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シンエヴァ【感想・考察】庵野監督の心情で読み解くともっと楽しくなる解説

2021年3月21日

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大体わかった。破壊する

エヴァの呪いとは停滞が生む悲劇である。
落とし前を付けると決意した庵野監督は、その停滞を破壊して次々と決着を付けていく。

カヲル君が望むシンジの幸せとは、自分が幸せになるためだった。
シンジはカヲル君の与える幸福が本当は不要なのだ。

そしてカヲル君が、訳知り顔でも実は運命に翻弄されて何も変えられない存在だったのもハッキリさせる。
彼は変革を与えるものじゃない。停滞の呪いをかけられたただの一人でしかなった。
カヲル君はメタな幸福論から解放されて、シンジではない幸せを追えるようになった。

シンジが好きでいなければならないこと自体が、アスカの『変えられない』呪いだった。
それをシンジは解き放つ。シンジを受け入れなくて良くなったアスカはあの海で大人の姿になる。
『シンジが好きなアスカ』は『シンジが好きだったアスカ』になった。

レイは初号機に溶けた髪の長いレイと、つばめを抱くレイが融合していた。
シンジの内面世界では、どちらも『綾波は綾波』なのだ。
大事なのは生死ではなく綾波レイにかけられた呪いを解くこと。

レイもまたシンジに心が縛られた一人だったが、シンジと交わらなくても綾波レイとしての心は育つと証明された。
シンジを居場所にして依存する必要はなく、レイはレイの居場所を探す。

エヴァの呪いとはシンジの手を離れることによって成立する。
故にシンジは自分を犠牲にネオジェネシスを起こす。
旧くなった新世紀を終わらせるための新世紀。

けれど、その犠牲をユイが肩代わりして、ゲンドウは付き添い見届ける。
エヴァ達は次々と消えて世界が書き換わる。

全てのエヴァンゲリオンにさよならを告げる。終わりの儀式。
それができるのは、そして認識できるのは庵野秀明という個の視点だけ。

後に残されたのはシンジだけ。
世界が崩壊して、それはまるでTV版の最終回のように形を喪失していく。

しかし消えていく世界が元に戻る。そこに現れたのはシンジを迎えにやってきた真希波マリだった。
何故か彼女もまたエヴァンゲリオンに別れを告げた。つまり所謂『第四の壁』を認識できる。メタの化身!

真希波マリとは何者なのか。
彼女はかつてのエヴァンゲリオンにはいなかった、つまり庵野監督にとってはその後に生まれた存在。そして自分をエヴァ無き世界へと連れ出して、共に走りだせる存在。
庵野監督の心を支え続けた功労者の一人、嫁である安野モヨコ氏だ。

二人は『外』の世界で駆け出して、エヴァンゲリオンは終わる。
こうして僕ら達全員にかけられていた『エヴァの呪い』は全て解かれた。

だからこれは、現実へ帰れと突き放すためではない。
エヴァ無き世界は現実と地続きだ。
どちらが良いも悪いもない。

故に帰ろうと思えば本当はいつでも帰れる。
スパロボがこのまま放っておくと思うかね?
二次創作とかアンソロ本が津波になって押し寄せる未来が見えないの?

というか今だって育成計画とかネタにされているし、公式がネタバレ解禁したら何故かTwitterでは『ゲンドウ編』とかいう集団幻覚みてるわけですよ。

それでいいのだ。
『終わった』と『無くなった』は違う。

作品への想いを受け取って、僕らはそれを大事にすればいい。シンジがそうしたように。

喪失を伴わない終わり。
地続きの外へと飛び出すこれから。
それはただエヴァに縛られる必要がなくなったというメッセージだ。

僕らはこれからエヴァ無き世界で生きていく。生きていける。

だから今はさようなら。全てのエヴァンゲリオン。

シンエヴァ? 庵野秀明監督の心情で読む解くと100倍楽しい【感想・考察】

出典:シン・エヴァンゲリオン劇場版?

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