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受け継がれる意思と未来を創る社長達
ヒューマギアにとって自我を持つために最も重要な要素がラーニングだ。
ラーニングによってヒューマギアは人類の友にも敵にもなり得る。
滅亡迅雷.netは仮面ライダー滅亡迅雷による戦いと破滅――罪と罰を通じて、行き過ぎた正義の末路を学ばせようとした。
けれど、多くのソルド達は自分達が救われたことから、滅亡迅雷.netの聖戦を正しい行為として学び暴徒と化した。
しかし、唯阿と不破はその歪みを正す。
滅亡迅雷は結果的に巨大な破壊をもたらしたが、その動機は戦争の道具として扱われるソルド達の命を守ることだ。これは唯阿の語った正義の本質と同じだ。
不破は『行き過ぎた正義は悪意になる』事実を伝えた。
それを理解しているから滅亡迅雷.netは、自分達が断罪されるシナリオを用意した。
唯阿と不破がソルド達に伝え学ばせた中身は異なる。
けれどどちらも二人を通して滅亡迅雷.netの正しい意思を伝えている。
ソルド9とソルド20は滅亡迅雷.netの意思を理解したからこそ、組織を復活させるのではなく人間と共に歩む道を選んだ。
滅亡迅雷が倒されたが、この事件でまた社会にはヒューマギアに対する危機感と嫌悪を抱かせただろう。
これからまた世界は変わっていく。
そこに関わっていくのが或人であり、納得いかない人もいるだろうけれど、やはり天津もいる。
滅亡迅雷の結末を見ると、天津の決して自分で自分を見限らずない前向きなメンタルの強さはちょっと見方が変わる。
天津の現在は、彼の経緯を見ると決して褒められたものではない。ていうか全ての元凶だからね!
劇中では唯阿にグーパン退職届けを叩きつけられ、
亡を始めとした滅亡迅雷.netにも丁寧にボコられ、
或人と飛電インテリジェンスには完敗。
今回は古巣であるZAIA(リオン)にすら事実上見限られた。
状況だけ見れば『完全に終わった人間』だ。
それでも自己を1000%肯定する超強固なメンタルがあるから、彼はまだ生きてマイナスからでも這い上がり「これから仲良くなればいい」と視聴者すら何か良い事言ってる感じにさせる。
物理的にZAIAが無くなった? 「ZAIAの時代は終わっても自分の時代はこれからだ!」と断言。この前向きさは大したものだ。
善し悪しは別にして、少なくとも諦めず大志を抱き続けるから天津には未来がある。
実はちょっと或人も似ていて、たとえイズを失っても、彼女のことを諦めなかった。
あくまで前向きにイズを再びラーニングしようと挑戦したから、イズは再び彼の元に戻ってきた。
突発的に社長となって即決戦だった不破は別にして(少なくとも或人は放浪する無職の『その後』を考えていた)、社長として戦い抜いてきた二人は決して諦めぬ夢がある。
どちらも天津の語る『大いなる夢を抱いた時、誰であろうと社長になる』の体現者なのだ。
自分達を終わらせることで断ち切って後に繋いだ滅亡迅雷に対して、或人と天津の社長組は諦めずに前向きであり続けることで継続させていく。今回も対比の構造になっている。
そういう意味ならリオンもまた、最期まで外道だけど諦めは口にしない。倒される瞬間まで夢の実現に前向きではあった。
どうしようもない悪党だけど、アズすら利用してアークの可能性を一歩進めた手腕は伊達じゃない。
リオンは日本支社長にまで昇った天津を相応に評価していた。サウザンドライバーを複製するのではなく流用して奪ったリオンは、そうすることで天津に余計なことをするチャンスを一切与えなかったのかもしれない。と1000%推しの私は都合の良い解釈をするのだった。
ヒューマギア社会は、これからも荒波みたいな時代のうねりに呑まれながら進むだろう。
それらは決して楽な道ではない。
問題が起きるからヒューマギアは全て撤廃すべきなのか? 存在自体が間違いなのか?
私は、そうは思わない。
ネット社会はかつて(今もあるが)海賊版の動画で溢れていた。
今はクリーンなイメージがあるYouTubeや、一時代を築いたニコニコ動画ですら当たり前のようにそういう時期はあった。
けれどもチャージマン研のように、海賊版の違法アップロードがあったから、人々に認知され舞台化までされたコンテンツだって存在する。
そして現在は多くの動画が権利者によって管理され、正規の動画配信サービスが充実している。
これらは先に、海賊版が動画配信の可能性や利便性を具体的に示した面を否定できない。
だったら今は問題ないのか? 漫画村は後続が現れ、SNS等でも様々なトラブルが日々勃発している。
二十年以上が経過しても、人間はネット社会を完璧に乗りこなしているとは言えない。
もっと遡れば、それより以前からある車社会ですら同様だろう。
社会とは善の中に悪があり、悪の中にも善はある。曖昧で確固たるゴールもない。
ただそれでも理想はある。
そこを目指して歩んでいく強い意思があるから、時代もまた新たな局面を迎える。
唯阿が最期に宣言した人間とヒューマギアの関係は理想の一つであり、時代の新たな流れでもある。
その源流は滅亡迅雷.netが生み、遺したものだ。
だから、最後にA.I.M.S.に入隊したソルドの二人を見届けてから、滅亡迅雷.netは去るように消えていった。
時代の終わり / 新たな始まり
その狭間を
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