鹿乃つの氏の万博コスプレは、入場自体が禁止されていたわけではなく、公式ルールと界隈の慣習の衝突が炎上の中心でした。
2025年4月22日、コスプレイヤーの鹿乃つの氏は、『ダンジョン飯』のマルシルに扮して大阪・関西万博を訪れた様子をXとnoteで公開しました。
当時の公式FAQ、鹿乃氏本人の説明、関連報道を分けて確認すると、「万博ではコスプレが禁止されていた」という説明は正確ではありません。一方で、入場が可能だったことを理由に、会場内のすべての撮影や投稿まで公式に承認されたと解釈することもできません。
出典:鹿乃つの氏Xアカウント
編集部注:本記事は2025年4月の公開時、鹿乃つの氏本人のXアカウントからリポストされ、大きな反響を得ました。
今回の更新では、当時の記事が提示した「公開されたルールを確認して行動した個人に対し、界隈の暗黙の慣習を根拠とした排除が過剰ではなかったか」という問題意識を残しています。
そのうえで、大阪・関西万博の来場者向け規約、撮影ルール、鹿乃氏本人のnoteとX投稿を中心に、確認できる事実・本人による説明・筆者の考察を明確に分けて再構成しました。
なお、鹿乃氏本人による記事のリポストは、本記事に含まれるすべての記述への同意や、記事内容の公認を意味するものではありません。
この記事を読むと分かること
- 鹿乃つの氏が大阪・関西万博を訪れた経緯
- 当時の万博公式FAQが示していたコスプレ入場の条件
- 鹿乃氏がnoteで説明した着替え、移動、持ち物への配慮
- マルシルのコスプレ来場が規約違反だったのか
- 吉村洋文大阪府知事と横山英幸大阪市長によるリポストの意味
- 公式ルールとコスプレ界隈の暗黙の慣習が衝突した理由
- 行為への批判と、個人への過剰な攻撃を分ける必要性
大阪万博のコスプレ炎上は何があったのか
大阪・関西万博のコスプレ炎上は、公式FAQ上は条件付きで入場可能だったコスプレに対し、SNS上で「公共の場では控えるべきだ」という批判が集まった騒動です。
中心となったのは、鹿乃つの氏が『ダンジョン飯』の登場人物・マルシルのコスプレ姿で会場を訪れ、その写真と体験談を公開したことでした。
日付 出来事 主な確認元
2025年4月22日 鹿乃つの氏がマルシルのコスプレで万博を訪れた写真をXへ投稿 鹿乃つの氏のX投稿
2025年4月22日 来場動機、移動方法、持ち物、現地での体験をまとめたnoteを公開 鹿乃つの氏のnote
2025年4月23日以降 公共の場での版権コスプレや、界隈の暗黙のマナーをめぐる批判が拡大 X上の投稿、関連報道
2025年4月25日 公式FAQや知事・市長のリポストを含む騒動の経緯が報じられる J-CASTニュースなど
鹿乃氏はnoteで、コスプレ姿で入場できることを知り、「マルシルが万博を冒険しているところを見たい」と考えてチケットを購入したと説明しています。
本人の発信によれば、会場内に更衣室がなく、トイレでの着替えも禁止されていたため、ホテルで着替えてからタクシーで移動しました。また、持込禁止物と判断される可能性のある小道具を避けたとも記しています。
投稿後には、「万博はコスプレイベントではない」「禁止されていないだけで歓迎されているわけではない」「版権キャラクターの姿で公共空間へ出るべきではない」といった批判が相次ぎました。
ここで重要なのは、騒動の出発点が、会場で確認された明白な違反行為ではなく、公式ルールとは別に存在するコスプレ文化の自主規制を、どこまで他者にも求めるべきかという対立だったことです。
大阪万博はコスプレ来場を認めていたのか
2025年4月当時、大阪・関西万博は一定の条件を満たすコスプレ姿での入場を可能としていました。
当時の公式FAQでは、コスプレや仮装について、持込禁止物に該当しないものであれば、装着した状態で入場できるという趣旨が案内されていました。
したがって、「万博ではコスプレそのものが禁止されていた」という説明は、公式案内と一致しません。
ただし、コスプレ姿で入場できることと、会場内であらゆる行動が無条件に認められることは別です。
コスプレ姿での入場は可能だった
当時の公式FAQが示していたのは、特別なコスプレ参加券や事前登録を求めるものではなく、通常の来場者として衣装を着用した状態で入場できるという運用でした。
一方で、服装や持ち物が持込禁止物に該当する場合、公序良俗に反する場合、周囲へ不安感や恐怖感を与える場合などには、入場を断られたり、取り外しを求められたりする可能性がありました。
つまり、万博側の方針は「コスプレなら何でもよい」でも「コスプレは全面禁止」でもありません。
正確には、一般来場者と同じ規約に従い、会場の安全と平穏を損なわない範囲で、コスプレ姿の入場を排除しないというものでした。
着替え・撮影・持ち物には制限があった
大阪・関西万博の公式FAQや来場者向け規約では、コスプレ来場者にも関係する複数の制限が設けられていました。
- 会場内にコスプレ専用の更衣室はない
- トイレでの着替えは禁止
- 公序良俗に反する服装や行為は禁止
- 会場の平穏を乱す行為は禁止
- 他の来場者の迷惑になる撮影は禁止
- 持込禁止物に該当する小道具は持ち込めない
- 不安感や恐怖感を与える服装は入場を断られる場合がある
- 顔の大半を覆うマスクなどは取り外しを求められる場合がある
また、万博協会は開幕前の2025年4月10日、会場内での撮影や撮影物の利用に関する注意事項を公表しました。
そこでは、他の来場者へ迷惑となる撮影、営業を目的とした撮影、会場内で撮影した画像や動画の営業目的での掲載などが禁止事項として示されています。
以上から確認できる結論は明確です。
コスプレを装着した状態での入場は可能でしたが、着替え、撮影、持ち物、周囲への配慮には別の条件がありました。
鹿乃つの氏はnoteで何を説明していたのか
鹿乃つの氏は2025年4月22日、万博を訪れた理由や準備、当日の体験、コスプレ来場を考える人への注意点をnoteへまとめました。
以下は第三者機関が調査して認定した内容ではなく、鹿乃氏自身が記録した体験と説明として扱います。
マルシルが万博を冒険する姿を見たかった
鹿乃氏は、コスプレ姿での来場が可能だと知り、「マルシルが万博を冒険しているところを見たい」と考えたことが来場のきっかけだったと説明しています。
コスプレが可能だと知る前は、万博へ行かなくてもよいと考えていたものの、キャラクターと一緒に会場を楽しめるなら訪れたいと思い、チケットを購入したと記しました。
この動機は、万博を政治的な主張の場にしようとしたものではなく、作品の登場人物と異文化や未知の場所を巡るイメージを、コスプレ写真として表現したいというものでした。
もちろん、こうした表現方法を好まない人がいることは否定できません。
しかし、動機への賛否と、公式ルールに反していたかどうかは分けて考える必要があります。
着替えや移動方法にも配慮したと説明
会場内にはコスプレ用の更衣室がなく、トイレでの着替えも禁止されていました。
鹿乃氏はこのルールを確認し、ホテルで衣装を着用したうえで、公共交通機関ではなくタクシーを利用して移動したと説明しています。
また、武器のように見える小道具や、持込禁止物に該当する可能性がある物品は避けたと記しました。
これらは鹿乃氏本人の説明ではありますが、少なくとも、公式ルールを調べずに思いつきで会場へ入ったという経緯ではありません。
むしろ本人のnoteは、これからコスプレ姿で来場する人に対し、会場内で着替えないことや、持ち物の規則を事前に確認することを促す内容になっています。
会場では指摘を受けなかったと記録
鹿乃氏のnoteによれば、会場内では他の来場者から声をかけられ、写真を一緒に撮る場面があった一方、スタッフから衣装や行動について注意を受けなかったとのことです。
また、スタッフや来場者から写真撮影を求められ、好意的な交流があったとも振り返っています。
ただし、これは鹿乃氏本人が経験した範囲の記録です。
「スタッフから注意されなかった」という体験は、会場で重大な問題として扱われなかったことを推測する材料にはなりますが、万博協会が写真、撮影方法、投稿内容、権利関係のすべてを審査し、公式に承認したことを意味しません。
本人の体験談は重要な一次情報ですが、体験談と運営主体による正式な判断は区別する必要があります。
大阪府知事と大阪市長も関連投稿をリポストした
鹿乃氏がnoteを紹介したX投稿は、吉村洋文大阪府知事と横山英幸大阪市長からもリポストされたとJ-CASTニュースが報じています。
この出来事からは、鹿乃氏の発信が万博を肯定的に紹介する投稿として、行政関係者の目にも留まったことが分かります。
一方で、知事や市長によるリポストは、大阪・関西万博を運営する博覧会協会による正式な規約審査ではありません。
- 行政関係者が投稿を共有したこと
- 万博協会が個別の撮影や投稿を正式に承認したこと
この二つは同じではありません。
したがって、リポストを「万博側が鹿乃氏のすべての行動を公認した証拠」と解釈するのは行き過ぎです。
同時に、「現地でも行政関係者からもまったく歓迎されていなかった」と断定することとも整合しません。
鹿乃つの氏の万博コスプレは規約違反だったのか
公開されている一次資料から確認できる範囲では、鹿乃つの氏がマルシルのコスプレ姿で会場へ入場したこと自体は、当時の公式FAQに反していません。
公式FAQは、持込禁止物に該当しない衣装であれば、コスプレや仮装を装着した状態で入場できると案内していました。
鹿乃氏は会場内で着替えず、ホテルからタクシーで移動し、入場時の手荷物検査を通過したと説明しています。
また、本人の記録では、現地スタッフから退場、衣装の取り外し、撮影の中止などを求められたとは記されていません。
ただし、この事実だけを根拠に、次の事項まで断定することはできません。
- 会場内で行われたすべての撮影が個別に審査された
- 写真のSNS投稿を万博協会が公式に許諾した
- 『ダンジョン飯』の権利者が個別のコスプレ利用を承認した
- 法律上または権利上の問題が一切存在しないと確認された
- 現場にいたすべての来場者が好意的に受け止めた
今回確認できた資料の範囲では、『ダンジョン飯』の権利者が鹿乃氏の万博でのコスプレについて、個別に許諾した、あるいは権利侵害だと公式表明した資料は確認できません。
そのため、本記事では「法的にも一切問題がない」「すべての行動が公式に承認された」とは断定しません。
一次資料から導ける結論は、次のように整理できます。
- コスプレ姿での入場自体は当時の公式FAQで認められていた
- 会場内の撮影、着替え、持ち物には別の制限があった
- 鹿乃氏本人はルールを確認して行動したと説明している
- 本人の記録では、現地スタッフから注意を受けていない
- 万博協会が個別の全行為を公式認定した資料は確認できない
- 「明確な規約違反だった」「すべて問題なしだった」の双方を資料以上に断定すべきではない
この整理こそ、今回の騒動を考えるうえで最初に共有すべき土台です。
なぜ公式ルール上可能だったコスプレが炎上したのか
炎上の中心にあったのは、コスプレ入場の可否だけではありません。
主催者が公表したルールを判断基準にする立場と、コスプレ文化が蓄積してきた暗黙の慣習まで守るべきだとする立場が衝突したことが、議論を拡大させました。
「入場可能」と「歓迎されている」は同じなのか
批判の一つは、公式FAQが示したのは「入場を禁止しない」という最低限の扱いにすぎず、コスプレイベントのように積極的に歓迎していたわけではない、というものでした。
確かに、大阪・関西万博はコスプレを主目的とするイベントではありません。
専用の更衣室、撮影エリア、コスプレ参加者向けの詳細なルールが整備された催しとも異なります。
しかし、公式FAQは単にコスプレについて沈黙していたのではなく、持込禁止物に該当しなければ「装着しての入場は可能」という趣旨を明示していました。
そのため、「禁止されていないだけで、本来はしてはいけない」と読み替えることにも無理があります。
正確には、万博はコスプレ専門イベントではないものの、条件を守るコスプレ来場者を入場対象から排除していなかったと整理するのが妥当です。
「積極的な歓迎」と「条件付きの受け入れ」を区別することは必要ですが、「積極的に歓迎されていないから来場すべきではない」とまで結論づけるには、追加の根拠が必要です。
公共の場とコスプレイベントでは慣習が異なる
専用のコスプレイベントでは、更衣室、撮影場所、露出、小道具、移動経路などについて、主催者が細かなルールを設定します。
参加者の多くがコスプレを見ることを前提としているため、一般の公共空間とは異なる環境が用意されています。
一方、大阪・関西万博には専用の更衣室や撮影エリアがなく、コスプレ姿の人も一般来場者と同じ空間で行動します。
この違いから、一部のコスプレイヤーは、公式ルールとは別に「一般の場所では版権キャラクターのコスプレを目立たせない」「専用イベント以外では衣装姿で移動しない」という自主的な慣習を重視しました。
こうした慣習は、長年の経験から生まれたものです。
コスプレを見慣れない人との摩擦、撮影による通行妨害、権利者への配慮、文化全体への反発を避ける目的がありました。
したがって、暗黙の慣習をすべて時代遅れとして切り捨てるのも正確ではありません。
問題は、その自主規制を、主催者が条件付きで認めた場でも絶対的な禁止命令として扱い、従わない個人を攻撃してよいのかという点です。
正当な批判と人格攻撃は分ける必要がある
公共の場での撮影方法、通行への影響、周囲への配慮、版権キャラクターの使用について疑問を示すこと自体は、直ちに誹謗中傷とは言えません。
具体的な行為について、「この位置で長時間撮影すれば通行の妨げになる」「第三者の顔が映る投稿には配慮が必要だ」と論じることには、議論としての意味があります。
一方で、行為への疑問を超えて、容姿、人格、私生活、交友関係を攻撃したり、無関係な過去の発言を並べて活動停止を迫ったりする行為は、規約についての議論とは別です。
騒動では、鹿乃氏と一緒に写真を撮った人物の投稿にも批判が及び、写真を削除して鹿乃氏へ謝罪する動きがあったとされています。
ただし、その背景や批判の全容を第三者が検証できる資料は限られるため、本記事では個々の投稿者の意図や責任まで断定しません。
重要なのは、批判が次のどちらに当たるのかを見極めることです。
- 問題だと考える行為と根拠を具体的に示す批判
- 人物そのものを不快な存在として排除しようとする攻撃
「文化を守るため」という目的を掲げても、手段が個人への集団攻撃へ変われば、議論の正当性は損なわれます。
騒動の本質は公式ルールと界隈の暗黙の慣習の衝突
この騒動を「若い世代と古い世代の対立」とだけ説明することはできません。
炎上に参加した人々の年齢や経験を網羅的に示す資料はなく、特定の年代を一括して批判する根拠もありません。
対立の中心にあったのは、主催者が公開したルールを優先する考え方と、コスプレ文化の内部で共有されてきた自主規制を優先する考え方の違いです。
コスプレ文化の自主規制には理由があった
公共の場で版権キャラクターのコスプレを控えるという慣習は、単なる古い因習だけで生まれたものではありません。
かつてコスプレや同人活動は、現在以上に社会的な偏見を受けやすく、権利者との距離感についても共通の基準が整っていませんでした。
そのため、目立つ行動を避け、専用イベントの範囲で活動することは、個人と文化の双方を守るためのリスク管理として機能してきました。
一般の人が利用する場所での着替えや大規模な撮影を避ける慣習も、通行や施設利用を妨げないための実践的な知恵です。
筆者としては、こうした歴史的背景を無視して、すべてを「閉鎖的な村社会」と切り捨てるべきではないと考えます。
自主規制には、コスプレ文化が活動できる場所を守ってきた側面が確かにあります。
自主規制は他人へ強制できるのか
一方で、主催者が条件付きでコスプレ来場を認めている場でも、その慣習を絶対的な禁止命令として他人へ強制できるかは別の問題です。
自主規制とは本来、自分や所属する集団がリスクを避けるため、自発的に選ぶ行動です。
それが明文化された公式ルールより強い命令として扱われ、従わない個人への集団的な攻撃につながるなら、文化を守る手段として妥当なのかを問い直す必要があります。
鹿乃氏の万博来場は、少なくともコスプレ姿で入場するという点では、公式FAQが想定した範囲に含まれていました。
それでも「昔から一般の場所では避けるべきだった」という理由で強い反発が生じたことで、公開ルールと界隈内部のマナーの距離が可視化されたのです。
ここで考えるべきなのは、「ルールさえ守れば何をしてもよい」か「界隈の慣習に従わなければならない」かという二択ではありません。
- 公式ルールは最低限の共通基準になる
- 周囲への配慮はルールに書かれていなくても必要になる
- 暗黙の慣習は背景を説明したうえで共有する
- 慣習に従わないことだけを理由に人格攻撃しない
この順序を保つことが、異なる文化や価値観が共存する公共空間では重要です。
「承認欲求」「キャラクターの私物化」という批判をどう考えるか
騒動では、鹿乃氏の行動について「承認欲求が強い」「キャラクターを私物化している」といった批判も見られました。
しかし、これらは規約違反の有無とは異なる論点です。
承認欲求の有無だけでは行為の問題性を判断できない
写真、イラスト、小説、動画、コスプレなどの表現活動には、誰かに見てもらいたいという動機が含まれる場合があります。
その動機を「承認欲求」と呼ぶことはできますが、承認を求める感情があるだけで、直ちに迷惑行為や権利侵害になるわけではありません。
判断すべきなのは、本人の内面を推測することではなく、公開された行為です。
撮影によって通行を妨げたのか、禁止された場所を使ったのか、他人の権利を侵害したのかという具体的な論点が示されなければ、「目立ちたいだけだ」という批判は人物評価にとどまります。
キャラクターへの愛情と権利上の判断は別である
コスプレは、既存作品のキャラクターを衣装、メイク、撮影によって表現するファン活動です。
そこにはキャラクターへの愛情や独自の解釈が含まれますが、愛情があればあらゆる利用が認められるわけではありません。
同様に、「自分の解釈を表現した」ことだけで、直ちにキャラクターの私物化と断定することもできません。
権利関係を論じるのであれば、権利者が公開しているガイドライン、利用目的、営利性、表現内容など、具体的な条件を確認する必要があります。
今回確認できた資料の範囲では、『ダンジョン飯』の権利者が鹿乃氏の万博コスプレについて個別の見解を公表した事実は確認できません。
そのため、第三者が「権利者も歓迎している」「明確な権利侵害である」と断定するのは、どちらも慎重であるべきです。
思想への反発と個別行為への評価を混同しない
鹿乃氏が過去に発信した考え方や、SNS上での振る舞いに賛同しない人もいるでしょう。
特定の人物の意見へ反論することは、それ自体が不当な行為ではありません。
しかし、「その人物の思想が気に入らない」という評価を、今回の万博来場が規約違反だったことの証明として使うことはできません。
個人への評価と、個別の行為が公式ルールに適合していたかどうかは、別々に検討する必要があります。
この区別が崩れると、過去の印象や好き嫌いを根拠に、目の前の事実まで有罪とみなす構造が生まれます。
筆者の考察:ルールを守るだけでは足りないのか
今回の騒動で私が問題だと感じるのは、公式ルールや撮影方法へ疑問を持つことではありません。
主催者が一定の条件で認めた行動に対し、界隈内部の暗黙の慣習を根拠として、個人の人格や活動そのものを否定するところまで攻撃が拡大することです。
公共の場では、明文化されたルールだけでなく、周囲への配慮も必要です。
ルールに書かれていないからといって、通路を長時間占有したり、他人の顔を無断で大きく公開したりしてよいわけではありません。
同時に、「自分は不快だ」「昔から避けてきた」という感情だけで、他者へ退場、投稿削除、活動停止を要求することにも慎重であるべきです。
鹿乃氏の行動を無条件に称賛する必要はありません。
衣装姿でホテルから会場まで移動すること、一般来場者と同じ空間で撮影すること、版権キャラクターの写真を広く公開することについて、異なる考え方が生まれるのは自然です。
しかし、批判するのであれば、どの行為が、どの規約や権利を、どのように侵害したと考えるのかを具体的に示す必要があります。
「公共の場だから駄目」「界隈では昔から禁止」「目立ちたがりだから不快」という説明だけでは、主催者が公開したルールより強い禁止根拠にはなりません。
筆者としては、この騒動の重要な点は、公式ルールに従ったと説明する個人へ、暗黙の慣習を守らなかったことだけを理由として、どこまで強い制裁を求めてよいのかという問いにあります。
ルールは社会の最低限の共通基準です。
マナーや配慮は、その基準だけでは処理できない摩擦を減らします。
そして界隈の自主規制は、過去の経験から特定の文化を守る役割を果たしてきました。
この三つは対立させるのではなく、役割を分けて考えるべきです。
公式ルールに反していないからといって、配慮についての議論が不要になるわけではありません。
一方で、マナーや慣習に反したと感じたからといって、規約違反と同じ制裁を加えたり、人物そのものを攻撃したりしてよいわけでもありません。
今回の騒動は、表現を自由にすべきか禁止すべきかという単純な二択ではありませんでした。
公式ルール、一般来場者への配慮、権利者との関係、界隈の自主規制を、どの順序と根拠で扱うべきかが問われた出来事だったと考えます。
大阪万博のコスプレ炎上から得られる教訓
大阪・関西万博のように、国籍、年齢、文化的背景の異なる人々が集まる場所では、参加者全員が同じ暗黙の了解を共有しているとは限りません。
そのため、主催者が公開するルールの明確さが重要になります。
同時に、参加者側にも、許可されていることと、周囲へ負担を与えないことの両方を考える姿勢が求められます。
今回の炎上から得られる教訓は、次のように整理できます。
- 主催者の公式FAQや規約を最初に確認する
- 「禁止されている」「公式が公認した」と資料以上に断定しない
- 本人のnoteは本人による体験記として扱う
- 現地スタッフの反応と運営組織の正式判断を区別する
- 行為への疑問は、具体的な根拠とともに示す
- 暗黙のマナーを説明せずに絶対的な禁止として強制しない
- 批判を容姿、人格、私生活への攻撃へ拡大しない
- 権利者の見解がない場合は、第三者が代わりに断定しない
特に重要なのは、事実、本人の説明、第三者の評価を混ぜないことです。
鹿乃氏のnoteに書かれた好意的な交流は、本人が記録した重要な一次情報です。しかし、それをもって会場にいた全員が歓迎したと一般化することはできません。
反対に、SNS上に批判的な投稿が多く見られたことをもって、現地で迷惑行為が確認されたと断定することもできません。
SNSでは、強い言葉ほど広がりやすく、個々の事実確認よりも立場の表明が優先されることがあります。
だからこそ炎上を検証する記事では、最も刺激的な投稿ではなく、公式規約、当事者の記録、確認可能な報道から順に事実を組み立てる必要があります。
まとめ
- 鹿乃つの氏は2025年4月22日、マルシルのコスプレで大阪・関西万博を訪れた
- 当時の公式FAQは、条件を守ればコスプレ姿での入場を可能としていた
- 会場内にコスプレ専用更衣室はなく、トイレでの着替えは禁止されていた
- 他の来場者へ迷惑となる撮影や、持込禁止物の持ち込みも禁止されていた
- 鹿乃氏はホテルで着替えてタクシーで移動し、持ち物の規則を確認したとnoteで説明した
- 本人は現地スタッフから注意を受けず、来場者やスタッフと好意的に交流したと記録している
- コスプレ姿での入場自体が公式FAQに反していたとは確認できない
- 一方で、すべての撮影、投稿、権利関係を公式が個別に認定した資料も確認できない
- 吉村洋文大阪府知事と横山英幸大阪市長のリポストは、万博協会の正式な規約判断とは異なる
- 騒動の中心には、公式ルールとコスプレ界隈の暗黙の慣習の衝突があった
- 自主規制には文化を守ってきた理由があるが、他人への絶対的な禁止命令とは限らない
- 行為への具体的な批判と、人物への集団的な人格攻撃は分けて考える必要がある
大阪・関西万博は、一定の条件のもとでコスプレ姿での入場を可能としていました。
そのため、「万博ではコスプレが禁止されていた」「鹿乃つの氏はコスプレをしただけで規約に違反した」という説明は、当時の公式FAQと一致しません。
同時に、入場が可能であることは、あらゆる撮影、投稿、持ち物、表現方法が無条件に認められることも意味しません。
鹿乃つの氏の騒動を考える際に必要なのは、本人を全面的に称賛することでも、人格ごと否定することでもありません。
公式ルールで確認できる事実、鹿乃氏本人による説明、界隈の慣習、個人の感情を分け、具体的な根拠に基づいて議論することが重要です。
よくある質問
大阪・関西万博ではコスプレが禁止されていたのですか?
禁止されていませんでした。2025年4月当時の公式FAQでは、持込禁止物に該当しない衣装であれば、コスプレや仮装を装着した状態で入場できるという趣旨が案内されていました。
ただし、更衣室はなく、トイレでの着替え、迷惑となる撮影、禁止物の持ち込みなどは認められていませんでした。
鹿乃つの氏のマルシルコスプレは規約違反だったのですか?
公開資料から確認できる範囲では、コスプレ姿で入場したこと自体が公式FAQに反していたとは確認できません。
一方で、万博協会が会場内のすべての撮影、SNS投稿、権利関係を個別に審査して「すべて問題なし」と認定した資料も確認できません。
知事と市長のリポストは万博側の公式承認ですか?
公式承認とは言えません。
吉村洋文大阪府知事と横山英幸大阪市長が関連投稿をリポストしたことは、投稿が肯定的な万博発信として注目されたことを示しますが、万博協会による正式な規約審査とは異なります。
一次情報・参考資料
- 鹿乃つの「万博をコスプレで楽しんだので所感や注意点をまとめる」
- 大阪・関西万博「持込禁止物・禁止行為に関する来場者向け規約」
- 大阪・関西万博「会場内での撮影、会場内で撮影した画像利用に関するご注意」
- J-CASTニュース「万博で『ダンジョン飯』コスプレ」関連報道
- 鹿乃つの公式サイト
大阪・関西万博は2025年10月13日に閉幕しており、公式FAQの一部は公開当時と現在で閲覧状況が異なります。
本記事では、鹿乃つの氏が2025年4月22日に公開したnoteに記録された当時のFAQ内容と、万博協会が公開した来場者向け規約・撮影ルールを照合しています。