RIDER TIME 仮面ライダー龍騎 EPISODE 2『Another Alternative』

全三話だと最後に向けて話を詰め込んでの中弛みが心配ではありましたが、それどころではない衝撃展開が待っていました。
王蛇のユナイト要員だった手塚と芝浦が、人間同士でユナイトしてしまうとはなあ。
芝浦に衝撃展開が待っているとは知っていたのですが、そっちのベクトルとは……。

第二話は全体的に戦いの加速だけでなく、登場人物の性格や関係性について多く踏み込んでいました。
そういう意味ではラストに向けた助走も大きく含まれています。

今回の感想は、バトル・ロワイアル参加者達の関係性についての掘り下げ。
それと現在見えている設定も考察しましょう。

真司と蓮の変化と変わらない部分

記憶を失った真司は、かつての戦いを止めたいという強い意思や無鉄砲な勢いがない。
ただのお気楽なアラフォーのおっさんと化している。
(秋山ロンの見事なアドリブは笑った)

ただ秋山蓮のことだけは朧気に覚えている。
蓮と再び会うことだけが、生き残ることに対するモチベーションだ。
けれど、他のライダーを倒す意思もないので、すごく宙ぶらりんになっている。

手塚にお前らしくと言われても、その自分らしさがわからない。
わからないままミラーワールドの自分に取り込まれてしまう。
かつては戦いを止めたい強い意志があったから、融合しても分離できた。
今の真司には、リュウガ編で編集長の目を輝かせたあの熱さがない


仮面ライダー龍騎 EPISODE FINAL

いかにして真司か自分を取り戻し、戦いを止める意思を見せるのか。
最終回最大の見せ場になるだろう。

蓮はむしろ真司の記憶が戦いを止めろと呼びかけ続けていた。
実際に言われ続けていたので、強い衝動になるのにも重い説得力がある。

かつての自分の意思に、真司も背中を押されて蓮に協力すると決めた。
視聴者目線だと、二人の関係にやきもきしつつ、蓮の言葉に嬉しさも感じる絶妙なすれ違い方だ。

けど微妙に噛み合わず仲悪いのは昔と変わらない。
炭酸ぶっかけたのは、過去の記憶が真司にはこうしろと謎の使命感に駆られたからではないだろうか。
と言うか、仲悪い部分だけ互いに納得して俺達はこうだった確信し合うのホント好き。

ライダーの戦いに最初から恋人が絡まないなら、蓮は戦う理由がなく止める側になるのでは?
という空想は、我々龍騎ファンは17年前からし続けていたことだ。
そんなあり得ないIFが、今まさに現実のものになっている。

北岡を巡る愛憎劇

次回予告を見るに、やはり悟郎は浅倉を倒すために芝居を打っていたようだ。
けれど、悟郎に記憶があるのは今回でも触れられている。
悟郎に餃子のレシピを教えたのは真司だ。
(真司の餃子を悟郎がアレンジしたレシピは何気に資料本が残っている)


その男、ゾルダ―仮面ライダー龍騎フォトアルバム

また、ゾルダのファイナルベントで派手に爆撃したが、誰一人として重症を負っていない。
エンドオブワールドは全弾発射の大技だが、実はある程度弾道コントロールができる。

本来の悟郎は真司とさりげなく仲良くなるなど、本来は優しい男だ。
これ以上浅倉の犠牲が増えないよう、必殺技で倒すと見せかけて場を仕切り直しにしたのではないだろうか。

悟郎が浅倉を狙う理由は北岡が最後まで気にしていた因縁を引き継いだためだろう。
未決着のまま息を引き取った北岡の無念を晴らす。

けれど、過去に一度敗北しているとはいえ、わざわざ屈辱的な方法を選び、ここまで念入りに倒そうとしているのはたたの使命感以上に情熱じみたものを感じる。

悟郎は北岡が唯一にして絶対の信頼を寄せていた存在だ。
立場の壁を越えた友人関係がそこにはあった。

浅倉は北岡に強い敵対心を向けていたが、嫌っていなかったと語る。
浅倉と北岡と憎しみで結びついていた。
北岡は自分の死がもう目前と自覚しつつも、最後は悟郎が止めても聞かず玲子とのデートよりも浅倉を優先した。

北岡が浅倉と悟郎に向けていた感情のベクトルは大きく異なるが、強度は浅倉が上回ったのだ。
ずっと心から北岡に尽くしてきたからこそ、自分にも立ち入れない北岡と浅倉の関係に嫉妬心を感じている。
それが浅倉に対する憎しみへと変わった。

以前の戦いでは、悟郎は浅倉の餓えを満たせなかった。
本性を現した悟郎は、皮肉にも浅倉が嫌いではないと言った憎しみをぶつける存在ではないだろうか。

手塚と芝浦は真司達との対比役

井上脚本においてベッドシーンはさほど珍しい訳ではない。
なんだったら井上氏が手掛けた小説版のファイズや龍騎、コミカライズ版のクウガにすらある。

しかしながら、実写の仮面ライダー、それも男同士とは流石に予想できるわけがない。
ファムがおらずアビスを投入したのは何故だろうと思っていたが、ミラーワールドから女性を意図的に廃したかったためなのだと理解できた。


S.H.フィギュアーツ 仮面ライダーアビス

真司と蓮。
北岡に対する浅倉と悟郎の想い。
これらは過去から時間をかけて作られてきた関係性だ。

手塚と芝浦は新たに構築されたものである。
より直接的な肉体関係を結んだが、所詮は異常な状況で突発的に生じたものでしかなく、残り一日となりあえなく崩壊。
アブノーマルかつ関係性の薄さを露呈することで、他の関係性を強調している。

ただ、手塚の本質からはかけ離れた行動ではなかったとも思う。
同性愛は置いておくとして、手塚が戦ってきた動機はその時々で異なる。

友人の無念を晴らすため戦いを止める。
かつて愛した女性を救うために戦う。
状況は違うものの、愛情ならば今回の動機も同様だ。
そしてTV版では、23話で真司が脱落する運命を変えるため、自分が身代わりとなっている。


第23話

手塚が戦う動機は、いずれも特定の誰かに起因していた。
他者との関係性次第で行動が決定付けられるタイプの人間性が見えてくる。

芝浦は元々ゲーム感覚で動く男なので、騙して利用したかったのか、本当に殺したい程愛したのか判別し辛い。
ただまあ、手塚の姿が見えなくてもノリノリだったので両方っぽさそうな気がするも

ベルデのキャラ性は真逆化

新キャスト組の中では最後の生き残りとなった木村こと仮面ライダーベルデ。
他では高見沢という別人がTVスペシャルにしか登場していないものの「人間は皆ライダーなんだよ!」とある意味龍騎を象徴する名言を残した。


仮面ライダー ブットバソウル/DISC-H076 仮面ライダーベルデ R2

木村は真司達と組んでいる現状は今だけと嘯き、芝浦チームと協力態勢でも同じような発言をしている。
そもそも残り三日や二日での話だ。

特に芝浦達と組んだら七人になる。
全体の過半数を越えりチームが残り二日で成立することが不自然なのに、大人数の部分は指摘しない。
組むこと自体に文句は言わず、おかしいと思いつつも手塚へデッキを預けた。

裏切り者の手塚と再会した時も、トドメを刺そうとせず、頼まれれば真司の元へと連れていく。
預けられた龍騎のデッキも迷うことなく真司へ返している。
デッキを奪って脱落させてやろうとか、悪どい雰囲気を全く感じさせなかった。

真司を能天気扱いしているが、木村も根が善人で場に流されやすい性格だ。
容赦のない展開が多いものの、井上脚本は罪のない善人はむしろ報われやすい傾向にある。
ライダーの中でも苛烈だったベルデだけに今回のキャラ付けは意外だった。
個人的には生き残ってほしい一人だ。

設定の整合性が怪しい

新たなミラーワールドの戦いはアナザー龍騎ではなくサラが引き起こしていた。
この辺の予想は前回の考察でだいたい合っていた。

ただ、更がどうやってミラーワールドの戦いを起こしたのかは不明なままだ。
それにラスト一日になって真司達の前に現れて、洗いざらい全部白状した。
通常なら少しずつ謎を解き明かす流れになりそうなものだが、尺が足りない感をひしひしと感じさせる。

また、ミラーワールドの戦い以上に不可解なことが起きている。
現実世界でアナザー龍騎はミラーワールドのライダーのため倒せないとゲイツが語っていた。
え? 既にアナザーリュウガ倒しているよね?

対応するウォッチがなくてもアナザーライダーを撃破できるジオウⅡがあれば、アナザー龍騎を倒せない道理はないだろう。
よくわからない矛盾が生じている。

またリュウガ編で真司と和解したはずのミラーワールド真司が、劇場版のノリで真司を乗っ取った。
まるでリュウガ編そのものが無かったかのような扱いだ。

単に設定がコンフリクトを起こしているのか。
もしくは論理的な理由があるとすれば、オーディンがタイムベントしちゃったか……。


装着変身 仮面ライダーオーディン

残り一話の尺で、この物語をどう収めるのか、期待と不安が入り交じる一週間を過ごすしかない。