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仮面ライダーバルカン&バルキリー 正義の果てにある結末【感想・考察】

2021年9月2日

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ゼミ生の皆様こんにちは、語屋アヤ(@ridertwsibu)です。

ゼロワン完結。
久方ぶりにして最後のゼロワン供給タイム!

前作『滅亡迅雷』の衝撃ラストでずっと焦らされて、セイバーの王道で優しい世界に慣れてしまった身体だとかなりキましたね!

Vシネマの短い尺なのに、思う所が大量に出てくるのも流石はゼロワンといったところ。
見終わってから各要素を反芻するのもゼロワンの醍醐味だと思います。

特に気になるのは以下の要素。
前作から引き続きマスブレインシステムに対する掘り下げは、よりヒューマギアと人間社会に深く切り込んでいて、上手く発展させていると思います。

不破と唯阿それぞれの正義と信念は物語の根幹であり非常に重要な要素です。
そして、最終決戦とその衝撃の結末。何故ああなったのかと、滅亡迅雷は何を成したのか。

ネタバレなしに加えて、この三点を重点的に語りたいと思います。
それでは感想と考察を始めていきましょう。

※ 9/8 ネタバレ有りパートを追加しました!

前作:仮面ライダー滅亡迅雷の感想はこちら
https://kamen-rider.info/o1-others-1/

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ネタバレなし感想

本編終了後、Vシネマで完結編やその後を描く方式もすっかり定番化した。
その流れで当てはめるなら、ゼロワンアナザーシリーズはエグゼイドの三部作構成に近い。
こちらは二本だが直接的な繋がりがあり、実質的に前後編の構成になっているため、『滅亡迅雷』の視聴は前提と言っていいだろう。

『滅亡迅雷』時点でそのことを隠していて、しかも衝撃的な引きで締めたのは怒られても仕方ないと思うよ! ホント東映くんってこういうことするよね!

本作はタイトルが『バルカン&バルキリー』だけあって、話の焦点はほとんどこの二人に絞られていた。
前回からのゲストキャラもいるが、物語的にはしっかりと必然性があり、不破と唯阿の思想、そして物語の全体テーマ性を掘り下げる役割にもなっている。

私がそうだったのだが、唯阿推しの人は『彼女の出番が不破に食われないか?』という不安はあるだろう。
前情報のライダーからして不破の方が特別仕様感あるし。

ネタバレを避けてこの辺を触れると、不破はやっぱり不破らしい活躍をするけど、唯阿もまた不破ではできない掘り下げられ方をされている。
個人的には、「こういうのを本編でやってほしかったんですよ唯阿さん!」って気分であり、不破との対比としても機能していた。
『不破&唯阿』ではなく、『不破諫』と『刃唯阿』をそれぞれに描いている。ここはかなり重要だ。

シナリオ全体として見ると、随所に各キャラの思想を描きながらテンポよく話を回す。
全体的に話が敷き詰まっていて無駄のない構成だった。

尺が足りないVシネマ全体の問題は多少出ていて、必要なシーンだけを繋いでいった結果、話全体の繋がり方がややぶつ切りになっている感はある。
物語としては必要だが、重要性の薄い『A.I.M.S』全体の動きや、前回登場したソルド達(先に書いたゲストキャラを除く)の動きがこれに該当する。

特にソルド達の思想や行動がやや稚拙に見てしまう。
ただしこれは本編でもあったヒューマギアの特性も深く関わっており、ゼロワン世界観での整合性は取れている。

また、ソルド達は愚か者のように描かれているが、これはきちんと整理すれば実に人間的な行動であり、前作から出てきたマスブレインシステムと途中に出てきた唯阿の台詞にもしっかりと繋がる。
結構重要で面白い要素だと思うので、後のネタバレ有りの考察でしっかりと掘り下げていく。

気付く人は気付くと思うが、漫然と話を追うだけではソルド達の動きがヒューマギアの幼稚性に見えてしまうだろう。
もう少しソルド達の思想や行動の流れを掘り下げていれば、この問題は解決できたろうなあと思うので少し残念だ。

細かな設定もやや雑に感じる面はある。
事前情報から出ていたゼロワンドライバーで変身する不破という矛盾をどう解決するかの回答ついては、流石に強引過ぎると思ったのは私だけではないだろう。
この辺りも、後で設定レスキュー的な考察を入れていきたい。

演出に関しては前回同様に予算の限界を感じる。
どうしてもゼロワン本編や劇場版の画作りが上手過ぎて、ライダーキックや文字入れの構図等で見劣りしてしまうのが本音だ。

ただ、ローンウルフは一点豪華主義と言わんばかりに気合が入っていた。
特に変身シーンは、不破役の岡田龍太郎氏も直接体を張っていてかなり見応えがある。
最終決戦は前作の滅亡迅雷よりも楽しめた。

その後のラストシーンについても、ネタバレなしでも触れておかなければならない要素だ。
本作は元々ゼロワン完結と銘打っている。ただ仮面ライダーという作品は、その性質から終わる終わる詐欺も多い。

なんやかんやで続けられる要素を残して、その後の話を作っていく。
事実、先に配信開始された『仮面ライダーゲンムズ』は『バルカン&バルキリー』の後に位置する(ちゃんと本編内でその流れをさらっと作っていたのは褒めておきたい)。

しかし、その上で物語として完結していたかどうかで言えば『誰がここまで完結させろと言った!?』と思うくらい完結してしまった。
ゲンムズのような、後の小説版が出ても話を作れる要素はあるが、ゼロワンとしては本編・劇場版に続いて恐ろしくキッチリ三度目の完結を迎えたと言っていい。

ただし万人が望む完結の仕方だったかと言われると、「めっちゃゼロワンらしい終わり方だったね!」って感じだ。
TV版の何だかんだ大団円っぽくまとまった雰囲気や、劇場版のスッキリ爽やかな締め括りが良かったと思う人は、どうしてそこに着地したのかとモヤモヤする可能性は否めない。

しかしながらイズが新たに作り直されるTV版の最終回にSF的な魅力を見出した人にはオススメしたい。
むしろ平成ライダー前期を彷彿とさせる着地を、Vシネマとはいえまさか令和ライダーで見れるとは思ってなかったので嬉しい誤算だった。
スッキリではなく噛めば噛むほど味の出る締めくくりであり、それがゼロワンが持つ魅力の一つであると私は思う。

【次ページ:人間社会の縮図として読み解くマスブレインシステム】

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