消えていった時。

人間の心を理解したロイミュード達と同じように、チェイスの命は儚く散っていった。

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オーマジオウの本質

ソウゴは作戦のため2068年に乗り込み、オーマジオウに戦いを挑む。
グランドジオウの力を得た時は、オーマジオウが自ら招いた。

それ以外でソウゴとオーマジオウが対峙するのはこれで二度目。
今回の邂逅はオーマジオウである未来のソウゴにとって記憶にない出来事だった。
仲間と共に繋いできた歴史は、着実にその姿を変えている。

だが一度目と同じように、ソウゴ一人ではまるで敵わない。
ならばとジオウトリニティで、ゲイツとウォズを呼び寄せての友情パワーで対抗だ!

ここで興味深いのはウォズだろう。
オーマジオウは本当に過去のソウゴがいずれオーマジオウになると信じていた。
そして、そのためにウォズは送り込まれたことになる。
(夏映画がパラレルなのでTV本編はクォーツァーがいない前提)

ジオウトリニティは三人の心が一つになって戦う絆の証。そこに綻びがあれば存在し得ない可能性だってあるだろう。
けれどウォズはまるで迷いを見せることなく、トリニティとしてオーマジオウへと挑んでいた。

本来ウォズはオーマジオウの家臣。
その目的はあくまでソウゴをオーマジオウの未来へと導くことだ。
だというのに、前回ウォズはソウゴではなく純粋に町の人々を守るためだけに戦った

ウォズはあの時、オーマジオウの家臣ではなくなったのだ。
かつて、ソウゴはウォズを『自分の夢を応援してくれる人だと』という趣旨で語っている。
その時点ではまだウォズが応援するのはオーマジオウへ至ること。つまり最低最悪の王になることだった。

だが今は違う。オーマジオウの未来ではなく、最善最高の王になることを応援している。
正確に言えば、もっと前の段階から、それこそジオウトリニティになった辺りから切り替わっていたとは言える。
しかしその段階ではオーマジオウへの忠誠も両立していた。

世界の崩壊を止める行為は、明確にオーマジオウへと至る未来を妨害することである。
ウォズはそれを自分の意志だけで行った。
そしてソウゴとゲイツと共に、仲間の一人としてオーマジオウへと敵対したのだ。

そして今更言うまでもなく、ゲイツも最初はソウゴを倒すべき敵であると考えていた。
敵対していたはずの意思が、仲間としてソウゴを支えて新たな歴史を創る可能性の力となっている。
かつての自分にここまでの力は無かったと、オーマジオウが認める程にだ。

そこまで達してもなお、オーマジオウはかつての自分が再びオーマジオウになることを疑ってはいない。かなり強固な確信があるように見える。
それはなんとしてでもソウゴを最低最悪の魔王に導くためなのかと言うと、決してそういうわけでもない。
故にこそ、無理だと思いながらもオーマジオウはかつての自分に協力して、ツクヨミウォッチに力を与えた。

オーマジオウも心の底ではかつての自分が未来を変えることを望んでいるのだろう。
それでも未来は変えられないと思うのは、魔王になって50年間そう在り続けてきたことが原因ではないだろうか。

一人で孤独に魔王として君臨し続けた時間。
それは決して軽いものではないだろう。
オーマジオウは自分の選択を最高最善であるとソウゴに語った。

それが本気なのだとしたら、オーマジオウはそう思わなければならなかったのだ。
そしてその意思を貫かなければならなかったのだろう。
でなければ50年もの間、孤独の魔王として君臨し続けることはできない。

そう在り続けなければならなかった時間、そこでオーマジオウの気持ちは固まってしまったのではないだろうか。
言葉にするなら諦め、そして自分の選んだ道への諦観。それがオーマジオウのなってしまったソウゴが抱く気持ちにして本質。

どうせかつての自分がどんなことをしても、オーマジオウになる未来は変えられないのだと。
ここに至ってしまった未来のソウゴだからこそ思うのだ。終わってしまった未来だから自分を見限る。

そしてまだ終わってない過去のソウゴだから未来の自分を否定する。
熱い心を捨ててないかつての私は、今の自分が知らない力を得てなお足掻く。

自分の知らない自分の姿にすら強い期待は抱けない。
それでも、それでももしかしたら……。
そんな気持ちがあったから、オーマジオウはあえて一人になってから「無意味だが、助けてやるとするか」なんて可愛げのある言葉を吐いたのだろう。

それがどんな結末をもたらすのか。
かつての私も、今の魔王も知らない最後の一ページが間もなく始まる。

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