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仮面ライダーリバイス バトルファミリア 家族というテーマの裏に隠されたもう一つの本質とは【考察・解説】

2022年7月25日

ママさんの本質こそが仮面ライダー五十嵐

バトルファミリアはそのタイトルが示すように、五十嵐家自体を主軸に据えた物語だ。
同時に、『母は強し』を強く押し出すドラマ性を有している。

ゲストキャラの一人である、妊婦の竹田由芽もその『母親』の在り方を形作る役割でもあった。
危険な状況下でも、生まれてくる命を必死に守る。シンプルで、そして確かな子供への愛情だ。

リバイスの本編も、そのまま五十嵐家の物語でもある。少なくとも前半はそうだった。
微妙な言い方になってしまうのは、後半に入るとキャラクターが増えたことで群像劇化していき、五十嵐家以外のドラマも増していったためだ。

しかしながら、後半になって大きな動きを見せたのが元太だったので、やっぱりリバイスは全編を通して五十嵐家を描いているのは間違いないのだが。

逆に、後半へ入ってから物語から置いていかれだしたのが、ママさんこと幸美だった。
序盤では家族のまとめ役として機能していたが、あくまで一般人の彼女は加速度的に危機感が増していく後半ではどうしても影が薄くなってしまう。

また、一輝を始めとした子供達も戦いの中で成長していく。
逞しくなった子供達はいずれ親の庇護を必要としなくなる。それは寂しさはあっても、喜ばしいことだろう。
どれだけ仲睦まじい家族でも、むしろだからこそ、いつか巣立ちの日はやってくる。

けれど、今回はそうなる前に家族全員が窮地に陥った。
全員が捕らえられ、子供達が痛めつけられる中で、気丈に振る舞いながら最も強い怒りを露わにしたのが幸美だった。

大切な子供達を傷付けられる怒りが、彼女の中の悪魔を目覚めさせる。
一見すると、それは天使か女神のような姿をしていて、ギフの細胞を引き継ぐ悪魔達、バイスやラブコフ。そして二面性の発露のようなカゲロウとも全く異なる。神々しい姿だった。

幸美は元より、正体も不確かな危うい存在だった白波純平を受け入れた母性と強かさを持つ女性だ。彼女は記憶を失い、元太となった彼をずっと守ってきた。
その母性の基盤となった芯の強さが形になったようだ。

それと同時に、怒りが根源で発露するように、それは悪魔なのだ。
『幸せ湯』がそうであるように、五十嵐家とは何処かフワフワした元太ではなく、幸美を中心として成り立っている。

元太が不人気の動画投稿者として趣味を続けられているのも、一重に家を支える幸美がいるから。彼女こそが五十嵐家の土台であり体現者なのだ。

だから彼女の悪魔が持つ性質は、攻撃ではなく守ることに特化していた。
純平の過去を家族の誰にも話さず、全てを知りつつ秘密を守る。
入院していながら、一輝がライダーになったことで生じた家族問題を、裏方として解決していたのも彼女である。
子供達を守り、五十嵐家という『枠』を守る。それは言い換えると束縛と同義だ。

五十嵐家を守り、利用されるばかりの人生だった純平を、元太として自由にさせたかったという意図はわかる。
しかし元太の生活は幸美がいないと成立せず、彼女に依存している。

彼女が中心である以上、子供達の生活もやはりずっと母親に依存したものだったはずだ。
家族思いで積極的に銭湯経営を手伝う長男坊が、誰の影響を一番受けてそうなったのかなんて、考えるまでもないだろう。

突如、幸美の悪魔が発現して一輝に新たな力を与えるという構図だけ見れば、非常に強引なご都合主義に見えてしまう。事実物語の尺や展開の都合でそうなった部分もあるだろう。
残りの話数で考えると、本編で幸美の悪魔が掘り下げられるかはちょっと期待薄だ。

しかし、元々幸美は執念に近いレベルで五十嵐家という枠に固執していた。
それが破壊されかけた怒りで、悪魔は形を得た。

人と悪魔を一つにする力、サンダーゲイルバイスタンプ。
それが、子供達を五十嵐家という一つの枠にまとめるフティゲイルバイスタンプに変異したのは、幸美の本質がそのまま形になったに等しい。

出展:プレミアムバンダイ|仮面ライダーリバイス DXフィフティゲイルバイスタンプ

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