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【仮面ライダージオウ】45話 感想 エターナルの熱く悲壮な復活

2019年7月29日

仮面ライダージオウ 45話『2019: エターナル・パーティ

ゼミ生の皆様こんにちは、語屋アヤ(@ridertwsibu)です。

昨日は劇場版の記事を書いて、今日は本編の更新となります。
(書いている内に日付変わってしまいましたが……)

上映日関係で、映画公開時は特に忙しくなるのは宿命みたいなものですね。というわけで宣伝にリンクも貼っておきます。
もう観た人はもちろん、最初はネタバレなしで書いていますので、未視聴の方も安心。

https://kamen-rider.info/rzi-o-over-quartzer/

なお、映画未視聴の人はまだ多いと思いますので、今週の感想は映画のネタバレはしない方向で書いていきます。

エターナルパーティーのタイトルが、エターナルと名台詞だけではなく、永遠に繰り返すアナザーワールドにもかかっているのが面白いですね。
エターナルVSアクアも、思った以上にガッツリ活躍してくれたので嬉しい。
大道克己と渚ミナトに直接的な関係はありません。
けれど、この二人をぶつけることには意味が痛烈なあると思います。

スウォルツの目的も見えてきましたね。
というか、能力がわかっても攻略法が見えてないので、次回で倒せる気がしないんですけど大丈夫?
更に残り話数でまだオーマジオウ云々あるよ? マジで尺大丈夫?

そして今回で退場にはなりましたが、アナザードライブのネタが全体的に秀逸だったなと思います。
正体がロイミュードなのは多くの人が予想したでしょうけど、まさか中身がパラドックスとは。
思った以上に練られていたアナザードライブの設定についてもガッツリ語りたいなと思います。

では、今週の感想と考察を始めていきましょう。

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アナザードライブの設定がすごく作り込まれている

次回予告でアナザードライブが登場した時に、そのデザインからアナザードライブは超デッドヒートドライブを元にしているという予想とその理由を語った。
この内容は結構な精度だったと思うのだけど、それ以上の作り込みがあったと今回で思い知らされた。

https://kamen-rider.info/zio-44-p/

オーラの正体はドライブの怪人的な立場であるロイミュードだった。
それもただのロイミュードではなく、パラドックスロイミュードである。

パラドックスはデッドヒートドライブが登場した劇場版において、ラスボス的な立ち位置だったロイミュードだ。
要するに、パラドックスも重要な劇場版要素なのである。

パラドックスは人間に擬態できるロイミュードの中でも、特に人を騙し陥れることに長けていた。
なんせ主人公である泊進之介の息子に成りすまし、未来からやってきて本物だと信じ込ませることに成功しているのだ。
ウールを疑心暗鬼に陥らせて、本物のオーラを始末するのにこれ以上ない適役だろう。

どんよりの力も、タイムジャッカーの厄介な時間停止対策して機能しているのも設定的に上手かった。
時間停止は強力でも、発動を遅らせてしまえば問題ない。

ただギンガの攻略法はよくわからなかったけど。
重加速という名前なので重力扱いで無重力なら通じないという、理論というか概念でマウント取った感じだ。
ゴッドマキシマムがクロニクルのポーズを破った時のことを思い出したよ。

かつて泊進之介を騙して大事な相棒であるベルトさんを破壊させた男が、アナザーライダーになった。
それも姿は劇場版限定のライダーであるデッドヒートドライブをイメージしている。これはもうとてつもない皮肉だ。

パラドックスは同時にダークライダー枠の存在でもあり、仮面ライダーダークドライブとしても戦っていた。
恐らくこのパラドックスはスウォルツがアナザーワールドから呼び出した者の一人だろう。
アナザーディケイドの能力はダークライダー召喚に利用されているものの、ダークライダー召喚にしか使えないわけではない。

つまり他のアナザーライダーと違って、自分が変身するドライブのことをよく理解している。
見事にアナザードライブの力を使いこなして、他のアナザーライダー以上に善戦していた理由も十分に納得できた。

そしてパラドックスは未来と現在の自分同士が融合しており、特殊性の高いロイミュードでもあった。
その設定もちゃんと再現されている。倒された時に通常だと一つしかないロイミュードのコアが二つ出現して破壊されたのはこのためだ。
しかもよく見ると破壊される寸前に一瞬パラドックスロイミュードへと変貌している。芸が細かい!

惜しむらくはダークドライブが登場しなかったことだろう。
これには理由があり、ダークドライブのスーツは仮面ライダーシノビで登場した、仮面ライダーハッタリへと改造されてしまったのだ。

仮面ライダーのスーツを改造して使い回すのは、予算削減の一環としてよくあること。これは仕方ない。
残念ながら元に戻す予算が無かったか、あったとしても間に合わなかったのだろう。

仮面ライダードライブ編は実現しないまま終了が確定してはいるが、アナザードライブはかなり丁寧にドライブの設定を詰め込んでいる。
劇場版でクリムや詩島剛が出ていることからも、ちゃんと拾うべきものは拾ってくれたなと思う。

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門矢士とアナザーディケイドの能力について

スウォルツが人を誘拐して都合のいい世界を見せていたのはダークライダーを召喚するためだった。

アナザーワールドを作ることで『IFの世界』を見せて閉じ込める。
それによって得たエネルギーで、ダークライダーが負けなかった世界を構築するという流れらしい。
この辺の説明が曖昧でちょっとよくわからなかったので一つずつ整理していこう。

まずはアナザーワールドから。
アナザーワールドを生み出しているのはアナザーディケイドの力だろう。

けれど門矢士は新たに世界を生み出す力は知らない。
そもそもパラレルワールドを渡るのと世界を生み出すのとでは、似ているようでいてまるで別物である。

『IF』に沿って歴史を書き換えるのは時間を操作するスウォルツの力。書き換えた歴史を世界として固定化させるのはディケイドの力。
つまり二つの合わせ技だと考えれば辻褄は合うかなかなと考えてみた。

大道克己は自分の死を認識していた。
ということは他の犠牲者達のように敗北してからアナザーワールドに取り込まれたのだろう。
必然的に倒される寸前を狙ってアナザーワールドに取り込みIFの歴史を展開させた可能性が高くなる。
しかもジオウの世界だと改変されてもう存在していないはずなので、ここもディケイドの力でパラレルワールドを渡ったのだろうか。

なんにせよ一般市民に比べてダークライダーの歴史書き換えは無理筋が多い。
そこをクリアするためエネルギーが必要なのかも。
よくわからないって方は、一般市民を生け贄に捧げてダークライダーを召喚するのだと思っておけば基本間違いはないと思う!

そして士は前回の大した問題じゃないという言葉の回答を示すように、普通にオーロラを展開してアナザーワールドへと飛び込んだ。
またも設定の破壊者……! というわけではなくて、今回はむしろディケイドにおける設定通りの流れである。
ここであえて士の説教で使う専用BGMを流したのも、門矢士という個の存在と力であると示すためではないだろうか。

スウォルツが士から直接ライダーの力を奪ったのは、どうやらこのオーロラ制御の力が欲しかったからではと考えてみた。
鎧武ウォッチでは神となった葛葉紘汰の力までは扱えないのと同じ理屈だ。
それを仮面ライダーという概念に変身者自身を含めてしまうことで『門矢士』という存在ごと『仮面ライダーディケイド』という存在の中にパッケージできた。

それ以外にも門矢士の変身能力を奪うことで、アナザーに対する最大の敵である本家のディケイドを封じたかったという理由もあるだろう。
ディケイドウォッチを渡しても平然としているので通常のアナザールールだって無視しかねない。

首尾よく計画を遂行したはずのスウォルツにも誤算があった。
ライダーの力ごとウォッチとして奪ったはずのオーロラ能力がまだ使えたことだ。

門矢士役である井上正大氏のツイートだ。
この言葉と士の設定であるように、オーロラの展開と時空移動は士にとって目で何かを見たり足で歩いたりするのと変わらない
傍から見ると異常な力であっても士にとっては自分の一部なのだ。
故にアナザーディケイドに力を奪われても、オーロラの制御は残ったままになっている。

経緯を説明すると、士には妹の小夜がいる。
小夜はオーロラの向こうにある世界を認識する能力があり、士はそのオーロラを使って世界の壁を越える力を有していた。
現在は士だけでもある程度行き先を制御できるようになっていはいるものの、完全に把握できていない理由はこのためかと思われる。
なお、この設定はオールライダーVS大ショッカーで語られていた。

大ショッカーはその力に目を付けてディケイドライバーを開発。門矢士を大ショッカーの首領へと祭り上げた。
この流れは、恐らく少なくない視聴者が認識違い、もしくは忘れている事実ではないだろうか。

大ショッカーにまつわる設定より、ディケイド完結編における『物語のない存在がディケイド』というセンセーショナルな方を強く意識してしまう。
言っている本人も一部忘れかけていて、今回の話で改めて確認し直した。十年の歳月は流石に細かい設定の記憶を曖昧にしてしまうものだと痛感した次第だ。

つまり士は仮面ライダーになったことで時空を越えられるようになったわけではない。
時空を越えられたから仮面ライダーになったのだ。

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大道克己が未来を否定した悲壮な意味

アナザーディケイドの設定云々はともかく、この力で大道克己の復活だ!
終盤なのにレジェンドラッシュを止めない東映の覚悟が見て取れる。どう畳むのか心配だけどやはり嬉しい。

前回の予想記事で書いたが、松岡充氏はコメントで風都の祈に負けて、視聴者の祈りめ復活したと語っていた。
つまり、視聴者の祈りによって風都市民の祈りが届かないアナザーワールドへと辿り着いたのだ。

https://kamen-rider.info/zio-45-p/

アクアとも思った以上にガッツリ戦った。
水を克服したアクア相手に、水中でも圧倒している。
水中で竜巻を起こしたのはサイクロンメモリを使用したからかもしれないが、そうでなくてもエターナルメモリ単体だけでファングジョーカーを倒せる戦闘力を十分に発揮している。
(ディケイドがアタックライドと設定を省略されているように、レジェンドは尺の問題から省略が発生するので、演出がなくても使ってないとは断言できない)

Foreverで背負った悲しみが大分癒された。
しかも来週もまだ暴れてくれる。
視聴者も一緒に地獄を楽しむ地獄祭だ!(ディケイド劇場版感)

台詞面もお約束の台詞だけでなく、克己らしさのある格好いい台詞が新たに聞けたのが嬉しい。
水を差すで上手いこと言ったけれど、もう一つ「結局、未来も過去になるんだ!」もかなり印象的だった。
『仮面ライダー4号』の主題歌「time」の歌詞「昨日の未来は今過去に」ともかかっている。

ただエターナルとアクアがぶつけるだけではない。
二人の言葉はその背景と照らし合わせると、相手と同時に自分への否定にもなっていり。

ミハルは過去に渡ったことで仮面ライダーオーズと出会い未来を掴んだ。
明日のパンツで勇気をもらっているように、ミハルにとって過去とは明日を生きるための原動力である。
その湊ミハルに克己を指して過去の亡霊と言わせたことは中々に業が深い。

そしてもう一つ、人間性を失う前に克己は言った。
「『過去』が消えていくなら、俺はせめて『明日』が欲しい」

本来、大道克己は過去が消失していく中で未来を掴もうとした男なのだ。
克己は死者蘇生兵士『NEVER』である。けれど、蘇生の代償として生前の記憶と人間性が消失していく。

永遠を生きる死者の肉体。
過去が消失していくのなら、もう未来に縋るしかなかった。
けれど、その未来に縋るということ自体を『今』の大道克己は否定する。

未来を否定してしまったことは、『仮面ライダー』だった頃の己に対する痛烈な皮肉であり、失ってしまった哀しみそのもの。
過去の亡霊になってしまった克己には、もう明日は望めない。

『desitinaition, time』
行き先、そして時間。

明日を求めて目指した場所はもうない。風都すらも目指せない。
克己は本当に、ただただ目に写る『今』を地獄と過去に変える死神と成った。

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ソウゴとウールが意味する変化への否定

湊ミハルの登場と、敵対していた相手を仲間として受け入れようとする流れから、ソウゴとゲイツは仲違いを起こした。
ソウゴはゲイツがここまで猛烈に反発するとは思っていなかっただろう。
そしてゲイツにとっても色々な事象が重なってしまったことで起きた爆発だ。
せめて仲裁役としてツクヨミがいれば、ここまでの事態にはならなかっただろうと思われる。

ソウゴはタイムジャッカーの所業を許したわけではない。
けれど、同時にウールやオーラだって変われると信じたい。

かつてのゲイツはオーマジオウとなるソウゴを倒しにやってきて敵対していた。
けれどぶつかり合いの果てに二人は共に戦う友となったのだ。
人は変われる。人は人と関わり変わっていくから、未来もまたより良いものへと変わっていく。

その事実をきっとソウゴはゲイツから一番強く学んだ
けれどそのゲイツが一番強く反発したことで、ソウゴはかなり強いショックを受けたのではないだろうか。

ゲイツだってウールが変わり始めていることには薄々気付いているだろう。
だからアナザードライブからウールを助けている。
仮にオーラの誤解が解けたからと言って、ゲイツの理論ならばウールが敵であることに変わりはない。
そもそもにして、熱血漢のゲイツが弱っている姿を見せているウールを心から拒絶するなんて無理な話だ。

それでもゲイツが拒絶したのは『変化』そのものだろう。
ソウゴと共にいたい。
けれど本当は一緒にいることが間違いだった。

過去を変えることは罪で、現実の世界から逃げること。
その失意と焦りがゲイツの心を曇らせている。

ソウゴとゲイツ、二人の会話は噛み合わない。
変えることが正しいとソウゴは今も信じているのに、ゲイツは変えるべきではなかったという気持ちでぶつかっている。
故にゲイツは変えてはいけない自分の現在を作ったソウゴに、どうしようもない苛立ちをぶつけてしまった。

ゲイツのやるせない気持がソウゴには理解できない。
俺の気持ちがわからないだろと言われれば、わからないと返すしかなかった。

そして、二人の気持ちが反映されるかのように未来は進んでいく。
ソウゴにとって変わっていく未来そのものだったウールが、オーラの手によって殺された。

奇しくもゲイツの言った『敵はどこまで行っても敵』だという言葉の正しさが証明されてしまう。
そしてそんな現実を、人の命を弄ぶアナザーライダーが嘲笑う。
変えられない現実とウールの亡骸を前にして、今までにない程に激昂してソウゴはアナザードライブに襲いかかった。

そしてゲイツはそんな姿を晒して荒れ狂うソウゴを見ても、その場を去っていく。
今のゲイツはたとえ助けたいと思っていても、助ける行為が間違いなのだ。
未だ二人の時は噛み合わず、バラバラになったまま未来を過去に変えていく。

別ればかりを繰り返す
時は引きちぎれたまま

僕らの生まれた訳が
ただ傷つけて
ただ苦しんで
ただ失うなら……

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