どうも、ゲタライド(@ridertwsibu)です。

コロナの猛威が吹き荒れて、知人も一人、また一人と感染していく昨今。
再び映画自粛モードになっていたのですが、これだけは観なければと選んだ一本がライダー映画でございます。

バイオハザードや、来週にはゴーストバスターズに大怪獣のあとしまつ(この記事書いてる間ですごいことになりましたが)……等など観たい作品は目白押しの中、とりあえず一本だけでも……と突貫してきた次第です。

以前のセイバー総括記事では微妙な評価でしたが、そこはそれ、私は作品単位で評価するのであまり気にしません。

むしろ私は、前作よりも公開前の情報が気になってました。
まさかの倫太郎の父親が登場。しかも賢人の婚約者があの若菜姫……!

更に、今回は飛羽真も話に深く関わるっぽい。
ねえ、まとまるの? Vシネマの尺でまとまるの?

尺が足りませんでしたオチや、後半に続く展開を覚悟して挑んだ結果は…………あれ、これはVシネマのライダー作品史上最高傑作では……?

見終えた段階のストレートな感想は『なんかスゲーのを観た』でした。
今回も最初はネタバレ無しのレビューから入ります。
けど本作はそれすらある意味ネタバレになってしまうため、新鮮な気持ちで観たい方はこのまま閉じて、ネットの情報も極力遮断して劇場へ向かいましょう。

それでも今回はハズレじゃないと安心した上で観たい方や、もう観たぜって方にはその凄さの根源を語ってまいりましょう。

(文章読むのが苦手な人向けに、ラジオ感覚で聴き流しもできる音声版も用意しました)

ネタバレ無し感想

仮面ライダーWのRETURNSから始まったVシネマシリーズは、テレビ本編と同様に作品を重ねる毎に、シリーズとして安定した『型』を構築していった。
サブキャラクターを主役に据えた後日談を新章として展開していくのが、現在では定番の流れと言えるだろう。

だが今回はこれまでの流れを破棄しており、全く異なる構成だ。
タイトルからもハッキリわかるように、メインは主人公も含めた一号~三号ライダーの三名による群像劇である。
主要人物だけに目を向けるならば、既存のVシネマよりも劇場版の方が近いだろう。

コロナの影響や五十周年記念等が重なり、単独の長編映画が作られなかった仮面ライダーセイバーが、まさかのVシネマでその穴埋めをしたとも見れる。

だが作品構成自体を掘り下げると、従来の劇場版とも大きく異なる。
劇場版だと基本はTV本編の間かその後、どちらにしても物語の直接的な延長線上に位置しており、作品の雰囲気も本編に強く引っ張られる。

しかし本作は八年後を舞台にしており、全体的にかなり独特な雰囲気や画作りになっていた。
だからと言ってこれはセイバーじゃないと言う程ではなく、作品として核の部分はしっかりとセイバー色が出ている。
これはパンフレットを読んでも意図した構成であり、狙いがバッチリとハマった状態だ。

作品性で言えば、セイバー独自のファンタジー色とミステリが融合しており、メイン三人の視点からそれぞれに起きる事件を追う流れになっている。

また三者三様の人間ドラマも同時に進行していく。
三人は異なるその後の人生を歩んでいるのだが、ドラマの中に人間的な生活感がかなりしっかりと練り込まれている。
それらはセイバーらしさは残しつつも、特撮作品っぽさがない。まさに『ドラマ』なのだ。

シナリオも画作りもTV本編からかなり大人向けに寄っている。
小さいお友達には複雑過ぎて、かつ派手さに欠けるため、楽しめる要素はあまりないかもしれない。
そのため、TV本編のセイバーそのままで、いつものVシネマ的な『延長線上の空気感』を求めている人には厳しい作品でもあるだろう。

だからこそこのドラマ的な撮り方は、本作の独創的な作品性にかなりマッチしている。
逆に今まで通りの作りをしていたら、かなり安っぽい作品になっていたのは明白だ。

またVシネマ特有の欠点として、純粋な劇場版作品に比べて予算の少なさが目立つ。
特撮の映像スケールは完全に見劣りしてしまい、なんだったらTV本編でも特撮演出に力を入れている回の方が、Vシネマよりも華々しい画作りになっている。

ドラマ寄りの構成である本作は、ある意味絵的な派手さをあまり要求されない。
むしろある程度抑えていないと、映像的にチグハグさが出てしまうだろう。
そういう意味でも本作の作りはVシネマに向いているし、シナリオ性は自由度の高い媒体だからこそ出来たとも言える。

しかし映像に手を抜いているわけじゃないのは、冒頭のミステリ寄りな斬新な撮り方や、エンディングの力の入れようからも明らかだ。
また、徐々に全体的な空気が『仮面ライダー』的な特撮に戻っていき、状況次第ではまたドラマ寄りに戻ったり、その中間を維持したりもする。
ドラマと特撮とセイバーらしさを全て成立させる、この絶妙なバランス感が素晴らしい。

平成一期時代の仮面ライダーは、独自性と、毎年のように芸風が変わっていく革新性が大きなウリだった。
それは平成二期に入ると、安定性を求めたパターン化の方向へと移行していく。

本作は仮面ライダーが失いかけていた、新しさと革新性が最初から最後まで映像と物語に溢れている。
物語の革新性については、ネタバレ有りの部分でもガッツリと解説していく。

Vシネマであることを利用しつつ、劇場版のような物語作りをしたことで、Vシネマシリーズは新たなる階段を昇った。
『深罪の三重奏』はまさに意欲作であり、革新作だ。


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