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デザイン性と世界観が作る怪獣のリアリティ
怪獣作品において、町を蹂躙する大怪獣をどう出すかは重要要素だ。
基本的に怪獣はそれ自体にリアリティがない。
「一体これまで何処にいたんだよ」とか「どういう生態系なの?」「この構造でこのサイズは無理」等など、突き詰めるとリアリティ面は巨大ロボット同様様々な問題が噴出する。
そこに対してどう上手く嘘をつくかが腕の見せ所になるわけだ。
そういう虚構とリアルの境目を、虚淵版ゴジラとは異なるメタフィクション構造で描いた。
ゴジラS.Pに登場する怪獣達は、かなり大胆なデザインアレンジが施されている。
例えばゴジラ。
幾つかに形態分けされているのはシン・ゴジラと同様だが、各形態のデザインは異なる。
ゴジラウルティマは特に脚の太さと形状やバランス感がこれまでは違う。
本編で序盤を引っ張ってくれたラドンも従来デザインとの違いは顕著だ。
正面から長いくちばしを開くと鋭い刺がびっしり。
ペンギンの口の中見せてる画像サイズ思い出した。
出典:©2020 TOHO CO., LTD.
引用してペンギンやガチョウの画像を貼ろうかと思ったけど、結構ショッキングなので気になる方は自己責任でググるなりしてください。
従来の怪獣らしい怪獣の中に、実在する生物の特徴や現実的な形状を組み込んだ独自の造形によってリアリティを作り出している。
これらもまた、着ぐるみを必要としないアニメならではの特徴だ。
虚構が現実に現れて暴れる。その大きな虚をアーキタイプという現実には存在し得ない矛盾した物資で現実の事象へと繋ぐ。
本作のオリジナル怪獣であるサルンガも、アーキタイプの原料である赤塵を操作して外界への進出を目論んでいる。
アンギラスは赤塵を生み出す描写はないものの、限定的とはいえ未来予知が可能だった。
時間に関連する特質はアーキタイプに強く関連する事項である。
タイトル通り、人間の世界と怪獣の世界を特異点で繋ぐ物語であり、この特異点の真実を探ることを物語の核とする。
最初は謎の電波と小さな鳥類の怪獣から始まり、謎が解明されていくにつれ雪玉が転がり巨大になっていくよう事態はどんどん深刻化していく。
(たぶん)その最深部に待ち受けるのが我らが怪獣王ゴジラである。
ワンクールアニメとしてとても上手い構成だなと思う。
しかしながら、この作品構造には欠点もまた存在する。
【次ページ:ゴジラS.Pをチープ化する重大な欠点】
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