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仮面ライダーウィザード 第一話 感想 華麗で手堅い魅せ方が匠の技!

2019年4月20日

仮面ライダーウィザード 1話『指輪の魔法使い』

ゼミ生の皆様こんにちは、語屋アヤ(@ridertwsibu)です。

仮面ライダーに関わらず第一話とはその作品において顔です。
どのような作品で面白味はとこにあるのかを示さなければなりません。

私はクウガからジオウまでの平成仮面ライダー全作において、仮面ライダーウィザードほど華麗にかつ手堅くまとめられた第一話は他にないと思います。

これは多少の破綻など気にもせず、ひたすら破天荒に走り続けた前作のフォーゼとの対比にもなっていますね。
ウィザードは正統派平成仮面ライダーでいくぞ、という意思表示でもありました。

今回は第一話の構成から、仮面ライダーウィザードがどのような物語かを紐解きましょう。

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操真晴人の人物像と周囲の関係性

最初は主人公の晴人が道路の上でドーナツを食べるところからスタート。
いきなり非現実的な要素が含まれた日常を見せることで操真晴人が既に魔法使いという特殊な存在であると説明している。

魔法を使えば普通なら行けないような場所にも移動できて、物も自由に取り出すことが可能。
(高い位置からバイク落とすのはどうかと思うけどね!)
普通の人間にできないこともできるのが魔法使いであり、それを当たり前のようにこなす晴人はどこか飄々とした雰囲気を感じさせる。
晴人という人間性も普通とは少し外れたところを見せて、それが魔法使いとしての日常であることを示す。

晴人は終始どこか飄々とした掴みどころがない性格として描かれていた。
警察官の大門凛子ともまるで噛み合わず、そのテキトーさが災いして留置場行きとなる。

それでもさして動じず呑気にドーナツを食べようとする余裕さが、晴人を超然的な存在としてヒーローっぽく見せている。
しかし一見すると変わり者な雰囲気ではあるが、服装や態度自体もあまり王道的なヒーローさは感じられない。
むしろどこか軽い感じな普通のお兄さんみたいだ。
演じている白石隼也氏からして、すごくシュッとした今時のイケメンである。



平成二期に入ってからの仮面ライダー主人公は一昔前の格好した探偵、異国情緒溢れる旅人、リーゼントの高校生と強烈なインパクトを与えにきている。
去年のリーゼント学ランと較べたらそらもうあまりに普通だ。
キャラ付けをするためのアイテムだって、ただのシュガードーナツである。

二年前の男はパンツだったよパンツ。
長い枝に明日履くパンツだけ挿して旅する奇人だ。
仮面ライダーの主人公というカテゴライズで言えば、晴人の普通っぷりはむしろ際立っている。

後術するが仮面ライダーウィザード自体も、実のところものすごくスタンダードなライダーだった。
ウィザード=晴人という存在自体が、実は奇抜さではなく普通さを大切にしているのだ。

そして晴人をサポートするコヨミも、水晶を使っていて格好も占い師を連想させるものの、あまり際立った個性は感じられない。
晴人に対して少し厳しく接するものの、仲が悪いわけではなくしっかりとサポートしている。
またコヨミの役割がファントム探しなのも会話から自然に頭へ入ってくるだろう。

店主らしい男性(輪島繁)が微笑ましいものを見るように見守っていることから、コヨミと晴人の関係性や、輪島が二人を見守る優しい父親的役割なのも一発でわかる。
そしてしれっと宝石を加工しており、物語上の役割もここから推察できるよう僅かなカットをとても効果的に使っている。
本当のここの構成がとても巧みだなあと感心した。

大門凛子は警官であり晴人とは相反する存在だ。
強い正義感はあっても組織に縛られている。
晴人の自由で柔軟性のある行動との対比効果狙いだ。

なお、キャラクターの関係性は何も人物だけではない。
アンダーワールドで召喚したドラゴンは、最初容赦なくウィザードにも襲いかかっている。
つまり晴人はドラゴンの力を使ってウィザードになっているものの、ドラゴン自体は晴人を認めていない。
晴人が自分のファントムと敵対関係にあることを示している。

晴人は絶望しないことで魔法使いになった。
ドラゴンが未だ晴人狙う姿勢である以上、晴人はファントムとの戦いに決して絶望してはならない。
誰かの希望であり続けることが魔法使いの宿命なのだ。

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仮面ライダーウィザードの基本的な流れ

第一話を見るだけで、ウィザードの流れは大体わかってしまう。
作品紹介を兼ねたウィザード登場編として、物語のお手本みたいな作りだ。

ファントムはゲートとなる人間を見つけて絶望させることで、新たなファントムを生み出す。
(ファントムが生まれると元の人間は死亡する)

晴人はコヨミのサポートを受けながらファントム探す。

絶望させられそうになるゲートを助けてファントムを倒す。

それでも絶望しかけた者はアンダーワールドへと入り、直接中のファントムを倒すことでゲートという役割そのものを終えさせる。

凛子がそうであるように、ゲートは何かしら引き金となるキーアイテムを持っていて、それを壊されることで絶望する。
(わざわざ最初に襲われた時にも凛子はペンダントに触れようとしていた。ウィザードという番組における要素の一つだと強調している)

ファントムはゲートとなる人間を絶望させる存在であり、ウィザードは人々の希望となり救い出す。
魔法以外にも希望・絶望がウィザードの重要テーマとして扱われている。
希望と絶望は一度凛子に否定させてから、終盤で再度キーワードとして登場させることで、重要な要素としての強調させている。

全体的な構成としては敵対するファントムとの初戦闘で、警察に介入するという流れも上手い。
警察は現実で人々を守る存在である。
対する魔法使いは本来伝説のようなもので、存在自体がフワフワしている。
リアリティのある対象的なものを見せることにより、逆説的に魔法使いを印象付けようという試みだ。

これは上手く機能しており、銃弾一つでも魔法使いは銀の銃弾で普通とは異なる。
また、せっかく活躍しても留置場にぶち込まれることで一般的に認知されないイレギュラーな存在だと強調できた。
更に動じない晴人はやろうと思えば簡単に脱出できてしまう。

大門凛子がファントムを生むゲートにしたのは、次回以降レギュラーキャラとして活躍させるためであり、予告からもそれはわかる。
それ以外にも警官にすることで晴人に絡めやすく、本来なら二話一構成を一話でまとめるための簡略化にもなっていた。

アンダーワールドによる大型戦闘も実に合理的で上手い手を考えたと思う。
精神世界に入る必要性がある段階で、ゲートはファントムを生み出しかけている非常に危険な状態であり残させている時間は少ない。

また周囲の目や被害を現実世界のように気にする必要がなく、中のファントムも強大。
なのでウィザードもドラゴンを召喚して短期決戦で一気に戦いを決めるという図式を成立させている。

これでアンダーワールドに入る時はドラゴンを召喚しての大型戦闘になることを暗黙的に示した。
(歴代のライダーを知っている人は、大型戦が予算食うのであまりないことは前提として承知している)
そしてウィザードラゴン、仮面ライダーらしい奇抜さがあまりないのでメッチャクチャデザイン王道的に格好いい。

これだけの構成を最初の一話で全部キレイに映像と演技で見せていることから、どれだけ丁寧に練られて作られた第一話なのかがよくわかる!

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ウィザードの華麗な魅せ方

冒頭で警察がファントムに相手に銃撃まるで効かない場面が入る。
そこで操真晴人が現れウィザーソードガンで銃撃。
すると弾道は曲がりファントムだけを攻撃して、銀の銃弾により効果テキメン。

現実の兵器との明確な差を見せつける描写から入り、魔法陣を使ってウィザードが変身。
弾の特殊な軌道を見せながらの銃撃と剣撃、縦回転を多用した華麗な蹴り技を連発して、これまでのライダーとは違うスタイリッシュさを印象付けている。
特に昨年の派手さとハチャメチャさを優先したフォーゼを意識して、相反する格好良さの強調が感じられた。

冒頭シーンでの戦闘はまさにウィザードらしさが重要視されている。
なお、最初の変身はあえて変身音声がない。
あの耳に残る特徴的な変身音を入れないことで、よりウィザードのスタイリッシュな格好良さを際立たせている。

逆に後半の戦闘は仮面ライダー感が強められていた。
変身音声もキッチリ入れており、フォームチェンジもどんどん取り入れている。
ウィザードのフォームチェンジは各種のエレメント(火・土・風などの属性)をストレートに反映させる方式だ。

このストレートな一属性によるスタンダードなフォームチェンジは、振り返ってみるとディケイドよりも更にさかのぼり平成仮面ライダーの一期、仮面ライダーキバ以来だった。
実に五年ぶりである。そう考えるとかえってレア感が湧いくるレベルだ。

敵の戦闘法に合わせて次々にフォームを変えて翻弄していく。
最後は仮面ライダーらしくライダーキックでキメる。
ライダーキックも平成仮面ライダー二期の中では炎をまとった華麗な蹴り技で、やはりあまり奇をてらってはいない。

そこから更に凛子の精神世界であるアンダーワールドへと入って大型のファントムと戦う。
ここでは晴人のファントムであるドラゴンを召喚して、より派手な戦闘が展開される。
第一話でどう魅せるかが大事な上、予算があるので短い時間で次々と様々なパフォーマンスが見られて映像的にもすごく楽しい。

なお、ウィザードは一度も拳による攻撃をしていない。
これは意図したもので、子供がウィザードリングを付けたままものを叩いて怪我しないようにするための配慮だ。
パンチを使わない演出上のハンデを、ウィザードという華麗でスタイリッシュなヒーローらしさに繋げている。

なお、この余談だがこの作品より遥か後に、格好だけ完璧ウィザードそのものライダーが、指輪付けた腕で堂々と敵を殴った。
無論ネットでも、いともたやすく行われるえげつない行為をやりおったと話題になっている。

彼も元仮面ライダーの主役なんだけどね! そんなこと知ったことかという、いっそ清々しい暴虐ぶり。
気になる人は仮面ライダージオウを観よう!

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