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細かいネタ部分に手が込んでいる
ネタバレ本題に入る前にまずは小ネタから。
事件が解決した後の遊園地シーンは、晴れ晴れとした気分で、皆が楽しくワチャワチャしている。ここは地味にネタが多くて面白い。
たとえば、メリーゴーランドに乗っている時のヒロミは、よく聞くとかなり意味不明なことを口走っている。
これきっと仮面ライダーじゃたまにある、脚本に台詞がなくてアドリブで無茶振りのギャグ言わされてるやつだよ!!
そういやヒロミは子供時代にイジメられていたので友達がいない&クソ真面目な性格&田舎住まいから、遊園地で遊ぶの実は初めてなのでは……とかもの悲しい想像までしてしまった。
アイスを買うシーンでは、なぜか一輝と玉置が狩崎に頭を下げている。あれは二人ともお金持っていなくて奢ってとお願いしてるところだそうな。兄の威厳……。
他にも夏木花役の椛島光氏が、実は絶叫マシン系が大の苦手。TV本編の遊園地回でもごめんなさいしたのに、今回は乗らざるを得なくなった話が、何人もの視点でやたら細かくパンフレットにて語られている。
本作はパンフレットの話が、面白かったり参考になるものが多かったりで、副読本としてかなり優秀。椛島光氏のファンはマジでオススメ!
それと本編では一秒も出ていなかったオルテカが、EDでサプライズ登場して普通にビックリした。
え、まさかPV撮影のためだけにお呼ばれしたの?
オルテカは派手にやらかしたけど生き残り、劇場版では一応味方としても行動した。なにより本編で倒される直前に回想したのがデッドマンズトリオの思い出だった。
また、TTFC配信にて、『仮面ライダージュウガVS仮面ライダーオルテカ』も決定している。
個人的には、仮面ライダーオルテカになってキャラクター的な禊を済ませた後に、花の探偵事務所に所属して、再び正式にトリオへと戻ってくれたら嬉しいなと思う。小説版に期待っ!
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後日談として読み解く『リバイス』の結論
もはや毎年の恒例行事と化したVシネクスト。
作品としては毎年期待しているけれど、これによってキレイに畳んだ風呂敷が再び広げられる問題も発生した。
●●●とか●●●とか、もう決着する気がマジでしない……。
本作は新章という形式を取らず、『風呂敷を新たに広げない』ことで、この問題を回避している。
あくまで後日談であるスタンスを取り、新たな設定を足しても、ここで終わって問題ない形で話は完結させたのだ。
『リバイス』本編は(とくに後編が)すれ違いながらそれぞれが正義を唱える物語だった。
一輝は善人であるが、自分の正しさをお節介として押し付ける。
大二は正しさを追い求めながら、リアリストゆえに理想論は許容できない。
さくらの無敵は事態をシンプル突破する力強さがあるけれど、通用しないと強さがヒステリックに変異する。
ウィークエンドはギフ殲滅の意思に強く偏り、外道でギフ信者の赤石ですら、人類を救済する意思については本物だった。
誤解。策謀。反発。それらが正しさを歪め、正義の脆さを露呈させる。
この作品性は話を複雑化させて、多くの視聴者に精神的な負荷を与える要因になっていた。
リバイスフォワードはそれらが全て解決した後の物語であり、あえて新たに大きな問題提起を行わなかった。
故にそれぞれの登場人物は己の意見を掲げて衝突することはなく、これまでに培った経験値によって事件を解決へと導いていく。
花は夏木探偵事務所を立ち上げていた。
アギレラでいられなくなった彼女はこれからどうするかに悩み、夏木花となってウィークエンドやブルーバードで贖罪を始める。
しかし、この贖罪も『やるべきこと』であり、過去の清算が目的だ。
背後の組織は『見張り』として必要なものである。
しかし現在の花は、独立して活動していたのだ。
どういう経緯かは不明だが、事務所は居抜きで規模の小さいものである。
花に探偵のスキルがこれまであまりなく(過去に温泉宿へ潜入してるから皆無とも……)、それだけの資産があるとも思えない。
おそらくブルーバードのバックアップを得て、協力組織として運営できていると思われる。
それでも花は独自に捜査してイキイキと活動していた。
環境によって作られたアギレラ。
こうすべきと成った贖罪のための構成員。
そのどちらでもなく、自分の意思でやりたいようにやって、人の役に立つ道を花は見つけた。
そして、そんな自由が許されるくらい、彼女(と玉置)はブルーバードや仲間達からの信頼を得たのだ。
狩崎は、失敗によってドン底へと落ちていく大二が自分を責めないようフォローする。
かつての彼なら失敗を面白おかしく茶化しつつ、自分の有能さをアピールするように新たなアイテムを出してきたろう。
狩崎自身が大きな罪を犯した上で今の立場にいるからこそ、他人を慮れるようになった。
そしてロジックや確信がない中で、ヒロミを信じるしかないと言い切る。
彼は突出した天才性によって孤立した科学者ではなくなり、純粋に仲間を信じて自分の成果を託せる男になったのだ。
一輝はいつものようなお節介で、疲弊している大二の服を強引に剥いで風呂へと入れる。
けれど風呂の中での対話で、一輝は大二に自分の主義を押し付けなかった。
かつて一輝と大二が激しく兄弟喧嘩をした時は、一輝はとにかく説得しようと大二の話を聞いても、結局理解は示さず『俺はそう思わない』と自分の気持ちをぶつけるばかり。話はまとまるどころか溝を深めるだけだった。
今回は大二の話を聞きつつ、質問するという形式で対話を進めていく。
そして話すのは大部分が大二であり、彼なりの気付きという自覚を得たところで、もう答えはわかってるじゃないかと返す。
これまでの一輝ならばおそらく、お節介という善意から、自分の思う正しい答えを押し付けていた。
今回は寄り添いながら、けれど答えを出す部分は大二に委ねているのだ。
一輝は一方的な押し付けにならないお節介をできるようになった。
それは今の大二なら、そばにカゲロウがいなくても自分で考えて答えを見つけられると信じているからでもある。
弟の成長を感じた一輝は、思い入れ深くバイスとの絆の象徴でもあるリバイスドライバーを、自らの意思で手渡した。
ヒロミは自分の弱さを自覚して、だからこそ命を懸けて、己を出し尽くそうとする。
それは人を助けて落命した、警察官の父親を尊敬していたからでもあった。
しかし、命を捨てる覚悟でもがき続けた結果、彼は一度心が折れてしまう。
そこから再び立ち上がり、今の精一杯で少しづつ何かを変えていく。変えていける大切さを学んだ。
だからこそ、彼は気付けた。
どうしても救いたい少女と守りたい約束を前にして、自分の命だけじゃどうにもならない状態。
彼は『何があっても彼女だけは自分の手で助ける!』ではなく、大二という可能性を見出して仲間を信じた。
大二は最善を尽くそうとしても全てが裏目裏目へとなって、状況がドンドン悪くなっていく。
そこで狩崎から仲間を信じることの大切さに気付き、一輝に促されるよう自分がまだカゲロウを信じていたと自覚した。
そしてヒロミを信じて、カゲロウの意図を理解して、事件の真相へと辿りついた。
最後のライダーキックも、兄から託されたドライバーの可能性を信じたからこそ決断できたのだ。
一度グチャグチャに壊れてしまった関係から、再び家族や仲間達と繋がり立ち直ってきたからこそ、彼らは絆の大切さを心から理解できているのだ。
仲間を信じて、仲間に信じられて、自分達にできる精一杯で手を伸ばす。
それが『リバイス』という群像劇の答えだった。
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