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【仮面ライダージオウ】ブレイド編は正史?剣崎と始の救済、小説版との関係を考察

2019年4月3日

『仮面ライダージオウ』のブレイド編で、剣崎一真と相川始は確かに救われた。

ただし、それによって『仮面ライダー剣』本編の未来が永久に書き換えられたわけではない。

『ジオウ』の最終話まで観た後では、ブレイド編の見え方そのものが変わってくる。

本編中の世界は、すべての平成ライダーが最初から同じ歴史を歩んでいた世界ではなかった。『ジオウの世界』を中心として、それぞれ独立していたライダーの世界が融合している途中だったのだ。

そして最終話において、融合した時空はソウゴの力で一度破壊される。その後、歴史は一部形を変えて作り直され、各ライダーの世界も新たな21個の世界として分離した。

つまり、第30話で描かれたブレイドの救済は、再構成前の融合時空で一度成立した結末である。新しく作り直された『剣』世界では、第30話の事件が発生したとは明示されていない。

この構造を踏まえると、剣崎と始がジョーカーとして存在し続ける小説版『仮面ライダーブレイド』とも衝突しない。

第30話は『剣』の未来を上書きしたのではない。複数の世界が交わっていた一瞬にだけ実現した、もう一つの完結編だったのである。

この記事は『仮面ライダー剣』最終回、『仮面ライダージオウ』第29話・第30話・最終話、小説版の重大なネタバレを含む。

ジオウのブレイド編では剣崎と始が救われた

まず、第30話で起きたことから整理しておこう。

『仮面ライダー剣』の最終回後、剣崎一真と相川始は二人のジョーカーとして存在していた。

アンデッドによるバトルファイトは、最後に残った一体によって勝者となる生物が決まる。しかし、ジョーカーが勝利した場合、世界は滅びへと向かう。

始本人が人類を滅ぼしたいわけではない。ジョーカーが勝者になったという状況そのものを統制者が認識し、世界のリセットを始めてしまうのだ。

世界を救う通常の方法は、最後に残った始を封印することだった。

けれど剣崎は、始を封印する道を選ばなかった。

キングフォームを使い続けた影響によって、自分自身もアンデッドへと変化する。第二のジョーカーが誕生したことで、バトルファイトは再び未決着となり、世界のリセットも中止された。

剣崎が選んだのは、始を犠牲にするか、世界を犠牲にするかという二択ではない。自分が人間であることを捨て、両方を救う第三の道だった。

東映の『仮面ライダー剣』用語辞典でも、新たなジョーカーの誕生によって統制者がバトルファイトを未決着と判定し、リセットを中止した経緯が説明されている。

参考:仮面ライダーWEB『仮面ライダー剣』用語辞典

ただし、これで何もかも解決したわけではない。

二人のジョーカーは、互いに戦って決着を付ける宿命を持つ。剣崎と始が同じ場所にいれば、やがて戦いが再開する危険がある。

だから剣崎は、始や仲間達の前から姿を消した。

世界は救われた。始も人間達の中で生き続けられるようになった。その代わり、剣崎は人間としての日常も、仲間と共に過ごす未来も失った。

『剣』最終回は、これ以上ないほど鮮やかな勝利でありながら、同時にどうしようもなく寂しい結末でもある。

ブレイド編は原作最終回から15年後の続編に見えた

『ジオウ』第29話『ブレイド・ジョーカー!?2019』では、相川始、剣崎一真、そして成長した栗原天音が登場した。

単に過去の人気キャラクターがゲスト出演しただけではない。

始は今もカリスへ変身できる。剣崎もブレイドへ変身できる。二人が再会すれば、ジョーカーの本能によって戦いが始まり、その決着が世界の破滅につながる。

これは明らかに『剣』最終回の設定を引き継いだ状態だった。

初期の『ジオウ』では、アナザーライダーが誕生すると、対応する仮面ライダーの歴史が失われることが多かった。

ところがブレイド編では、アナザーブレイドが存在しているにもかかわらず、本物のブレイドとカリスも同時に存在している。

東映公式も、第29話から剣崎と始がライダーとして登場することについて、それまでとは異なる新しいパラドックスが発生していると説明していた。

参考:仮面ライダーWEB『仮面ライダージオウ』第29話

放送当時に観れば、『仮面ライダージオウ』の中で『仮面ライダー剣』の続編が始まったと受け取るのが自然だった。

始が天音の成長を遠くから見守り、剣崎が今も世界を守るために放浪している。テレビ本編から続いていた二人の運命が、15年後の2019年に再び動き出す。

そして第30話では、その運命に一つの答えが出された。

アナザーブレイドが二人のジョーカーの力を吸収

白ウォズは、栗原天音をアナザーブレイドへ変えた。

天音は、始が長年守り続けてきた大切な存在だ。天音に危険が迫れば、始は必ず現れる。そして始がカリスへ変身すれば、もう一人のジョーカーである剣崎も引き寄せられる。

白ウォズの狙いは、二人のジョーカーを一か所へ集め、バトルファイトを強制的に終わらせることだった。

アナザーブレイドは、ブレイドとカリスのライダーとしての力だけでなく、二人が持っていたジョーカーの力まで吸収する。

二つのジョーカーの力が一つに集まったことで、バトルファイトの勝者が確定し、世界の破滅が始まる。

ここで誕生したジオウトリニティが、アナザーブレイドを撃破した。

すると、剣崎と始の傷口から流れた血は、アンデッド特有の緑色ではなく、人間と同じ赤色へ変わっていた。

さらに、ブレイドとカリスの力はライドウォッチとして残された。剣崎は、その力がライドウォッチへ移ったことで、ジョーカーの力も封印されたのかもしれないと考える。

東映公式の人物図鑑では、剣崎の種族について、人間からアンデッドとなり、その後は人間に変化したものと思われると整理されている。

参考:仮面ライダーWEB 剣崎一真(ZI-O)

第30話の公式振り返りも、二人は仮面ライダーの力をソウゴへ譲渡し、人間と同等の存在になったと考えられると説明している。

参考:仮面ライダーWEB『EPISODE30の振り返り』

重要なのは、公式も完全な人間になったと断定していない点だ。

始はもともと、ヒューマンアンデッドの姿と性質を取り込んで人間として暮らしていたジョーカーである。その存在が生物学的にどのような状態へ変化したのかまでは説明されていない。

それでも、二人の血が赤くなり、ジョーカーの力を失い、戦う宿命から解放されたことは明確に示されている。

剣崎と始が離れて暮らす必要は、これでなくなった。

第30話だけを結末として見れば、長年一人で代償を払い続けた剣崎も、ようやく救われたことになる。

ジオウ30話は剣最終回を台無しにしたのか

ここまでであれば、ブレイド編は『剣』の結末を明るい形へ上書きした物語に見える。

そのため、第30話の展開を蛇足や原作最終回の否定と感じた人がいても不思議ではない。

剣崎は、始と世界を救うために人間であることを捨てた。それほど重い決断によって成立した結末が、別作品のアナザーライダーに力を吸収されることで解決してしまう。

剣崎と始が自分達で新しい解決方法を見つけたわけでもない。

原作の苦い余韻を大切にするほど、外部から突然与えられた救済に見えてしまう部分はある。

ただ、ジオウ30話によって剣崎の選択が間違いになったわけではない。

第30話の救済が訪れるまで、剣崎の選択が世界を守り続けてきた。剣崎が始を封印しなかったからこそ、始は天音達と共に人間として生きる時間を得られた。

2005年の時点で、剣崎が他の方法を選べたわけでもない。

原作最終回は、あの時点で剣崎がつかみ取れる最高の結末だった。ジオウ30話は、それを誤りとして修正したのではない。

正しかった選択の代償を、いつまでも剣崎一人へ払わせ続ける必要はないと示したのだ。

しかも『ジオウ』もまた、決められた未来に抗う物語である。

ソウゴは最低最悪の魔王になる未来と、ゲイツに倒される未来のどちらも選ばなかった。ゲイツやウォズと共に、新しい未来を作る第三の道を選ぶ。

その答えが形になったものこそ、ジオウ、ゲイツ、ウォズの三人が一つになるジオウトリニティだった。

『剣』最終回では、剣崎が与えられた二択を拒んで第三の道を作った。『ジオウ』のブレイド編でも、ソウゴ達が決められた未来の外側へ踏み出す。

ブレイド編でトリニティが誕生したのは、単に新フォームを登場させる時期だったからではない。

運命に答えを決めさせず、自分で第三の未来を選ぶ。

この共通点があったからこそ、剣崎と始の物語と、ソウゴ達の物語が同じ回で結びついたのである。

完結後に判明したジオウ世界の本当の構造

ここまでは、第30話が放送された時点での話だ。

しかし『ジオウ』本編の完結後から振り返ると、ブレイド編を『剣』本編から一直線につながった後日談として扱うことはできない。

『ジオウ』の終盤では、それぞれの平成ライダーに独立した世界が存在していたことが判明する。

ソウゴ達が暮らしていたのは、すべてのライダーが最初から同居している巨大な一つの世界ではない。独立したライダー世界が『ジオウの世界』へ融合していく途中だった。

第48話では、『仮面ライダービルド』のスカイウォールや『仮面ライダーW』の風都タワーが同じ世界へ出現する。各作品の怪人も入り乱れ、世界の境界そのものが失われていった。

公式あらすじでも、それぞれのライダー世界が融合し始めていたことが明記されている。

参考:仮面ライダーWEB『仮面ライダージオウ』第48話

この設定をブレイド編まで遡って考えると、本物のブレイドとアナザーブレイドが共存できた理由も見えてくる。

『剣』の歴史を歩んできた剣崎と始が、アナザーブレイドの存在する『ジオウ』の2019年へ流れ込んできた。

同じ歴史の中に本物とアナザーが存在していたのではなく、別々の世界に属していた歴史が重なり始めていたと考えれば、公式が触れた新しいパラドックスにも一応の説明がつく。

ただし、世界融合がブレイド編から始まったと公式に明言されたわけではない。

ここからは考察になるが、世界融合の影響が物語上で急速に表面化し始めた転換点が、ブレイド編だったのではないだろうか。

ブレイド編以降、アギトや響鬼、カブトなど、原作の歴史を経験したレジェンド達が、現在も仮面ライダーとして存在する形で登場する。

初期のようにアナザーライダーが元の歴史を単純に置き換えるのではなく、別作品の歴史が2019年の『ジオウ』世界へそのまま接続されていく。

第29話からレジェンド編の見せ方が変わったのは、最終局面の世界融合へ向かう前触れだったと考えられる。

最終話で融合時空は破壊され歴史が作り直された

スウォルツとの最終決戦において、ソウゴはゲイツとツクヨミを失い、ついにオーマジオウへ変身した。

オーマジオウの力でスウォルツを倒した後、ソウゴには王としてその世界へ君臨する道も残されていた。

けれどソウゴは、一人で王になることを選ばなかった。

戦いの勝利は、ゲイツ、ツクヨミ、ウォズ達と共につかんだものだ。仲間がいなくなった世界で自分だけが王になっても意味がない。

そこでソウゴは、オーマジオウが持つ時空の破壊と創造の力を使い、歴史そのものを作り直した。

融合していた時空は消滅し、各ライダーの世界は、新たに加わったツクヨミの世界を含む21個の世界として再び分離していく。

東映公式の最終話振り返りでも、融合していたライダー世界が21個の世界として分離され、すべてが作り直された世界でソウゴの新しい物語が始まったと説明されている。

参考:仮面ライダーWEB『LASTの振り返り』

これは、時計の針を単純に一年前へ戻しただけではない。

再構成後のソウゴは再び高校三年生になり、ゲイツは未来から来た戦士ではなく明光院景都という同級生になった。ツクヨミ、ウール、オーラも、それまでとは異なる立場で同じ学校へ通っている。

過去の出来事をなかったことにして元の状態へ戻したのではなく、人物の立場や関係まで組み替えた新しい歴史を作ったのである。

東映の常磐ソウゴ人物図鑑でも、ソウゴが融合した時空を破壊し、新たな21の世界を創造したことが記載されている。

参考:仮面ライダーWEB 常磐ソウゴ

それでもソウゴの王様になるという夢は残っている。

すべてを経験した記憶がそのまま保存されているわけではないが、物語は完全に第1話以前へ戻ったわけでもない。

再びソウゴが王になるのか。今度はどのような道を選ぶのか。

テレビ本編の一年間を終えた後、新しい条件でもう一度スタートラインへ立ったというべきだろう。

再構成後の歴史ではジオウ30話が発生していない

この世界再構成によって、ブレイド編の扱いも変わる。

第30話の救済が再構成後にも残ったのかどうかという問題ではない。

第30話を含む融合時空の歴史そのものが破壊され、新しい歴史へ作り直された。再構成後の『剣』世界では、アナザーブレイド事件が発生したとは描かれていない。

剣崎と始が2019年に再会したことも、ジョーカーの力をアナザーブレイドに吸収されたことも、ブレイドとカリスの力をライドウォッチへ譲渡したことも、再構成後の歴史では明示されていない。

だから、救済だけが取り消されたと考える必要はない。

第30話が起きた後で二人が再びジョーカーへ戻されたのではなく、第30話へ至る融合時空とは異なる歴史が始まったのだ。

もちろん、再構成前のブレイド編が幻だったわけでもない。

融合時空の中では実際に起きた出来事であり、剣崎と始は確かに一度、戦う宿命から解放された。

しかし、その結末を再構成後の『剣』世界へ持ち込む必要はなくなった。

これによって、『ジオウ』30話と、それ以前に発表されていた小説版『仮面ライダーブレイド』の間に生じていた問題も解消できる。

小説版ブレイドとジオウ30話は矛盾しない

講談社キャラクター文庫の小説版『仮面ライダーブレイド』は、2013年3月7日に発売された。

舞台はテレビシリーズから300年後。

記憶と過去を失ったケンザキとハジメが存在し、アンデッドと仮面ライダーを巡る戦いが再び動き始める。

参考:講談社『小説 仮面ライダーブレイド』

もし『ジオウ』30話を、テレビ版『剣』から続く唯一の時間軸へそのまま置くなら、説明が必要になる。

2019年に剣崎と始がジョーカーの力を失い、人間と同等の存在になったのであれば、なぜ300年後にも二人が存在しているのか。

後からジョーカーの力を取り戻したという設定でもなければ、そのまま両立させることは難しい。

しかし『ジオウ』最終話では、ブレイド編が発生した融合時空が破壊され、各ライダー世界とその歴史が作り直されている。

再構成後の『剣』世界では、第30話の事件が起きたとは示されていない。

ならば、テレビ版『剣』最終回で剣崎と始が二人のジョーカーとなり、その状態のまま300年後の小説版へ進んでも矛盾は発生しない。

ここで注意したいのは、東映や講談社が、再構成後の『剣』世界は必ず小説版へ直結すると発表したわけではないことだ。

公式に確認できるのは、小説版がテレビシリーズの300年後を舞台にしていることまでである。

それでも少なくとも、『ジオウ』30話で人間になったはずだから小説版にはつながらないという問題はなくなる。

『ジオウ』30話は融合時空で成立した結末。小説版はテレビ版『剣』最終回から続く300年後。

二つを同じ時間軸へ無理矢理並べなければ、どちらか一方を否定する必要もない。

再構成後のジオウは新しい王への物語へ進む

世界を作り直したことで、『ジオウ』の物語そのものが完全に終了したわけでもない。

Vシネクスト『仮面ライダージオウ NEXT TIME ゲイツ、マジェスティ』は、テレビシリーズ最終話のその後を描く作品として制作された。

公式発表でも、ゲイツ、ソウゴ、ツクヨミ、ウォズ達が新しい歴史を刻んでいく物語と説明されている。

参考:仮面ライダーWEB『ゲイツ、マジェスティ』製作発表

さらに『RIDER TIME 仮面ライダージオウVSディケイド 7人のジオウ!』と『RIDER TIME 仮面ライダーディケイドVSジオウ ディケイド館のデス・ゲーム』でも、ジオウとディケイドのその後が描かれた。

参考:仮面ライダーWEB『ジオウ』『ディケイド』後日談作品紹介

これらの作品では、世界や歴史が再び揺れ動き、ソウゴとオーマジオウを巡る物語も新しい段階へ進んでいく。

つまり最終話は、すべての可能性を閉じる終着点ではない。

最低最悪の魔王へ至った歴史を終わらせたうえで、ソウゴがもう一度、どのような王になるのかを選び直すスタート地点だった。

第30話を含むテレビ本編の歴史が同じ形で再現されたわけではない。それでも、ソウゴ達が積み上げた関係やライダーとしての可能性は、形を変えながら再び動き始める。

世界の再構成とは、過去の完全な消去ではない。

一度選んだ未来に縛られず、もう一度選び直せるようにすることだったのではないだろうか。

ジオウのブレイド編は正史なのか

結局、『ジオウ』のブレイド編は『仮面ライダー剣』の正史なのか。

この疑問に、単純な肯定か否定だけで答えるのは難しい。

第29話と第30話は、間違いなく公式の映像作品である。剣崎、始、天音もテレビ版と同じ俳優が演じ、『剣』最終回の設定を踏まえた15年後が描かれた。

融合時空の中では、『剣』最終回から続く歴史として成立している。

その意味では、単なる想像や番外編ではない。

一方で、『ジオウ』最終話によって融合時空は破壊され、各世界の歴史は作り直された。再構成後の『剣』世界に、第30話の歴史が残ったとは描かれていない。

そのため、ブレイド編をテレビ版『剣』の唯一かつ恒久的な後日談と呼ぶこともできない。

最も実態に近いのは、世界融合によって一時的に接続された『剣』の未来、あるいは『ジオウ』世界の中で実現した第二の結末という位置づけだろう。

『剣』本編の結末には、剣崎が始と世界を救った代わりに、一人で放浪を続ける未来がある。

小説版には、その運命が300年後まで続いた未来がある。

そして『ジオウ』には、世界が融合していた一瞬だけ、剣崎と始が共に宿命から解放された未来がある。

どれか一つを本物にするため、他を偽物として切り捨てる必要はない。

むしろ複数の未来が成立するところに、時空と歴史を扱った『ジオウ』らしさがある。

ジオウのブレイド編は消えた救済だからこそ美しい

最終話で歴史が作り直されたなら、第30話の救済には意味がなかったのか。

わたしは、そうは思わない。

剣崎と始がジョーカーの力から解放された時間は、融合時空の中で確かに存在した。

剣崎は、始と世界を救うために人間を捨てた。その剣崎が人間と同じ赤い血を流し、ようやく未来へ進めると笑う。

始もまた、戦う運命におびえることなく、天音に何かあれば駆けつけると伝えられるようになった。

長く続いた物語の中で、二人が同時に救われた瞬間は第30話にしかない。

それが後に再構成される歴史だったとしても、作品が視聴者へ見せた答えまで消えるわけではない。

『ジオウ』は『剣』の結末を修正したのではない。

剣崎の選択を尊重したまま、その先に救いがあってもいいと示した。

そして最後には、その救済を本来の『剣』世界へ固定せず、小説版を含む別の未来が続く余地も残した。

ブレイド編は、何もかも丸く収めた完全なハッピーエンドではない。

世界が交わったことで一度だけ開いた出口であり、世界が分かれたことで閉じられた可能性でもある。

だからこそ、原作最終回の苦い美しさも壊していない。

『ジオウ』30話は『剣』の未来を書き換えた物語ではない。剣崎と始にも、戦わずに並んで歩ける未来が存在し得たと証明した物語なのだ。

まとめ

  • 『剣』最終回では、剣崎が第二のジョーカーとなり、世界と始を救った。
  • その代償として、剣崎と始は離れて生き続けることになった。
  • 『ジオウ』30話では、二人のジョーカーの力がアナザーブレイドへ吸収された。
  • 事件後の剣崎と始は赤い血を流し、人間と同等の存在になったと考えられている。
  • ただし、この救済は各ライダー世界が融合していた時空で成立した。
  • 最終話で融合時空は破壊され、歴史と21個の世界が新しく作り直された。
  • 再構成後の歴史では、ジオウ29・30話の事件が発生したとは明示されていない。
  • そのため、テレビ版『剣』最終回から小説版の300年後へつないでも、第30話の人間化とは衝突しない。
  • 『ジオウ』ブレイド編は本来の未来を上書きした後日談ではなく、融合時空で一度実現した第二の結末と考えられる。

『仮面ライダー剣』では、剣崎が運命に勝った。

しかし、その勝利の代償から解放される未来は、本来の世界には用意されていなかった。

複数の世界が交わる『ジオウ』だからこそ、その未来を一度だけ描くことができた。

そして世界が再び分かれたことで、原作の結末も、小説版の300年後も否定せずに残った。

剣崎と始が救われた歴史は、最終話後の世界にそのまま刻まれていないかもしれない。

それでも、二人が並んで未来を見られた瞬間まで、なかったことにはならない。

『ジオウ』ブレイド編とは、世界が交わった一瞬にだけ開かれた、運命の檻からのもう一つの出口だったのである。

『ジオウ』ブレイド編のよくある疑問

ジオウ30話で剣崎と始は人間に戻ったのか

二人は人間と同じ赤い血を流し、東映公式も人間と同等の存在になったと考えられると説明している。ただし、完全な人間になったとまでは断定されていない。少なくとも、第30話時点ではジョーカーの力と戦う宿命から解放されたと判断できる。

最終話後もブレイド編の救済は残っているのか

救済だけが残った、あるいは救済だけが取り消されたという描写はない。最終話では、ブレイド編を含む融合時空の歴史そのものが破壊され、新しい歴史と21個の世界が作られた。再構成後の『剣』世界で第30話が発生したとは明示されていない。

小説版ブレイドとジオウ30話は矛盾しないのか

同じ時間軸へ直列に置けば説明が必要になる。しかし第30話は再構成前の融合時空で起きた出来事であり、新しく分離した『剣』世界では発生したと示されていない。テレビ版『剣』最終回から小説版の300年後へつないでも、第30話との矛盾は発生しない。

ジオウのブレイド編は正式な完結編なのか

公式映像作品として、剣崎と始が救われる一つの結末を描いている。ただし、再構成後の『剣』世界へ恒久的に継承された唯一の後日談ではない。『ジオウ』世界の中で実現した、もう一つの完結編と表現するのが最も近い。

情報ソース

※世界融合がブレイド編から始まったという公式発表は確認できない。本記事では、第29話以降の描写変化と最終盤で判明した世界構造を照合し、融合の影響がブレイド編から明確に表面化した可能性を考察している。

※再構成後の『剣』世界が小説版へ直結すると公式に発表されたわけではない。本記事の結論は、第30話が再構成後の歴史で発生したとは明示されていないため、テレビ版最終回から小説版へつないでも矛盾しないという整理である。

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