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仮面ライダーゼロワンはいかにして新たな時代を創る象徴となったのか

2019年8月31日

ゼミ生の皆様こんにちは、語屋アヤ(@ridertwsibu)です。

ついに明日から新たな時代、ゼロワンの幕開けです。
本当はもうちょっと早く記事を始めるつもりだったのですが、前日になってしまいました。

『ジオウ』の最終話は、『ジオウ』という物語を終わらせるだけではなく、見事に平成ライダーから令和ライダーへとバトンタッチする役目を果たしてくれたと思います。

https://kamen-rider.info/zio-final/

では逆に、仮面ライダーゼロワンは『令和ライダー一号』として、どのような側面を持ち、どう新たな歴史を築いていくのでしょうか。
今回はゼロワンの情報を踏まえながら、令和ライダー一号としてのゼロワンを語ってみたいと思います!

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令和ライダーを象徴する名前とデザイン

新たなる仮面ライダー、ゼロワンは『AI』がメインテーマ。
ヒューマギアと呼ばれるアンドロイドが日常に在る、現代の物語ではあるものの近未来的な世界観だ。

つまりIT全般が重要な意味を持つのはなんとなく予想ができる。実際、変身ベルトもその要素を持っている。
『仮面ライダーゼロワン』というネーミングも令和(レイ・ワン)や令和ライダー一号という意味はもちろん、コンピューターらしい『0と1の世界』を表す要素もあるだろう。

令和一号という特殊性を上手く作品の世界観と絡めた、ストレートだが強引過ぎないセンスだ。
SF寄りの世界観はエグゼイドやビルドで平成ライダーでも最近は増えている傾向だったが、新たな時代という意味合いでは無難な着地点ではあると思う。

『社長でライダー』で、売れない芸人からの成り上がりというヒーロー性は、仮面ライダーよりも社長でヒーローを全うしたトニー・スタークを思い起こさせるけれど。

クウガの頃から社会問題や流行は積極的に作品へと取り込んできた。
妖怪ウォッチブームで仮面ライダーゴーストを持ってきたのは、中でもわかりやすい例だろう。
平成ライダーではなくなっても、現代のライダーらしさというものは特に意識せず引き継いでいる。

個人的に独創性が強かったのは、ネーミングよりもデザイン性にこそあった。
黄色がメインカラーで、黒を多くすることにより蛍光カラーをより際立たせている。

エグゼイドのようにカラーに加えて全体的に派手で目立つデザインというわけではない。
むしろ基本デザインそのものはシンプルであり、モチーフは王道も王道のバッタである。

ディケイド以降、使える色幅が増えてきたがメインフォームが黄色は今回が初めてだ。
平成FOREVERで強く示されたが、平成仮面ライダーのデザインはただ並び立つだけでなく、自分らしさを重視した個性が大切だ。
ライダーが集合した時に、埋もれないというのは非常に大事な要素である。
ゼロワンは色合いで強い特色を出してきた。

もう一つ重要な要素はスーツアクターの変更である。
主人公のゼロワンは、ミスター平成仮面ライダーと呼ばれる高岩成二氏から縄田雄哉氏へと変更
なお、縄田氏は『ジオウ』だと一年間スーツアクターとしてゲイツを演じられてきた方だ。

スーツアクターの違いは縄田氏が発表される前から、ファンの間……というかスーツアクターソムリエの方々が、体系の変化について多く指摘していた。
ゼロワンは膨張色の黄色であるが、同時に黒を使って全体的にはシュッとしたスマートな印象を抱かせる。
高岩氏から縄田氏の方が体の線は細い。体型の違いもスーツデザインに反映させているのだ。

仮面ライダーらしい複眼も健在で、触覚を利用して角度によって『眼つき』が変わる。
動きや角度をあらかじめ計算に入れた、アクション込みの格好良さが光る東映の拘りが光る。
新たな主人公ライダーのアクション性がどうなるのかも、令和ライダーにおける楽しみの一つだ。

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平成ライダーと令和ライダーの違いとは何か

『ジオウ』では全力で平成ライダーの終わりと、平成ライダーとは何かのアンサーを描いてきた。
平成ライダーは確かに終わった。

ならば、平成ライダーと令和ライダーとの違いは何なのか。
この答えは『別にないよ』であると私は思う。

そもそも、平成ライダーもしくは平成仮面ライダーとは『仮面ライダークウガ』から始まった一連のシリーズ名称である。
同じく平成に放送されたブラックRXやその後にあった劇場版の『真』~『J』はこの中に含まれない。
公式には(平成だけど)昭和ライダー側に属している。

つまり重要なのは平成生まれのライダーなのではなく、クウガから続く一連のシリーズであることなのだ。
実際、クウガとそれ以前では『仮面ライダー』という作品における作品性やシリーズに対する文脈は大きく異なる。
平成自体が現行進行形の年号だったので、昭和に生まれた仮面ライダーに対して、新しさというイメージを植える付けるのに打ってつけだったこともあるかもしれない。

ゼロワンは平成最終作であるジオウとの間に時間を置かない地続きの作品である。
クウガからの流れにそっくりそのままいるのだから、時代の違いを象徴するような劇的変化が訪れる可能性は低い。
いや、もし訪れたとしても、それはむしろ脈々と引き継いできた『平成ライダーらしさ』でしかないのだ。

だって、クウガから二つ後がライダー同士でバトルロワイアルした龍騎だからね。
『変化』と『独創性』、それらを総称するような自由さこそが、平成ライダーが持つ平成ライダーらしい要素なのだ。

ならば平成ライダーと令和ライダーの違いとは何か。
ぶっちゃけてしまえば年号変わったから使えなくなっただけと、視聴者のなんとなくの感覚や愛着でしかない。後、語呂がいい感じだった。

とはいえ、東映が公式の呼称として扱う程、平成ライダーという名前はごく当たり前のように皆の中に浸透している
『平成ライダー』が終わってしまうこと、使えなくなってしまうこと自体が重要なことであり、悲しかったのだ。それも頭の中ではそんなに変わらないと思っても感傷的になってしまう。だって人間だもの。

この感傷をなんとかするために『ジオウ』がひたすら頑張ってくれたので、我々は令和ライダーをあたたかく迎え入れることができるようになった。
というか迎え入れたのはいいのだけどね? 我々はできるだけ早く平成ライダーと令和ライダーを一括りにした名称を付けるべきだと思う。
同じ歴史と作品性にいる二つをバラバラに仕分けて呼び続けるメリットは正直あまりない!

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令和ライダーの引継ぎは『Over Quartzer』で行われていた

ここから映画のネタバレ注意。

『ジオウ』から『ゼロワン』へのバトンタッチは現実のイベントとして開催された。
それはそれとして、作品としてのバトンタッチはどうだったか。

TV本編では物語として平成を綺麗に締めくくり、令和ライダーを始める土壌を作った。
ただし、これは平成ライダーを終わらせるという意図の方が強い。
実際にゼロワンが物語に登場したのは夏映画『Over Quartzer』側だった。

物語冒頭ソウゴの夢の中で、平成の先にある令和ライダー一号として、ウォズがゼロワンの誕生を祝った。
これはソウゴの創造能力との繋がりもあり、物語ラストにゼロワンが本当に現れクォーツァーの生き残りである仮面ライダーゾンジスを撃破する。

この構成はとても興味深い。
ソウゴは首魁であるSOUGOこそ倒したが、クォーツァーという組織が倒されたわけではなかった。
残るクォーツァー達はソウゴの『瞬間瞬間を必死に生きてきた』という平成ライダーの本質を聞いて、『まあ、平成ライダーも案外悪くないかもな』と心変わりして、平成の後に続く時代に興味を持った。

これもメタな視点で見ると『平成ライダーアンチ』の手のひら返しを疑似的にやっているのだ。
平成ライダーファンにとって手のひらとジクウドライバーはよく回る方がいい。

しかし、最後に残ったゾンジス鈴木が単独で平成の世を破壊して自分が王になろうと企む。
そこに現れたのが次代を担う最初ライダーゼロワンだった。
ゼロワンは一人で平成ライダーを閉じようとする最後の存在ゾンジスを倒すことで、新たな時代を切り開いた。
言い換えればゼロワンがいなければ令和は始まらなかったと言える。

ジオウは確かに平成を終わらせ、平成を象徴する仮面ライダーへと成長した。
そして、ゼロワンはこの時、令和の始まりを象徴する存在になったのだ。

こうして仮面ライダーの時代は昭和から平成へ。平成から令和へと紡がれる。
最早年号と共に名称さえ変わったとしても、ぼくらの愛した仮面ライダーは、いつだって変わりながら変わらず続いていく。

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