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荒川稔久が『仮面ライダーマイス』脚本に!クウガ以来26年ぶりメインライターの経歴と作風

2026年8月4日、『仮面ライダーマイス』のメインライターが発表されました。

その名前は、荒川稔久。

『仮面ライダークウガ』を知る人にとっては、胸がざわつかずにはいられない発表です。五代雄介の笑顔と、その奥に積み重なっていく痛み。怪人との戦いだけではなく、戦いによって揺らぐ人々の日常まで見つめた脚本家が、26年ぶりに仮面ライダーの一年を担います。

ただし、荒川稔久氏を「『クウガ』の脚本家が帰ってきた」という一言だけで紹介するのは、あまりにも惜しいでしょう。

荒川氏は『クウガ』以降も、『爆竜戦隊アバレンジャー』『特捜戦隊デカレンジャー』『海賊戦隊ゴーカイジャー』『非公認戦隊アキバレンジャー』『魔進戦隊キラメイジャー』など、表情の異なる特撮作品を手掛けてきました。

近年には、青春ガールズラブコメディ『わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ!』でシリーズ構成・脚本を担当しています。

静かな人間ドラマも、個性のぶつかり合う群像劇も、特撮のお約束を笑いへ変えるメタコメディも書く。その振り幅を知るほど、『マイス』が単純な「令和版クウガ」では終わらないことが見えてきます。

この記事では、脚本家・荒川稔久氏の経歴と作風を振り返りながら、なぜ『仮面ライダーマイス』への就任がこれほど注目されているのかを掘り下げます。

期待すべきなのは、『クウガ』と同じ物語ではありません。

『クウガ』から26年間、さまざまなヒーローと人間関係を描いてきた荒川稔久氏が、2026年の仮面ライダーにどのような正義を選ばせるのか。そこが、この発表の本当の面白さです。

荒川稔久が『仮面ライダーマイス』のメイン脚本に決定

仮面ライダーのメイン担当は『クウガ』以来26年ぶり

2026年8月4日に行われた『仮面ライダーマイス』の制作発表で、荒川稔久氏がメインライターを務めることが明らかになりました。

『仮面ライダーマイス』は、2026年9月6日から放送される令和仮面ライダー第8作です。

主人公は、ネズミをモチーフとする仮面ライダーマイスへ変身する青年・音澄宙。古くから続く名家・瑞生家に仕える「マイスター」であり、幼なじみの令嬢・瑞生優菜との約束を果たすため、人間を襲う怪物「不可思議」と戦います。

荒川氏が仮面ライダーシリーズでメインライターを担当するのは、2000年に放送を開始した『仮面ライダークウガ』以来、26年ぶりです。

なお、仮面ライダー作品への参加そのものが26年ぶりという意味ではありません。荒川氏は『クウガ』の後にも、『仮面ライダーW』第7話・第8話「Cを探せ」の脚本を担当しています。

今回が26年ぶりなのは、一本の事件を描くゲスト脚本ではなく、主人公の出発から一年後の結末まで、シリーズ全体の軸を担うメインライターへの就任です。

音澄宙がなぜ変身し、誰と出会い、何を正義と呼ぶようになるのか。その一年を荒川氏が描きます。

『クウガ』とは違い、多くのフォームと仮面ライダーが登場する

制作発表に寄せたビデオメッセージで、荒川氏は『クウガ』と『マイス』の違いについて語っています。

『クウガ』では、一つのフォームや変身に至る理由をじっくり突き詰めていた一方、『マイス』では次々に異なるフォームや仮面ライダーが登場するとのこと。登場人物の人数と個性の幅に圧倒されながらも、楽しく脚本を書いていると語りました。

『マイス』には、ネコをモチーフとする仮面ライダーマオウや仮面ライダーリドに加え、干支をモチーフとする仮面ライダーたちも登場します。

一人の仮面ライダーと一つひとつの変身を、時間をかけて描いた『クウガ』とは、物語の構造が大きく異なります。

荒川氏自身も、その違いに戸惑いながら現在の仮面ライダーへ向き合っているのです。

フォームや仮面ライダーの数が増えれば、画面は華やかになります。しかし、その反面、なぜその人物が変身するのか、なぜその力が必要なのかという物語が薄くなる危険もあります。

『クウガ』で変身の理由を大切にした荒川氏が、多くのライダーとフォームが登場する現在のシリーズで、どのように人物の感情を積み上げるのか。『マイス』を見るうえで、まず注目したい部分です。

音澄宙は個人的な動機から仮面ライダーになる

また、主人公・音澄宙が仮面ライダーへ変身する理由について、世界を救う使命のような大きな大義だけではなく、比較的個人的な動機から始まることも明かされています。

そして、その宙が自分にとっての正義とは何なのかを、一年間かけて突き詰めていくと説明しました。

この発言は、『マイス』を読み解くうえで最初の重要な鍵になります。

宙は、物語の開始時点ですでに完成された正義の味方ではありません。

最初にあるのは、世界や人類を救う使命ではなく、瑞生優菜との約束という、自分に近い場所から生まれた戦う理由です。

一人の大切な相手を守ることと、多くの人々を守ることは、いつも同じ方向を向くとは限りません。宙自身の願いと、ほかの仮面ライダーが掲げる正義が食い違う場面もあるでしょう。

もちろん、具体的な展開はまだ発表されていません。

それでも荒川氏が「一年間かけて突き詰める」と語った以上、宙の正義は、最初から与えられた答えではないことが分かります。

誰かと出会い、自分とは違う考えに触れ、ときには選択を間違えながら、宙自身が形にしていくものです。

『マイス』で変わっていくのは、フォームや戦闘力だけではありません。

個人的な動機から始まった変身が、一年後にどのような意味を持っているのか。そこが物語の背骨になるでしょう。

『マイス』を「令和版クウガ」と決めつけてはいけない

荒川稔久氏がメインライターと聞けば、『マイス』にも『クウガ』のような人間ドラマを期待したくなります。

その期待は自然です。わたしも、荒川氏が再び仮面ライダーの「変身する理由」と「正義」を一年かけて描くことに、大きな意味を感じています。

しかし、『マイス』を放送前から「令和版クウガ」と呼ぶのは早すぎます。

一人の仮面ライダーを中心に据えた『クウガ』に対し、『マイス』では多くのフォームと仮面ライダーが交差します。シリーズを取り巻く環境も、作品に求められるテンポも、26年前とは変わりました。

そして何より、荒川氏自身が『クウガ』の後も、多くの作品を書き続けています。

『デカレンジャー』で異なる個性を持つ刑事たちを動かし、『ゴーカイジャー』で長いシリーズの歴史と向き合い、『アキバレンジャー』で特撮ファンの知識そのものを笑いへ変えました。

『キラメイジャー』では、他人と違う感性を直すべき欠点として扱わず、その人だけの輝きとして肯定しています。

『マイス』へ帰ってくるのは、2000年当時の荒川稔久氏ではありません。

26年間に書いたすべての物語を背負った、現在の荒川稔久氏なのです。

脚本家・荒川稔久とは?仮面ライダーからスーパー戦隊までの経歴

『仮面ライダーBLACK』から『クウガ』『W』へ

荒川稔久氏は、特撮とアニメを中心に数多くの作品を手掛けてきた脚本家です。

仮面ライダーシリーズには、1987年放送の『仮面ライダーBLACK』から参加しました。

その後、2000年の『仮面ライダークウガ』でメインライターを担当。全49話のうち39話を執筆し、五代雄介がクウガになる物語の始まりから、ダグバとの決戦、その後を描く最終話まで、作品の大部分を支えました。

五代がなぜ戦うのか。人を守るために暴力を使うことと、どう向き合うのか。戦いの終わった後に、何を取り戻すのか。

作品の一年を貫く問いを、脚本の中心で書き続けた人物です。

2009年の『仮面ライダーW』では、第7話・第8話「Cを探せ」を担当しました。ダンスを題材にした軽快な前後編で、『クウガ』の重い印象だけでは分からない、荒川脚本のコメディやテンポのよさを見ることができます。

スーパー戦隊では複数作品のメインライターを担当

荒川氏の経歴を語るうえで、スーパー戦隊シリーズは外せません。

  • 『爆竜戦隊アバレンジャー』
  • 『特捜戦隊デカレンジャー』
  • 『海賊戦隊ゴーカイジャー』
  • 『非公認戦隊アキバレンジャー』
  • 『魔進戦隊キラメイジャー』

恐竜、宇宙警察、海賊、オタク文化、宝石と、作品のモチーフも雰囲気も大きく異なります。

『アバレンジャー』では家族と命をめぐるドラマを描き、『デカレンジャー』では性格も正義感も異なる刑事たちを、一つのチームとして動かしました。

『ゴーカイジャー』では、歴代スーパー戦隊の力を受け継ぐ海賊たちを通して、長く続くシリーズの歴史そのものを物語へ組み込んでいます。

一方、『アキバレンジャー』では、変身、名乗り、追加戦士、路線変更といった特撮のお約束を、ファンだからこそ笑えるメタ表現へ変えました。

そして『キラメイジャー』では、一人ひとりの違いを欠点ではなく、その人だけの輝きとして描いています。

この作品群を見るだけでも、荒川氏を「『クウガ』のような重い脚本を書く人」と一つの印象へ閉じ込められないことが分かります。

映画やVシネマでもヒーローのその後を描いてきた

荒川氏は、テレビシリーズだけでなく、映画やVシネマ、周年作品でも脚本を担当しています。

『特捜戦隊デカレンジャー THE MOVIE フルブラスト・アクション』『スペース・スクワッド ギャバンVSデカレンジャー』『爆竜戦隊アバレンジャー20th 許されざるアバレ』『特捜戦隊デカレンジャー20th ファイヤーボール・ブースター』などが代表例です。

10年後、20年後のヒーローを書くとき、昔と同じ変身や名乗りを再現するだけでは足りません。

かつて掲げた正義を、今も信じているのか。年月を経て立場や家族が変わった後も、同じように戦えるのか。

荒川氏は、ヒーローが活躍した一年だけではなく、その後にも続いていく人生を書いてきました。

荒川稔久の脚本は何がすごい?代表作から見える作風

ここからは、荒川氏の担当作品を横断して見えてくる、わたしなりの考察です。

人物が戦う理由を曖昧にしない

荒川脚本では、登場人物が物語を進めるためだけに行動しません。

なぜ戦うのか。誰を守りたいのか。なぜ、その選択だけは譲れないのか。

人物の内側にある理由を定めたうえで、物語を動かします。

『クウガ』では、五代雄介が人々の笑顔を守ろうとする一方、人を傷つけることへの苦しみも描かれました。

『ゴーカイジャー』では、最初から地球を守る使命を持っていなかった海賊たちが、出会いを重ねる中で自分たちの守るものを見つけていきます。

最初から完成した正義を持つ人物ではなく、物語の中で戦う理由を選び直していく人物を描くのです。

個人的な動機から変身し、一年をかけて自分の正義を探す音澄宙にも、この作風がどのように表れるのか注目されます。

チームの中で一人ひとりを埋もれさせない

荒川氏は、複数の人物を同時に動かす群像劇を何度も手掛けてきました。

『デカレンジャー』のメンバーは、全員が宇宙警察の刑事ですが、事件への向き合い方は同じではありません。

感情のまま走る者もいれば、規則と冷静さを重んじる者もいる。同じ正義の側に立っていても、その正義を実行する方法は一人ずつ違います。

荒川脚本では、チームだから最初から分かり合っているのではなく、考え方の違いが衝突を生みます。

そして、違いが消えるから仲間になるのではありません。

相手が自分とは違うと知ったうえで、それでも共に戦うことを選ぶ。その過程がチームを作ります。

多数の仮面ライダーが登場する『マイス』でも、一人ひとりの個性を設定だけで終わらせず、それぞれの正義が生まれた理由まで描けるかが重要になるでしょう。

シリアスとコメディを行き来しても、人物の本気を笑わない

『クウガ』と『アキバレンジャー』は、表面だけを見れば正反対の作品です。

一方は暴力と日常を静かに見つめ、もう一方は特撮のお約束とオタク文化を、ネタとメタが渋滞するほど笑いへ変えています。

それでも、両作品には共通するものがあります。

登場人物が本気で大切にしているものを、物語そのものは笑わないことです。

五代の「みんなを笑顔にしたい」という願いも、アキバレンジャーたちのスーパー戦隊への愛情も、外から見れば不器用で、青臭く見えるかもしれません。

荒川氏は、その不器用さをコメディにすることはあっても、信念そのものを冷笑しません。

作品に合わせて、静かなドラマにも、勢いのある笑いにも姿を変える。しかし、その人物が本気で信じているものだけは裏切らない。

荒川稔久氏の変幻自在さを支えているのは、この人間へのまなざしなのだと、わたしは考えます。

荒川稔久と『わたなれ』|百合姫を毎月読む脚本家

『わたなれ』でシリーズ構成・脚本を担当

荒川稔久氏の近年の仕事として注目したいのが、アニメ『わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ!』です。

荒川氏は、アニメ版のシリーズ構成・脚本を担当しました。

『わたなれ』は、友達を作って高校デビューを成功させたい甘織れな子と、れな子へ恋愛感情を向ける王塚真唯を中心に、少女たちの友情と恋愛を描くガールズラブコメディです。

れな子は真唯と親友になれたと喜びますが、真唯が望んでいたのは友達ではなく恋人でした。

友達でいたいれな子と、恋人になりたい真唯。二人の認識の違いから物語が動き始め、ほかの少女たちとの関係も加わっていきます。

『クウガ』やスーパー戦隊から荒川氏を知った人にとって、百合アニメのシリーズ構成を担当したことは意外に見えるかもしれません。

しかし、荒川氏にとって百合は、『わたなれ』で初めて仕事として触れたジャンルではありませんでした。

毎月欠かさず『コミック百合姫』を購入

『わたなれ』の制作背景を紹介した記事では、荒川氏が毎月欠かさず『コミック百合姫』を購入していることが明かされています。

さらに、アニメ版『わたなれ』の脚本を一人で全話担当したいと、自ら申し出たことも紹介されていました。

その記事では、荒川氏を「こじらせた百合好き」と表現しています。

これは、荒川氏本人がインタビューで自称した言葉ではなく、『わたなれ』の制作背景を伝える記事における人物紹介です。

ただ、毎月『コミック百合姫』を読み続け、全話を自分で担当したいと申し出たことから、荒川氏が百合作品へ強い関心を持っていたことは分かります。

『わたなれ』は、荒川氏が百合好きだという人物像だけでなく、女性同士の恋愛を中心とした作品を、シリーズ全体にわたって実際に手掛けた経歴として重要です。

荒川稔久が百合好きでも、『マイス』の百合展開は未発表

荒川氏が『わたなれ』を担当し、『コミック百合姫』を毎月読んでいるからといって、『仮面ライダーマイス』でも女性同士の恋愛が描かれると決まったわけではありません。

2026年8月4日時点で、『マイス』に百合要素が登場するという公式発表は出ていません。

また、当然ながら『マイス』の主人公・音澄宙は男性です。荒川氏の百合への関心を、宙と幼なじみの瑞生優菜との関係へ結びつける話でもありません。

それでも『マイス』の女性キャラクター同士の関係に注目する声があるのは、荒川氏の経歴とは別に、近年の東映特撮で女性コンビを印象的に描く例が続いているからです。

東映特撮に見られる女性コンビと百合的な描写

令和以降の東映特撮では、女性キャラクター二人の関係を、物語の中で強く押し出す作品が散見されます。

すべてが恋愛として描かれているわけではありません。

親友、相棒、敵対から始まる救済、強い憧れや親愛。恋愛とは明言しないまま、視聴者が百合的な魅力を感じ取れる関係もあります。

その一方で、配信作品では女性同士の「好き」という言葉やキスまで、直接描いた例も登場しました。

『仮面ライダーリバイス』の五十嵐さくらと夏木花

『仮面ライダーリバイス』では、五十嵐さくらと、デッドマンズの女王・アギレラの関係が長く描かれました。

二人は当初、仮面ライダージャンヌと敵組織の幹部として対立します。しかし、さくらはアギレラを倒すのではなく、彼女を苦しみから救う道を選びました。

悪魔と分離したアギレラは、夏木花という名前で新しい人生を始めます。その後は、さくらと同じ側に立って戦う仲間となりました。

制作側は二人を「二輪の花」と表現し、一つの茎から二輪の花を咲かせるニリンソウの花言葉「ずっと離れない」にも触れています。

さらに、二人を中心とした配信作品『仮面ライダージャンヌ&仮面ライダーアギレラ withガールズリミックス』も制作されました。

ただし、本編や配信作品で、さくらと花が恋人同士だと明言されたわけではありません。

敵対、救済、親愛、共闘を経て築かれた女性コンビであり、恋愛と断定するよりも、百合的に受け取れる余白を持つ関係と見るのが適切でしょう。

『超宇宙刑事ギャバン インフィニティ』の祝喜輝と高鳴寿

『超宇宙刑事ギャバン インフィニティ』には、ギャバン・ルミナスへ蒸着する祝喜輝と、その相棒捜査官である高鳴寿が登場します。

二人はハイスクール時代からの大親友で、「キキ」「コト」と呼び合う仲良しコンビとして紹介されました。

こちらも、現時点で恋愛関係として描かれているわけではありません。

それでも、女性ヒーローと女性捜査官が二人で一つのチームを組み、学生時代から続く友情を土台に事件へ挑む構図は印象的です。

女性が男性主人公を支えるのではなく、女性二人の関係そのものをチームの中心へ置いた例といえます。

『ヨドンナ』シリーズでは女性同士の愛情を直接描いた

東映特撮ファンクラブで配信された『ヨドンナ』シリーズでは、さらに直接的な表現へ踏み込んでいます。

『ヨドンナ3 ヨドンナのバレンタイン』では、愛情を理解できないヨドンナがミコと出会い、「愛」とは何かを知っていきます。

作中では、ヨドンナがミコへ「好きだ」と伝え、二人がキスをする場面も描かれました。

シリーズ第1作でも、ヨドンナと柿原瑞希のキスシーンが登場しています。

さくらと花、喜輝と寿が、親友や相棒の中に百合的な魅力を感じさせる女性コンビだとすれば、『ヨドンナ』は女性同士の愛情を、より直接的に描いた作品です。

日曜朝のテレビ本編では友情や相棒関係として余白を残し、配信作品では恋愛やキスまで踏み込む。媒体によって表現の強さは異なりますが、東映特撮における女性同士の関係は、以前より幅広くなっています。

荒川稔久と近年の東映特撮、二つの流れが『マイス』で重なる

『マイス』の女性キャラクター同士の関係に注目が集まる理由は、二つあります。

一つは、荒川氏が『コミック百合姫』を毎月読み、『わたなれ』で女性同士の恋愛を描くシリーズ構成・脚本を担当したことです。

もう一つは、近年の東映特撮が、さくらと花、喜輝と寿のような女性コンビを打ち出し、『ヨドンナ』では女性同士の愛情へ直接踏み込んできたことです。

荒川氏の経歴と、東映特撮側の流れは、もともと別の話です。

その二つが『仮面ライダーマイス』で重なったため、印象的な女性コンビが描かれるのではないかと期待する声が生まれています。

ただし、現段階で百合展開が約束されたわけではありません。物語の中心となる女性コンビが登場するかどうかも未発表です。

事実として確認できるのは、女性同士の恋愛を手掛けた経験のある脚本家と、女性コンビを描いてきた東映特撮の蓄積がそろったことまでです。

『仮面ライダーマイス』に期待される荒川稔久の群像劇

十二支同盟の人数を、設定だけで終わらせない

『マイス』には、多くの仮面ライダーが所属する十二支同盟が登場します。

荒川氏は、登場人物の人数と個性の幅に圧倒されながらも、さまざまなタイプの人物を書けることを楽しんでいると語りました。

この言葉から期待したいのは、十二支同盟が単なるライダーの一覧で終わらないことです。

同じ組織に所属し、同じ不可思議と戦っていても、全員が同じ正義を信じているとは限りません。

荒川氏は『デカレンジャー』や『ゴーカイジャー』で、考え方も目的も異なる人物たちを一つのチームとして動かしてきました。

その経験が生きれば、十二支同盟の人数の多さは弱点ではなく、それぞれの正義をぶつけるための強みになります。

『マイス』は荒川稔久版『仮面ライダー龍騎』になるのか

Xでは、多くの仮面ライダーが登場することから、「荒川稔久氏による『仮面ライダー龍騎』のような作品になるのではないか」という予想も見られました。

複数の仮面ライダーが異なる事情や正義を抱えて登場するなら、『龍騎』を連想する人がいるのは自然です。

ただし、『マイス』がライダー同士の生存競争を描く作品になるとは発表されていません。

十二支同盟の内部で対立が起こるのか、大三勢力が登場するのか、利害でマイスと協力関係を築くのかも、現時点では分かりません。

多人数ライダーという共通点だけで、『龍騎』と同じ物語になると決めつけるのは早いでしょう。

注目すべきなのは、ライダー同士が戦うかどうかではありません。

同じ敵を前にしながら、なぜ違う選択をするのか。その人物が信じる正義の理由を、荒川氏がどこまで描くのかです。

個人的な動機は、一年後にどのような正義へ変わるのか

『マイス』を考えるうえで、最も重要なのは音澄宙が変身する理由です。

荒川氏は、宙が世界を救う使命のような大きな大義ではなく、比較的個人的な動機から仮面ライダーになると明かしています。

そして、その宙が自分にとっての正義とは何なのかを、一年間かけて突き詰めていくと説明しました。

この発言は、『マイス』を読み解くうえで最初の重要な鍵になります。

瑞生優菜との約束から始まる戦いが、最後まで一人だけを守るためのものなのか。それとも、多くの人や異なる立場のライダーと出会うなかで、別の意味を持つようになるのか。

『マイス』の一年で変わるのは、フォームや戦闘力だけではありません。

音澄宙が何を守ることを正義と呼ぶのか。その言葉の意味そのものが変化していくのでしょう。

まとめ|荒川稔久が26年ぶりの仮面ライダーで描く正義

荒川稔久氏が、『仮面ライダーマイス』のメインライターに就任しました。

仮面ライダーシリーズのメインを担うのは、『仮面ライダークウガ』以来26年ぶりです。

しかし、荒川氏を「『クウガ』の脚本家」という一言だけで説明することはできません。

『デカレンジャー』で個性の違う刑事たちを動かし、『ゴーカイジャー』で使命を持たなかった海賊たちをヒーローへ育て、『アキバレンジャー』で特撮ファンの愛情をメタコメディへ変えました。

『キラメイジャー』では一人ひとりの違いを輝きとして肯定し、『わたなれ』では女性同士の恋愛を描いています。

その26年間を経た荒川氏が、『マイス』では多くのフォームと仮面ライダーに向き合います。

主人公・音澄宙は、世界を救う大義ではなく、比較的個人的な動機から変身します。

そして一年をかけて、自分にとっての正義とは何なのかを突き詰めていきます。

だから『マイス』で見るべきなのは、『クウガ』と同じ物語が始まるかどうかではありません。

個人的な願いから戦い始めた宙が、異なる正義を持つライダーたちと出会い、最後には何を守るために変身するのか。

仮面ライダーへの帰還とは、過去へ戻ることではありません。

26年分の物語を背負い、まだ見たことのない正義へ進むことです。

『マイス』が始まったら、まずは音澄宙が変身する個人的な理由に注目してみてください。

その理由が一年後、どのような言葉へ変わっているのか。そこに、荒川稔久氏が再び仮面ライダーのメインライターを務める意味が現れるはずです。

本記事は2026年8月4日時点で確認できた発表内容、公開済み作品、制作背景を紹介した記事をもとに執筆しています。『仮面ライダーマイス』の未発表部分は筆者による考察またはファンの予想であり、今後の公式発表や放送内容によって更新される可能性があります。

荒川稔久と『仮面ライダーマイス』に関するFAQ

荒川稔久氏は『仮面ライダーマイス』で何を担当しますか?

荒川稔久氏は、『仮面ライダーマイス』のメインライターを担当します。主人公・音澄宙の出発から一年後の結末まで、シリーズ全体の物語を支える立場です。

荒川稔久氏が仮面ライダーのメインライターを務めるのは何年ぶりですか?

『仮面ライダークウガ』以来、26年ぶりです。ただし、仮面ライダー作品への参加そのものが26年ぶりという意味ではありません。『クウガ』の後には、『仮面ライダーW』第7話・第8話「Cを探せ」の脚本も担当しています。

荒川稔久氏は『仮面ライダークウガ』を何話担当しましたか?

『仮面ライダークウガ』全49話のうち、39話を担当しました。物語の序盤だけではなく、五代雄介がクウガになる始まりから、ダグバとの決戦、その後を描いた最終話まで執筆しています。

音澄宙は、なぜ仮面ライダーマイスへ変身するのですか?

荒川氏によると、音澄宙は世界を救う使命のような大きな大義ではなく、比較的個人的な動機から仮面ライダーになります。

発表されている人物設定では、宙は瑞生家に仕えるマイスターであり、幼なじみの瑞生優菜との約束を果たすために戦います。その宙が自分にとっての正義とは何かを、一年間かけて突き詰めていく物語です。

『仮面ライダーマイス』は「令和版クウガ」になるのですか?

現時点では、「令和版クウガ」になるとは発表されていません。

『クウガ』が一人の仮面ライダーと各フォームを時間をかけて描いたのに対し、『マイス』には多くのフォームと仮面ライダーが登場します。変身する理由や正義を重視する点には共通性が見られますが、物語の構造は大きく異なります。

『仮面ライダーマイス』に百合要素はありますか?

2026年8月4日時点で、『マイス』に女性同士の恋愛や百合要素が登場するという公式発表はありません。また、主人公の音澄宙は男性です。

女性キャラクター同士の関係に注目する声があるのは、荒川氏が『わたなれ』を担当し、『コミック百合姫』を毎月購入していることに加え、近年の東映特撮で女性コンビや女性同士の愛情を印象的に描く例が続いているためです。

荒川稔久氏は『わたなれ』で何を担当しましたか?

アニメ『わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ!』で、シリーズ構成・脚本を担当しました。

制作背景を紹介した記事では、荒川氏が毎月欠かさず『コミック百合姫』を購入していることや、同作の脚本を一人で全話担当したいと自ら申し出たことも明かされています。

荒川稔久氏の代表作には何がありますか?

仮面ライダーでは『仮面ライダーBLACK』『仮面ライダークウガ』『仮面ライダーW』に参加しています。

スーパー戦隊では、『爆竜戦隊アバレンジャー』『特捜戦隊デカレンジャー』『海賊戦隊ゴーカイジャー』『非公認戦隊アキバレンジャー』『魔進戦隊キラメイジャー』などでメインライターを務めました。

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