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シンエヴァ【感想・考察】庵野監督の心情で読み解くともっと楽しくなる解説

2021年3月21日

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クソ親父とカヲル君は裏表

こうしてシンジとゲンドウ、エヴァ初号機と13号機の戦いが始まった。
ゲンドウは儀式として、あえて同じ動きでシンクロする。

元々フォースインパクトはダブルエントリーシステムで起こすはずだったと考えれば、その意味は何となくわかる。瞬間、心、重ねて。
とはいえゴリ押しシンクロでは瞬間にしか重ならないので、いいとこスパロボの合体技だ。MXでは大変お世話になりました。

シンジはバトル展開じゃ無理だなと悟り対話に切り替える。
そりゃ戦闘民族範馬式の親子喧嘩による和解はどう考えても向いてなかった。

ゲンドウはコミュ障だった。そりゃもう息子と同レベルのコミュ障だった。
ピアノと知識大好きのコミュ障は嫁を貰って心が救われたがエヴァに溶けてしまったので、嫁を取り戻すぞ計画を冬月先生と始める。

冬月先生は、ただの希望に縋ってるだけとメタに自己判断している辺り、キョンかよと思った。
お人好しなのでそっと息子に父親の理解を促そうと将棋とかしたわけだ。

嫁奪還計画の贖罪としてゲンドウはシンジを遠ざけた。
レイに嫁の面影をみて向き合えと遠回しに言われたら、「あ、はい」ってなるのだから、心からシンジを疎んじているわけがない。
ミサトさんフィルターを通すことで、ゲンドウの意図を今のシンジ(とファン)は理解できるようになったので、駄々をこねずにちゃんと向き合える。

ここにエヴァ最大の問題。コミュ障親子のまともな対話が実現した!

そしてもう一つゲンドウには大事なポイントがある。
話は前後するが、ゲンドウとカヲル君は表裏一体の存在でもあった。

故にカヲル君は渚司令と唐突に呼ばれたのだ(設定的にはダブルエントリーの影響も大きいと思われる)。
それ以外にもわかりやすく盛り込みまくる。

・エヴァ13号機はカヲル君初登場時のポージングで待っていた。
・エヴァ13号機に乗ってシンジとシンクロしようとする。
・ゲンドウはピアノが好きだった=Qのカヲル君はずっとピアノ弾いてる。
・知識大好き=カヲル君も『Q』でさり気ない知識人アピール

『破』でゲンドウをお父さんと呼んだのは、恐らくゲンドウから切り離されて生まれたからだろう。
心の闇を凝縮したようなゲンドウの半身であるからこそ、カヲル君はシンジを愛する。
ゲンドウが一人でピアノ弾きたがるなら、シンジくんと連弾しちゃうわけだ。

『?』でウォークマンはゲンドウにを渡すべきだったのだと気付く。
『Q』でどうしてカヲル君にウォークマンを預けるシーンがあるのだろうと不思議だったが、それも同一存在だったからだ。

それでもクソ親父は全てを犠牲にここまできただけあって止まらない。もう全ての準備を終えている。
だが、そこに新しい顔じゃなくて槍が到来する。
(最後はあえてリアル技術の噴射で突っ込んでくる辺りに、作り手の露骨な趣味と浪漫が見えるぞ)

庵野監督は優しさで落とし前を付けるための力が戻った。
皆の優しさ、協力を受け取って終わらせるための力に変えられる。
心の中に、人の想い(ユイ)は宿るのだ。

【次ページ:呪いからの解放=エヴァからの卒業】

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